RICOH GR DIGITAL III(クロスプロセス)
NHK新書「緊急解説! 福島第一原発事故と放射線」を読みました.
NHKのニュースなどで解説を行っている水野解説委員、山崎記者、藤原記者の3人が原発事故の経緯や日本が原発を推進した理由、そして放射線についてのQ&Aをまとめたものです.
この本で伝えようとしている重要なことは「正しく理解すること」、そして「正しく恐れること」です.今までに何が起きて、そして現在おかれた状況をきちんと把握すること、そしてそこから私たちがとるべき行動はなにか、どう判断するべきかに主眼が置かれています.
第1章-1の「緊迫の放送センター ドキュメント48時間」は読んでいても当時の緊迫感が思い出されて寒気がします.爆発したらしいという未確認の情報が入ってきた状況でなにをどう伝えるべきか、パニックを誘発しやしないか、避難をさせることで逆に放射線に晒させるような事態になりはしないか・・・という伝える側の苦悩が伝わってきます.
興味深いのは第4章の水野解説委員と山崎記者の対談.
「原発の「安全神話」に踊らされてきた」
「今の原子力業界にしなやかな発想と対策が実行できるとは思えません」
「はっきり言って、ベストを尽くしてレベル7ですかと」
「日本の政治家がどれだけ原子力のことを理解し、そのうえで政策を進めてきたのか(中略)あまりにも理解が足りなすぎる」
「日本は被曝の怖さは知っているけれども、作って使うことの怖さをどこまで知っていたのか」
「先輩の記者には「彼ら(電力業界)のいうことは信じるな」と指導されたものです」
結構厳しいことを言っている感じですが、実際に報道する側として電力業界や政府関係者と接してきた人の実感なのでしょう.