2023/12/28

2023年を振り返る – 音楽や映画篇

Category: 日記・雑記,映画,音楽 — Annexia @ 21:53

 今年も残すところあとわずか.
 1年を振り返る恒例の企画.まずは音楽や映画について.

■音楽
 新譜としてよかったのは、The Chemical Brothersの『For That Beautiful Feeling』.初めて聴いたときには前作の方が好みかな…… と思ったのですが、何度も聴くにつれてじわじわとよさが伝わってくる、いつものThe Chemical Brothersという感じですね.
 他にはTESTSETの『1STST』、くるりの『感覚は道標』がよかったです.TESTSETは、高橋幸宏亡きMETAFIVEのメンバーを中心に再構成したような顔ぶれなのですが、意志を引き継いでいる印象を受けました.くるりは新しいアルバムを出すごとにさまざまなものにチャレンジする趣向がありますが、今回のアルバムについてはオリジナルメンバーで昔に立ち返って作ったかのような曲調がオールドファン的に惹かれるものがあります.

 TESTSETで触れたように、今年は高橋幸宏が亡くなり、後を追うように坂本龍一が亡くなるという、Y.M.O.に多大なる影響を受けた自分としてはちょっとつらい1年でした.
 また、ジェフ・ベックやチバユウスケなど、影響を受けたアーティストが亡くなってしまい、自分の年齢を考えてもこの先はそういうことが多々あるのだろうなと思うと、いたたまれない気持ちにもなります.

■映画
2月:『RRR』
9月:『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』
11月:『ガールズ&パンツァー 最終章 第4話』
11月:『ゴジラ-1.0』

 今年映画館に行って観た映画はこの4本.
 もうちょっと足を運びたいものですが、よく利用しているユナイテッドシネマ としまえんが豊島園の閉園に伴って駐車場が使えなくなってしまい、ハリーポッターのテーマパークが開演したらまた駐車場が使えるようになるかなと期待していたのにそうもいかず、ということでレイトショーなどが行きづらいのが要因でもあったりします.

 『RRR』は長時間&怒涛の山場たっぷりなのがいかにもインド映画、という感じでした.
 いやー、内容濃いなーと思いながら観ていて、なんか終わりが唐突だなと思ったら「Interval」と表示されて中休み(自分が見た映画館はそのまま上映継続でしたが)に入ったときには、ちょっとやられたなと思いました.

 『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』は、デヴィッド・クローネンバーグらしさあふれる作品でした.彼の作品は観れるだけ観ておこうというスタンスなのですが(劇場上映も期間短めですし、見逃すと次にいつ観られるかもわからないですから)、映画館に行くと同好の士とおぼしき方々がそれなりにいて、なんとなく安心しますね(なにが?).

 『ガールズ&パンツァー 最終章 第4話』はだいたい1年半くらいおきに上映される、ガールズ&パンツァー 最終章の第4話.全6話なので残り後2話となってしまい、話も大詰めです.

 『ゴジラ-1.0』は『シン・ゴジラ』に次ぐ、ゴジラシリーズ.シン・ゴジラの舞台が現代だったのに対して、ゴジラ-1.0は戦時中から戦後の話.ヒューマンドラマ的な部分は個人的にはそれほど惹かれなかったものの、VFX効果の部分は見応えがありました.年明けからモノクロバージョンが上映開始となるそうなので、時代背景を考えるとそちらのほうがしっくりきそうです.

2023/12/03

SONY LinkBuds S

Category: 物欲,電化製品,音楽 — Annexia @ 22:31

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RICOH GR III

 ソニーのイヤホン、LinkBuds Sを購入しました.
 普段使いのイヤホンとしてはfinalZE8000で満足しているのですが、今回の製品は社内で使うことを前提に購入しました.
 社内ではBGMがわりにラジオが流されているのですが、放送内容やCM等によっては耳障りに感じられることが多々あります.そうした場合の対策として今までは耳栓を使っていたのですが、耳栓を使ってしまうと話しかけられたりしたときなど必要な音まで遮断してしまうことがあります.かといって耳障りに感じた時につけてまた外すというのも面倒です.
 ・装着していても必要に応じて外音取り込みと遮音(ノイズキャンセリング)を行いたい
 ・iPhoneで着信があった時の対応もできるようにしたい
 ・MacBookでWeb会議をする時にも切替等をせずに使えるようにしたい
 ・MacBookで映像を流す時の音声も聞きたい
 などといった条件を満たす製品はないものかと探した結果、LinkBuds Sが良さそうだという結論に至りました.

 LinkBudsシリーズとしては「S」のつかない、LinkBudsというものもあるのですが、そちらはイヤホン部分に穴が空いていて積極的に外音を取り込む設計になっており遮音については考慮されていないので今回は候補からは除外しました.また、ソニーのイヤホンの上級ラインとしてWF-1000XM5もありますが、音楽を聴くのは優先事項ではないのでこれも候補からは除外しました.

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RICOH GR III

 手のひらサイズの小さな容器に、中身も全て紙製というエコパッケージ仕様です.

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RICOH GR III

 説明書やケーブル、イヤピースなどが引き出しのようにして収められています.
 謎というか疑問なのは付属のイヤピース.SS/S/M/LLと、Lサイズがありません.マニュアルを確認してもLサイズは含まれていない表記になっていたので、入れ忘れなどではないようですが、最小のSSや最大のLLならともかく、中間のLサイズが付属していないという仕様はよくわかりません.

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RICOH GR III

 今回購入したカラーはアースブルー.宇宙から見た地球のようにも見える、マーブル状の青いカラーをしていますが、これはウォーターサーバの容器を再生したものなのだとか.マーブル状の模様も、1台1台異なるそうです.

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RICOH GR III

 イヤホン本体もマーブルカラー.
 このカラー以外は黒や、常時装着を前提として目立たないようにするような色合いが用意されているのですが、目立たないカラーリングのものをつけていて、補聴器っぽく見られたら嫌だなとも思ってこの色を選びました.

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RICOH GR III

 イヤピースはLサイズがないこと、それから素材が薄くてフィット感が心許なく外れやすいように感じられたので、finalのTYPE Eイヤピースのバイオレットを購入しました.

 いいところとイマイチなところなどを箇条書きにすると、次のようになります.
■いいところ
・外音取り込みがやや高音寄りになるものの違和感がなく自然
・スマホ用アプリの機能が充実しており、イヤピースのフィッティングチェックなどができる
・外音取り込みのレベルを20段階で調節できる
・ノイズキャンセリングがよく効く
・使用者の状態を検知し、歩いているときは外音取り込み、立ち止まるとノイズキャンセリング、というように自動判断される
・ノイズキャンセリングにしていても自分が喋ると自動的に外音取り込みモードに切り替わる(一定時間で解除)

■イマイチなところ、要望など
・音楽を聴くイヤホンとしての音質はまあそれなり
・AIによる機械学習アルゴリズムにより周囲の環境ノイズを抑えるとの説明ですが、Web会議では周囲の音を拾ってしまうので無音にはならずやはりミュートは必要
・「ノイズキャンセリング」「外音取り込み(レベル20段階調節可能)」という仕様になっているが、ノイズキャンセリングもレベル調節できるようにしてほしい.つまり、「外音取り込み」+「ノイズキャンセリングレベル調整で外音取り込み調整」、といった使い方をしたい
・常時装着を考慮した製品とはいえ、ノイズキャンセリングをオンにするとバッテリは6時間しか持たない
・外音取り込みやノイズキャンセリングにモードが切り替わる時に流れる音の音量を調節したい
・外音取り込みやノイズキャンセリングにモードに手動切り替えするときの切替速度をもっと速くしてほしい
・自分が喋ると外音取り込みになる機能をさらに一歩押し進めて、誰かに話しかけられたら外音取り込みになるといいな

 細かな気になる点は多々あるものの、全体的に見たら完成度の高い製品だと感じました.

2023/04/23

final E4000/MAKE4

Category: 物欲,電化製品,音楽 — Annexia @ 21:48

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Apple iPhone13 mini

 イヤホンを2個買いました.どちらもfinalの製品でE4000MAKE4です.
 価格はどちらも15,000円前後.片方だけで十分だろうとか、両方合わせれば3万円くらいのもっといいイヤホンも買えただろうという考えもあるのですが、「MAKE4」という、やや特殊ともいえるイヤホンを購入したかったこと、またその比較対象として同じような価格帯の定評のあるイヤホンが欲しかったという理由によりこの2つを購入するに至りました.

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FUJIFILM X70

 先に購入したのはE4000.MMCX対応でリケーブルができるのが特徴です.
 finalのEシリーズはE500/1000/2000/3000/4000/5000とバリエーションが多く、4000と5000がリケーブル対応です.E4000を選んだのは音の傾向(試聴はせずにレビュー記事等を参照)が自分の好みに近いであろうこと、予算額に近かったというのが理由です.

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FUJIFILM X70

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FUJIFILM X70

 アルミ筐体でコンパクトな作りになっています.
 付属品はイヤーピースのほかにSHURE掛けするためのフック、MMCX端子を取り外ししやすくするMMCX ASSIST、シリコン製ケース(カラビナつき)など豊富です.
 聴いてみた印象はクリアで低音から高音までバランスのいい、はっきりとした音.硬めの音が好きな自分としては好みの音です.が、もう少し低音が強い方がいいかなと感じました.

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Apple iPhone13 mini

 そこで、リケーブルできる利点を活かして低音が出ると評判のケーブルに交換してみました.Nobunaga Labs「ほのか」です.銅線を編み込んだ形状がなかなか派手な感じではありますが、エントリークラスの製品なので5,000円ちょっとでした.
 期待どおり、低音が強くなり好みの音質に近づいた感もある反面、標準のケーブルで感じたバランスの良さのようなものはやや崩れたような印象も受けました.こうなると他のケーブルも気になってしまいます.比較的安価な製品に手をつけただけとはいえ、オーディオという沼の片鱗を見せつけられたような感じです.

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Apple iPhone13 mini

 もう1つのイヤホン、MAKE4です.自分はfinal直販で「MAKE4 スターターキット」を購入したのですが、段ボール箱を開けると5個の缶が出てきました.どうやらパッケージはないようです.

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Apple iPhone13 mini

 それぞれの缶を開けていくと、イヤホン本体などのパーツが出てきます.5個の缶の中身は、イヤホン本体、ケーブル、チューニング用のパーツ、イヤーピース、そして1つは空っぽ(ケース)です.

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Apple iPhone13 mini

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Apple iPhone13 mini

 MAKE4の最大の特徴は、自分でパーツを交換するなどして好みの音質を作り出せることです.
 調整できるポイントは、
・イヤホン後端のダイヤル回して低音-高音の調整(約30段階)
・音導管(イヤーピースを取り付ける部分)の外側、内側のフィルタ(10種+フィルタなし)
・音導管内部に入れるスポンジ(6種+スポンジなし)
・外部へ音圧を逃すベントフィルタ(10種+フィルタなし)
と多岐にわたります.
 フィルタはシール状になっており、精密作業用のピンセット(別売)で貼り付けます.始めるまではこんなシールみたいなものでそんなに音が変わるものかなと半信半疑でしたが、試しに低音に振ったフィルタを貼ってみるとボコボコの低音になり、逆に高温よりにするとスカスカになります.
 出荷時の状態でも十分クリアでいい音がするのですが、そこから手を加えていく過程がとにかく楽しいです.低音のこもりは減らしたいけど存在感のある硬めの低音は出したい、高音の伸びがもっとほしい…… とあれこれいじりながら好みの音質に仕上げていき、好きな曲が生き生きとした感じで聞こえるかと思えばクラシック音楽を聴くと派手すぎてバランスがとれていない…… なんてこともあり、ここまできてE4000のような出荷時から基本的に音のいじれないイヤホンのバランスのよさというものを思い知らされたりもします.
 一般的にはイヤホンを分解したりフィルタ等のパーツを交換したりする行為は保証の対象外となりメーカー推奨ではないと思われますが、それを許容し遊べるように設計したfinalはユニークな会社だと感じました.
 またMAKE4、という名称から想像できるようにMAKE1から3もあり、そちらはイヤホン本体をドライバーで分解してパーツ交換しなくてはなりません.音導管内部をいじるのにレンチで取り外すという工程があるものの、比較的簡単にいじれるのはMAKE4の利点です.
 さらに新しいタイプの音導管が直営店ではお試しできるようになっているとか、新たなパーツの追加も予定されているようで、なんか楽しいおもちゃを手に入れたような感じですね.もちろんおもちゃの域にとどまらず、好みの音質を奏でるイヤホンとしての実用性も兼ね備えています.

2022/12/29

2022年を振り返る – 音楽や映画篇

Category: 日記・雑記,映画,音楽 — Annexia @ 21:03

 今年も残すところあとわずか.
 1年を振り返る恒例の企画.まずは音楽や映画について.
 音楽についてはApple Musicに依存するような形が定着して好きなものを聴けるようになったというのに、新しいものに手を出さなくなっているあたりが老化というものなのかなという気がしています.

■映画
2月:『キングスマン:ファースト・エージェント』
5月:『シン・ウルトラマン』
7月:『トップガン マーヴェリック』
11月:『王立宇宙軍 オネアミスの翼』

 今年映画館に行って観た映画はこの4本.
 『キングスマン:ファースト・エージェント』は2019年公開の予定がCOVID-19の影響などで伸び伸びになってしまい、ようやくの公開でした.キングスマンが結成される当時の様子を描いた前日譚で内容的にもややバランス性を欠いた作品のような印象もありました.新作が作られるのを心待ちにしたいと思います.
 『シン・ウルトラマン』は外星人の視点や立場から人間の内面などを描いたという点では、『シン・ゴジラ』とはまた違った観点から作品を仕上げている感じがありました.『シン』シリーズとしては『シン・仮面ライダー』が控えているわけですが、次はどのような見せ方をしてくるか、楽しみです.
 『トップガン マーヴェリック』は前作『トップガン』の正当な続編というか、王道を行く娯楽作という仕上がりでさすがでした.前作から36年、登場人物は年齢を重ねており後継者たちとの世代交代などをどのように描くのか、ややもすればそれが不安ではあったのですが杞憂でした.
 『王立宇宙軍 オネアミスの翼』は1987年公開の作品で10年後の1997年にドルビーサラウンド対応になって再度映画館で上映され、さらにその25年後、4Kリマスタリングされたものが再度上映されました.最初の公開当時は観に行くことができませんでしたが、1997年と2022年は映画館で、それも両方とも立川シネマシティで鑑賞できました.正義は勝つ、的な単純な話ではなくどちらかといえばもやっとしたものが心に残る作品ではあるのですが、それがこの作品の持ち味なのではないかと思います.

2022/12/25

final ZE8000

Category: 物欲,電化製品,音楽 — Annexia @ 21:10

 今年はYAMAHA TW-E7B購入し、左右独立式のワイヤレスイヤホンはこれで十分…… というつもりでいたのですが、12月に入ってfinalからZE8000が発売になり、従来のイヤホンとは異なった製品であるらしいのが気になって購入してみました.

 前述したようにYAMAHA TW-E7Bでそれなりに満足しており、ただ単に高級なパーツを使いましたというような高音質をうたった製品であれば購入には至らなかったと思われます.音質やノイズキャンセリング等が上質なもの、という観点であれば他にも定評のある選択肢もありますし.
 しかしながら、ZE8000はメーカーいわく「新しい物理特性」をもとに開発された製品であること、またメーカーであるfinalが型番に「8000」を付けるのは何らかのブレイクスルーを起こしたと認識する製品であること(例:A8000D8000)からメーカーとしての自信作であることが伝わってきて、興味を惹いたというわけです.

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Apple iPhone 13 mini

 予約を入れたのが11月25日、発売日が12月16日と約20日間あり、その間に直営店などで試聴をした人から賛否両論が巻き起こっているのをネットで見かけました.興味深いのは人によって言っていることがまちまちなこと.人によっては真逆の感想を述べていたりもします.大部分の人が同様のことを言っているのであればそういう製品なのだなという判断になるのですが、ここまで多種多様な意見が多いとどこまで参考にしていいのかすらわからない状況でした.
 また、メーカー自身も短時間の試聴で判断をしないでほしいということを言っており、なんだか癖の強い製品なのだなということだけはなんとなく伝わってきました.
 試聴をしてから判断するという選択肢もあったのですが、上記のように短時間の試聴で判断しないでほしい(のちにこの発言の意味がよくわかることになりますが)ということから、だったら買ってみて判断するしかなかろうということで試聴はせず予約キャンセルもしないでそのまま購入することにしました.

 発売日に届いたパッケージは昨年末に購入したZE3000と同様のもの.ただし充電ケースの大きさや付属品の違いによってパッケージが大きめです.

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FUJIFILM X70

 充電ケースのスライド式の蓋を開けてペアリングしたのちに行うのはファームウェアアップデート.購入時のファームウェアはVer.1.7.1でしたがアップデートしたところ ver.1.7.8になり、数時間後に試したらさらにVer.1.8.0に更新されました.

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Apple iPhone 13 mini

 イヤホン本体はなかなか特徴的なデザインをしています.耳穴に近い位置から順に、音響パーツ、バッテリ、アンプやアンテナなど、とそれぞれが分離した構造でデザインされており、そのためにこのような形状をしているそうです.
 充電ケースやイヤホン本体はざらついたシボ塗装が施されており、イヤホン本体の棒状のデザインと相まって、箸置きやお菓子の「小枝」のようにも見えます.

 肝心の音質について.
 初期状態で取り付けられているイヤーピースはMサイズ(そのほかSS/S/L/LLサイズが付属)なのですが、このまま聴いてみたところモコモコとした低音で高音も出ず、なんだこれ…… と思うような音でした.試聴した人にも同様の感想を言っている人がいたのを思い出しました.
 他のサイズを試してもみたのですがあんまり印象も変わらず、奥までしっかり入っておらずフィットしていないのではないかと思って小さめのサイズを押し込んでみても違和感しかありませんでした.結局到着したその日はメーカーの意図もわからず、どうしたものかと思いつつさまざまな曲を試聴し続けていました.
 翌日も状況としてはさして変わらず、自分の耳と合っていないのかなと思っていたところTwitterかなにかで重要な情報を見つけました.ZE8000のイヤーピースは一般的な形状ではなく、耳穴以外にもイヤホン本体が耳と触れる部分を覆うようにしてシリコンが形成されている特殊な形状をしているのですが、ずっと一般的なカナル型と同様の装着方法だと思い込んで耳穴に深く入れていたわけですが、実はそれは間違いで耳穴に軽く入るくらいの位置で装着する必要があるとのこと.その方法でイヤーピースのサイズを交換しつつ試したところ、いままでのこもった音とは別物の音が聴こえてきました.なるほど、試聴段階で多様な意見が出ていたのはイヤーピースの取り付けかたによるところなのだと気づきました.
 取り付けのコツを掴んだのか、はたまたイヤホンがエージングなどにより本来の性能を発揮するようになったのか、はたまた自分の感覚が馴染んできたのか判断がつきませんが、聴いていくにつれて当初とは異なる量感を伴った音質の高さを実感できるようになりました.なのでいままで聴いてきた様々な曲を改めて聴き返したくなります.
 また、解像度が高く細かな音まで聞こえつつも、音のエッジがそれほど立っていないので柔らかい印象を受けました.音のエッジを立たせると解像度が高く感じられたりするものだと思いますが、ある程度の柔らかな音を出しつつも高いレベルの解像度があるというのはなかなかすごいものだと思いました.しばらく聴いたのちに比較しようとTW-E7Bに切り替えたところ痩せた音に聴こえてしまいちょっと驚きました.「一度その感覚を受け止めることができた後ではもう引き返せなくなります」とメーカーがいうその意味を思い知らされた格好です.
 1年前に発売されたZE3000でも感じられた音の広がり感は健在で、なおかつZE3000ではちょっと弱く感じられた解像感が改善されているので、個人的にも好みの音質や音の出し方をするイヤホンだと感じました.
 問題点なのかどうかはわかりませんが、録音状態の良し悪しがはっきりと出てしまう傾向にあるのか、曲によってはやはりこもった印象を受けるものもありました.

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Apple iPhone 13 mini

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Apple iPhone 13 mini

 昨年末に購入したZE3000以降、TW-E7B、そしてこのZE8000もaptX Adaptiveに対応しているので、対応するアダプタを購入しました.クリエイティブラボのBT-W4です.aptX Adaptiveの性能上限である96KHz/24bitではなく、48KHz/24bitまでの対応となります.
 Apple製品標準のAACよりは情報量も多くなるので音質向上を期待していたのですが、ZE8000ではそれほどの違いは感じられませんでした.TW-E7Bですと音の情報量が上がったような感覚はあったのですが錯覚かもしれません.

 音質以外のことについて.
 カナル型のイヤーピースのように耳に奥まで入れて耳栓のような役割を果たす、パッシブノイズキャンセリングではないこともあってか、ノイズキャンセリングの効果は控えめです.また、ノイズキャンセリングと切り替えて動作するモードとして、「ウィンドカットモード」「ながら聴きモード」「ボイススルーモード」があります.イヤホンが縦長でやや角張った形状をしていることもあってか、屋外で風の強い時にはかなり盛大に風切りノイズが聞こえてしまいますので、そうした場合にはウィンドカットモードが重宝します.買い物などで一時的に外部の音を取り込みたい場合にはボイススルーモードを使用しますが、曲は小さいながらも流れ続けます.個人的には曲は止まる方が好みかなと思いました.
 また専用アプリも用意されており、昨今の流行なのかあれこれと設定が変更できるようになっています.
 アプリでイコライザの設定もできますが、イヤホン本体かアプリ側の不具合か設定が消えてしまうことが多く、現状は使っていません.
 音質をさらに上昇させるモードも用意されていますが、イヤホン本体の動作時間が30分から1時間ほど減少してしまうこと、また自分の耳では大きな違いは感じられなかったので、このモードはオフにして使用しています.

 結論としては、非常に気に入って使用しています.他にも気に入って使ってきたイヤホンはありますが、例えば出勤時に使用していて「このまま曲を聴き続けたいのでイヤホン外したくない」とまで思う製品は初めて、といえばわかるでしょうか.