2018/05/27

NHK技研公開2018

100F1577

FUJIFILM X100F

 NHKの技研公開2018に行ってきました.技研公開は毎年この時期にNHK放送技術研究所で開催される、研究成果の発表会のようなものです.
 このブログの記録によると、前回行ったのは2011年なので、ちょっと間が空いています.
 ここ数年の中心的な技術といえば8Kスーパーハイビジョンでしたが、久々に訪れてみたところ、8Kスーパーハイビジョンはディスプレイの薄型化技術や中継車への導入など、次のステップに踏み出している印象でした.
 それに代わってメインとして押し出しているのがAI技術.とはいえ、AI自体がバズワード化しているというか、衆目を集めるために都合よく使われている傾向にありますので、AIっていうのかなそれ、的なものも散見されました.

100F1569

FUJIFILM X100F

 入り口からすぐのところにはAIによる効率的な番組制作をするためのコーナーが設けられていました.
 これは音声認識による書き起こし制作システム.録画してきた映像を自動的に文字起こししてくれる、取材する側としては垂涎のシステムです.とはいえ、録音した音声から自動的に文字起こしをしてくれるシステムはすでに存在していますし、今回発表のシステムとて、音声認識は完全なものではありません(デモ用に間違いやすそうなコンテンツを使っていたという側面もありますが).
 ポイントとなるのは、データ自体をサーバにおいて、ブラウザから複数のスタッフが同時編集を可能にしていていることでしょうか.

100F1570

FUJIFILM X100F

 映像自動要約システム.番組からダイジェスト版を作るのは手間もかかるし面倒、ということで「テロップが表示されているもの」「出演者がアップになっているもの」「SNSでコメントが多かったもの」などという条件を入れることで映像を自動解析してダイジェスト版を自動作成してくれるものです.
 このシステムに限らず昨今の情勢を反映してか、Twitterのツイートを自動集計して直近で起きている出来事を自動解析するシステムなど、Twitterのデータをかなり重要視している印象の展示が多くありました.

100F1572

FUJIFILM X100F

 テレビ視聴ロボット.今年の技研公開のニュースが流れた時に研究一覧を見て気になったのがこれ.ロボットがテレビを見る?なんのため?まさかテレビを見てコメントするのかな、いやまさかねぇ…… と、疑問を感じたものですが、実際に展示されていたものはまさにそのとおりのものでした.
 番組からキーワードを抽出し、それをもとにAIがコメントすることで一人で見ていても家族や友人と一緒にテレビを見ているかのような感じで楽しめるものを目指したのだとか.
 自分は一人でテレビを見ても別に寂しいと思ったことはないのですが、話し相手の欲しい一人暮らしの老人とかに需要があるのでしょうか.

100F1574

FUJIFILM X100F

 展示は1FとB1Fで行われているのですが、B1F(本来は駐車場として使われているスペース)の展示は専門的すぎて門外漢の自分には1割も理解できないほどです.
 そうした中にもいくつかの体験スペースが用意されており、これは8Kスーパーハイビジョンを使ったVR映像システム.さすがにOculus Go(解像度は2,560×1,440)とは別格の解像度ですが、ゴーグル部分も巨大ですし、展示されてはいませんでしたが裏で動いているシステムもかなりのハイスペックな仕様を要求しそうです.ゴーグルの両眼の間隔がちょっと離れているのか、きちんと両眼で映像を捉えられるスイートスポットがかなり限定される印象でした.

100F1582

FUJIFILM X100F

 まだ研究レベルとはいえ、興味深い研究がたくさんあり、その一端をこうして体験できるので、行ってよかったと思いました.
 多くの研究発表やデモが撮影可能(撮影不可なのはオリンピックの映像を使っているなど版権が絡んでいるものが多いように見えました)なのもいいのですが、撮影や録画をしても既存の媒体ではそのすごさを記録できないあたりがまさに先端技術なのですよね.
 8K/120Hz撮影のフィギュアスケートは、やや低めの視点から撮影されていることもあってか、ブレードが氷を削って飛び散る氷片までしっかり捉えられており、ここまで解像度が上がると裸眼でも立体的にすら見えてくるようでした.

 また、以前は見た記憶がないのですが、ハイブリッドキャスト(放送と通信の融合サービス)の展示でNHK以外の民放各社の展示がされていて、例えばTBSではCMの一部を差し替えて家族へのメッセージを出す機能(CMをメッセージ動画で上書きすることで、あたかも放送として流しているように見える)をデモするなど、NHKの範疇外といえる領域でも研究はされているようです.

 放送や映像技術は詳しくないので自分の理解も浅いものになってしまいますが、他の来場者の方を見ていると、展示パネルを写真に撮ったり、説明員(研究者)に突っ込んだ質問をしているなど、専門分野の方には見がいのある展示なのだろうなと思いました.なかでも、仕事をすでにリタイアされたとおぼしき年齢層のかたが一人で歩いていて、説明員に細かな質問をしている様子を何度も見ました.

 写真はNHKグッズとして売られていた、スノータイガー(雪上車).

2017/12/03

『地図でみる世田谷』展

Category: 日記・雑記,社会・政治・世情一般 — Annexia @ 22:12

100F1277

FUJIFILM X100F

 世田谷区郷土資料館で開催していた『地図でみる世田谷』展を見に行ってきました.

100F1274

FUJIFILM X100F

 10月下旬から開催されており、12月3日までということで終了1日前の訪問となりました.無料展示だし閉会間際だから混雑しているのかなと思いきや、空いていたのでじっくりと資料を見ることができました.
 1909年の陸地測距部(国土地理院の前身)による地図以降のものが紹介されていましたので、「東京時層地図」のほうが古い地図を見ることができます.とはいえ、1909年以降は東京時層地図よりも年代が細かく、さらに商工地図や観光地図など多種な地図が見れるのは興味を引きました.

 自分がいちばん興味を惹いたのが、鉄道会社が発行した路線図を兼ねた地図.
 これは「東京急行電鉄小田原線江ノ島線井ノ頭線沿線案内図」.東京急行電鉄とつくように、戦時中に東急が小田急などを統合した「大東急」時代のもの.戦時中らしく、軍事関連施設が明記されていません.

100F1278

FUJIFILM X100F

 展示内容をまとめた図録が売られていたので購入.200ページ以上もある大ボリュームでしかもPDF版を収めたCD-ROMと昭和12年発行の職業別明細図も付属.これで1,000円は破格値です.

2014/03/31

年度末 + 消費税増税前日

 今日は年度末.しかも明日から消費税は8%に増税.
 自分の業務的には年度末だからといってとりたててなにか特殊なことをすることもないのですが、世の中はそうでもないようで、自宅近くのスーパーは今日は早めに店じまいする旨の張り紙がしてありました.ネット上のオンラインショッピングサイトでも、メンテナンスと称して日付をまたぐ数時間を営業休止にするところがちらほらありました.おそらくは消費税5%なのか8%なのかで無用なトラブルを招きたくないというような目的があるのではないでしょうか.

 会社帰りに新宿に向かうと、小田急の定期券売り場は長蛇の列.明日から運賃も値上げになるので駆け込みで購入しておこうという人が多いようです.3月末はただでさえ新入社員や新入生、転勤などで定期券売り場が混雑する時期なうえにこの増税ですから、鉄道会社は通常よりも早くから定期券の事前購入を受け付けていたはずなのですが、ぎりぎりにならないと行動に移らない人がこれだけ多いということなのでしょう.

 ヨドバシカメラは週末に匹敵する混雑ぶりでした.
 レジはどこも混雑しており、店員が列の整理をしていたほどです.事前に予約していたものを受け取るだけでも待たされるなんてのは初めてのことです.年度末というよりも、増税前の駆け込み購入というのが大きそうです.ヨドバシカメラは通常通りの営業時間のようでしたが、閉店後にすべての商品の値付けを変更するのでしょうか?POSデータの修正だけでも一苦労だと思うのですが、商品に貼ってある値札シールやプライスカードなどのことを考えると、徹夜作業でも終わるのかどうかと心配になってきます.

 一眼レフやミラーレス系の売り場に行っても人だかりは多く、フィルタを買おうとしてレジに向かったらX-T1のレンズキットを購入しようとしている方がキャッシュバック対象ではないのかと店員数名とやりとりをしていました.

 店としてもかきいれどきだろうということで、用件を済ませた自分は早々に店を出ることにしました.

DSCF0484

FUJIFILM X-T1 + XF23mm F1.4 R

 なんか箱がひとつ増えました.
 中身に比べてどうしてこんなに外装箱が大きいのか、いまいち理解に苦しみます.

2013/12/22

『フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人』

Category: 書籍,社会・政治・世情一般 — Annexia @ 23:59

IMG_5010

Apple iPhone 5S + Hipstamatic

 速水健朗氏の『フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人』を読みました.

 日本人の食生活を、有機栽培や地産地消、ベジタリアンといった『フード左翼』と、ファストフードやメガ牛丼、コンビニ食といった『フード右翼』に分けて、それらと政治を絡めて検証するという本です.

 読み始めるとすぐに縦軸に健康志向とジャンク指向、横軸に地元主義とグローバリズムをとったマトリクスが出てくるのですが、その表からも明らかなようにフード左翼は高コストで高級指向、フード右翼は低コストでジャンクという傾向が伺えます.
 自分はどこに位置するんだろうとポジショニングを確認しましたが、マクドナルドは行かないもののコンビニ食が多くB級グルメが好きなあたりはフード右翼に近いのかもしれません.とはいえ、美味しいものは好きなので、きちんとした料理を求めたことによる結果としてフード左翼的な傾向もありそうです.

 興味深いのが、「フード左翼」的なるものとしてひとくくりにされがちなベジタリアン(菜食主義者)でも、ビーガン(肉だけでなく牛乳や乳製品も摂取しない)、マクロビオティック、ローフーディズムは思想や立ち位置が異なるということ.
 自分のような外野からすれば同じように見えるのですが、菜食主義になった理由も、健康のためと自然環境を考慮してと異なっていたり、調理法にしても加熱することに対する是非であったりと、それぞれに主義主張が異なるのです.
 この本ではタイトルは「フード左翼とフード右翼」となっていますが、ページの多くをフード左翼に相当する事柄に割いており、これは言い換えるとフード左翼的なるもののほうが思想やものの見方など、筆者が興味を引く部分が多かったのではないかと想像されます.逆にいうとフード右翼的なるものは、一部の例外を除いて「食」そのものにさして興味のない、もしくはそこにコストをかけられないという側面があり、言い換えるとフード左翼に比べて多くを語るようなコンテンツを持っていないという見方もできそうです.

 そして、読み進めていって意外というか軽くショックを受けたのは、フード左翼の目指す有機農法が決して「明るい未来」にはつながってないということ.
 一言でいえば、農業に必要な栄養物である「窒素」を化学肥料に頼らず有機肥料で得ようとすると、多くの森林は伐採され、魚も取り尽くされてしまい、途端に生活環境も食料事情も悪化してしまうということなのです.
 「自然によく」「体によい」と思われている有機農法の問題点を知ることで、回帰するようにして自分の頭の中に思い浮かんだのが対極にある「フード右翼」のこと.ジャンクで体に悪い食品ではあるものの、「低コスト」で「ハイカロリー」というのは、食料事情を考えたときにひとつの解になるのではないのかと.もちろん、現状のままジャンクフード食べて養分摂取というのではなく、適度なところでバランスをとるのがよいことは言うまでもないことですが.
 余談ですが、外食チェーンで出される食事の多くに「たまに食べるにはいいけど、これを毎日食べたら体を壊す」という印象を自分は抱いています.しかしながら、例えばサラダラップのようなヘルシーなメニューをマクドナルドで出しても売れなくてすぐに販売終了になってしまうということからも明らかなように需要と供給のバランスがそうさせている側面もあるわけで、食べ物って奥が深くて難しいなと痛感させられます.

2013/10/02

ソフトバンク、ユーザー信用情報を誤って登録

Category: 社会・政治・世情一般 — Annexia @ 20:42

「ソフトバンクが分割払い6万件超を誤って滞納扱い、クレジット審査等に影響。半年公表せず」

 ソフトバンクが携帯電話などの分割支払い情報を誤って信用機関に送信し、支払っているのに「未払いの滞納者」として登録するというミスを犯しました.

 支払いの信用情報というのはCICと呼ばれる機関で管理されており、ローンを組んだりするときにはその人が過去に滞納などをしていないかをチェックする機能を備えています.
 今回ソフトバンクがミスしたのは、通常通り携帯電話料金を支払っている人6万人以上を「料金を滞納している」と、このCICに登録してしまったことです.

 ミスに気づいたソフトバンクは取り消し手続きをとったとのことですが、こちらのニュースにあるように、すでに審査を通らない事例が発生しています.
 また、厄介なことに「滞納者である」という履歴データに加えて「審査に落ちた」という情報も付加され、さらにはこうした情報は本人でも照会できないため、現在自分がどのような扱いになっているかを確認すらできない状態です.

 ミスをしたのもさることながら、今回のソフトバンクで悪質なのは、
・今年の2月3月のミスなのに経済産業省には報告したものの、当の本人には8月まで知らせなかった
・9月30日に新製品発表会があって社長も出ていたというのに、そこでは報告せず翌日の10月1日にプレスリリースのみで公表した
・その発表会で「850日以上重大事故なし継続中」などといいつつも、このような重大事故を起こしている(850日以上重大事故なしは通信障害などで、今回のは別物という認識のようです)
 というように、故意ともいえる隠蔽工作をしていることです.もしくは個人の信用情報などたいしたことないという姿勢の表れかもしれません.

 信用情報というのがどのように管理され、過去のどれほどの滞納が記録されてブラックリスト登録されるかなど、細かいところは自分もわかりませんが、濡れ衣を着せられて住宅や車などのローン審査で落とされたりしたら人生設計にまで影響を及ぼしそうです.
 ソフトバンクは(他社携帯キャリアも)過去に個人情報漏洩をしていたりしますが、今回の滞納者情報誤送信はそれを上回るミスであり、「名誉毀損」といえるレベルです.
 今後の生活に影響が及ばないように適切な処置がなされることを願います.

【補足】
 ここの記事によると、信用情報の開示を求めることができるそうです.