RICOH GR DIGITAL III
おまえはCarlZeiss Planar 50mm F1.4を持っているくせに似たようなレンズをまた買うのか、という指摘には「貴重なご意見ありがとうございます」とだけ答えておくことにしますw
ZeissのPlanar 50mm F1.4と今回のVoigtlander NOKTON 58mm F1.4、どちらも製造は日本のコシナ.そしてレンズ構成図を見ても両方とも6群7枚でそっくりです.
これだけ見るとコシナが手を抜いて設計を使い回したようにしか見えませんが、そういうわけでもないようです.そもそもPlanarは1897年に設計されたレンズで、標準域のレンズとしてはお手本とされた製品です.その証拠に、ニコンのAi AF Nikkor 50mm f/1.4DもキヤノンのEF50mm F1.4 USMも6群7枚で同じ前後対称の構成をしています.かといって同じ描写をするわけではないのがおもしろいところですが.
いっぽうのNOKTONですが、以前はTopcor(トプコン、東京光学)ブランドで売られていた製品だそうです.なぜコシナからTopcorブランドで出されていたかは不明ですが、クラシックな風合いを残した設計のレンズを販売するにあたって自社ブランドではなくTopcorブランドを使ったほうが人気が出るという判断でもしたのでしょうか.
Nikon D700 + Voigtlander NOKTON 58mm F1.4
今回は中野のフジヤカメラにて購入しました.これは店を出て駅のほうに行く途中にあるお店の提灯.フジヤカメラで買い物をした人の格好の被写体になっているようで、ブログなどで見かけます.
F値は2.1.4でも撮影したのですがボケ具合にはそれほど違いはなく、フレアを出してソフトフォーカス気味にするかしないかでF1.4とF2を使い分けするといいのかもしれません.
Nikon D700 + Voigtlander NOKTON 58mm F1.4
F1.4で撮影.ピントの合っているところもほわっとしたフレアが出て柔らかい感じです.
Nikon D700 + Voigtlander NOKTON 58mm F1.4
F2で撮影.今回の写真は現像時にホワイトバランスと露出しかいじっていません.他のレンズに比べて色乗りがよいというか濃い感じです.
Nikon D700 + Voigtlander NOKTON 58mm F1.4
F2で撮影.ほぼ最短撮影距離.F2でここまで寄るとさすがにかなりボケます.
F1.4ではフレアが出て柔らかい描写、F2からシャープになり始めてF4できっちりとした描写になるあたり、Planar 50mm F1.4に近い印象です.F2で比べるとPlanarのほうがシャープな気がします.
機能的な面でのPlanarとNOKTONの違いは、
・絞りがPlanarは1/2段刻み、NOKTONは1段刻み
・ピントリングがPlanarは金属、NOKTONはゴム
・フードがPlanarは付属でバヨネット式、NOKTONはオプションでねじ込み式
・フードを使ってもPlanarはレンズキャップが使用可能だが、NOKTONでは付属のキャップが使い物にならない
といった感じで、価格とブランドの差別化のためか、操作性や見た目には結構な違いがあります.個人的には絞りについてはPlanarの1/2段刻みは使いづらいので、NOKTONのほうがよいですが、他の面ではPlanarのほうがよくできています.とくにPlanarのフードの作りのよさは圧巻です.NOKTONのほうはねじ込み式で収納時にも不利ですが、それ以上に付属のレンズキャップがフードを付けたときの使い勝手をまったく考えていないため、別途なんらかのレンズキャップを用意する必要性が出てきます.自分はニコンの67mmのレンズキャップを一緒に購入しました.これですとフード先端にぴったりフタができます.
画質的には、どちらもいいですね.Planarのほうが絞るとキレのいいシャープな画質になる傾向が強く、NOKTONはこってりとした色の乗りが特徴でしょうか.価格的には2万円以上差がありますが、この価格差はモノとしての作り込みとブランド料といえるかもしれません.光学系については甲乙つけがたいものがあるため、お好きなほうをどうぞ、という感じでしょうか.