2013/06/27

DSC-RX1R

Category: カメラ・写真 — Annexia @ 23:34

 ソニーのレンズ固定式フルフレームデジカメDSC-RX1の新型としてDSC-RX1Rが発表されました.

 違いはたったの1点だけ、ローパスフィルタがなくなったことです.

 ローパスフィルタを外すのは昨今のデジカメでは一種のブームとなっており、ニコンのD800/D800EやペンタックスのK-5 II/K-5 IIsのようにローパスフィルタの有無で2種類の製品を出すメーカーもあります.手持ちのデジカメでは、先日購入したGRがローパスフィルタレスです.

 デジカメにローパスフィルタが使われている理由について素人なりに簡単にまとめると次のようになります.
 デジカメにはCCDやCMOSなどと呼ばれる、画像を記録するためのイメージセンサーが搭載されています.一般的なイメージセンサーは「ベイヤー配列」と呼ばれる独特のパターンで赤緑青の3原色の各色をそれぞれ検知する素子が敷き詰められています.そのベイヤー配列独特の並び方の関係でモアレ(意図しない縞模様)や偽色(本来とは異なる色)が発生します.そこでモアレや偽色を防ぐためにセンサーの前にフィルタをつけて微妙に画像をぼかす必要が出てきます.その役目をするのがローパスフィルタです.

 ローパスフィルタがないことでくっきりとした画像を得ることができると話題になったのは、やはりシグマからFoveonイメージセンサーを搭載した一連の製品が登場したからでしょう.Foveonイメージセンサーは「ベイヤー配列」とはまったく異なり、赤緑青の素子が1枚ずつ合計3枚重なっている構造のため原理的にモアレや偽色が発生しません.なのでローパスフィルタの必要性がないのです.
 Foveonの登場により、「ローパスフィルタ=画質を悪化させる」というイメージが徐々に形成されて、その結果としてローパスフィルタのない製品を求める声が大きくなってきたというわけです.

 が、わざわざ必要性のないパーツを取り付けるほどカメラメーカーも馬鹿ではありません.ローパスフィルタを外すことによる弊害も当然ながらあります.上でも書いたように、モアレや偽色が発生しやすくなるのです.具体的にいえば、規則正しい縞模様のあるビルの外壁を撮ればモアレの発生する可能性は高いですし、自分の体験したところでは白色LEDをつかった列車の行き先表示板を撮ったときに虹色になったりもしました.
 しかしながら毎回発生するものでもなく、被写体によっても発生頻度も違うなど、非常に悩ましい存在であったりします.

 ここでDSC-RX1に話を戻すと、RX1にはローパスフィルタは搭載されているものの「多点分離光学ローパスフィルター」と呼ばれる「放送用ハイエンド業務用カメラなどにも搭載されている」製品が使用されており、画質の低下を極力防ぐような構造になっています.実際に撮ってみてもRX1の画像は非常に先鋭で自分なんかは十分な満足感を得ていました.
 なのですが、こうしてローパスフィルタレスの製品、DSC-RX1Rが登場したというのは、市場からの要望が大きかったのか、それとも最初から2種類で展開したかったのだけど様子見をしていたかのどちらかでしょう.発表会の記事によると「オールマイティな存在はあくまでもDSC-RX1であり、DSC-RX1が販売の中心になると想像している」とのことで、やはり「多点分離光学ローパスフィルター」には自信を持っているようです.
 ちなみにRX1Rの末尾の「R」はResolution、つまり解像度を意味するそうです.

 ではどれほど違うのでしょうか.さっそく海外のサイトで比較している記事がこちらにあったので見てみました.リンク先のページではRAWで撮影した画像を比較していますが、わずかにRX1Rのほうがシャープに見えますが、その反面モアレや偽色が気になります.ただ、テストチャートなどで等倍にしてじっと見て少しの差なので、普通に撮影していてどれほど違いがあるのだろうかという気がしますね.

 RX1Rの登場後もRX1は併売されるそうです.このあたりはD800/D800EやK-5 II/K-5 IIsのようにローパスフィルタの有無で選択できるようにするという方針のようです.
 解像度はほんのわずかに低下するけどモアレや偽色の出にくいRX1、解像度を極限まで求める代わりにモアレや偽色の出るリスクの高くなったRX1Rという感じでしょうか.

 ちなみにメーカーとして想定している販売価格は同じですが、現状は8,000円ほどRX1Rのほうが高いようです.発売から日数がたってくるにつれてだんだんと同じような値段にこなれてくるのかもしれません.
 ローパスフィルタってカメラのパーツのなかでも高コストなパーツだと言われているので、それがないにもかかわらず同じないしは高価格で売られるというのはメーカーにしてみれば利益率が高そうです.

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