2024/12/30
1年を振り返る、旅行篇です.
今年はいくつかの要因もあって、遠出することの多い1年でした.
ひとつは車の買い替え.やはり新しい車に乗り換えたら旅に出たくなろうというものです.
他にも、『大人の休日倶楽部』に入会して、『大人の休日パス』を使えるようになったことや、JR東日本のポイントを貯めての『どこかにビューーン!』を使っての旅行などが出かける回数の多い要因ですね.『大人の休日倶楽部』も『どこかにビューーン!』もJR東日本の施策に取り込まれている感がありますが、そこはあえて乗っかって利用していきたいものです.
1月:金沢
Nikon Zf + NIKKOR Z 26mm f/2.8
1月に能登を震源とした大きな地震があり金沢界隈の観光客が激減していること、そして3月に北陸新幹線が敦賀まで延伸することで関西圏から金沢まで直通する在来線特急が消滅してしまうので今のうちに乗っておきたいという2つの理由で冬の金沢に出かけてきました.
東京から出発するのに金沢行きの北陸新幹線ではなく、わざわざ東海道新幹線で京都でサンダーバードに乗り換えて金沢に向かうという行程で、北陸線特急に長距離乗車するのも乗り納めかとややしんみりしました.能登の復興にあわせて関西圏から能登直行の特急を走らせるという話もあるようですが、新幹線に乗ってほしいJR西日本の意向を考えると、実現しても限定的なものになりそうです.
金沢はたしかに人が少なく、ひがし茶屋街のような観光地でも閑散としていました.
4月:出雲・松江
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2
こちらも鉄道車両の引退にまつわるもの.
国鉄型特急車両の最後の生き残りといわれている、岡山と山陰を結ぶ振り子式特急の381系がもうすぐ引退するというので、一度乗っておきたいなと思って『サンライズ出雲』の空き状況を見ていたら、金曜に空きがあるのを見つけたので即座に予約を入れて、仕事帰りにそのまま夜行に乗って山陰まで出かけてきました.
出雲や松江は行ったことのない地域なので、まずはスタンダードなところに行ってみようと思い、出雲大社に参拝して三段割子蕎麦をいただき、松江城を見て帰ってくるルートをとりました.帰りに松江から岡山まで381系に乗車しましたが、グリーン車だったこともあってか座っている分にはそれほどの不快感はなかったですね.とはいえ、車内を回っている車掌さんが「次は……」と言いかけたところで大きな揺れで座席にぶつかっていたり、途中でトイレに立ったものの、この揺れで用を足すのは不可能と判断して我慢することにしたくらいには暴力的な揺れでした.新型車両も振り子式車両ですが方式がまったく異なり快適になっているとの評判なので、いつか乗ってみたいです.
4月:長野(ロードスター購入)
Nikon Zf + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
ND2ロードスターが納車されたので、慣らし運転を兼ねて長野まで出かけてきました.
ND1型(2015年式)からの乗り換えなので車両感覚は慣れているとはいえ、新車ということもあってシフトの渋さやステアリングの感触、足回りの動きに違いがあって、乗り慣れた車のはずなのになんか違うという不思議な体験でした.
中央道と長野道経由で松本で一泊し、大町や長野市内を経由して小布施に行き、上信越道と関越経由で帰ってくるというルートでした.桜のシーズンはもう終わりかなと思っていましたが、まだまだ見頃で運転していても景色のよいところを走れてよかったです.
6月:上田(どこかにビューーン!)
Nikon Zf + Voigtlander ULTRON 28mm F2
田沢湖、上越妙高と続いて、3度目の『どこかにビューーン!』の行き先は上田でした.
行ったことのない街なので楽しみではあるのですが、出発時間の選べない『どこかにビューーン!』の本領発揮とでもいうか(出発/到着のざっくりした時間帯は選べるものの便は選択不可)、東京駅出発が6時半ごろで上田到着が8時前.早朝で起きるのも大変ならば着いてもまだ店舗も開いておらず、行程を組むにも悩まされます.
宿は以前から行ってみたかった別所温泉で決まりとして、それまでの時間をどうしようと思い、小諸まで足を伸ばしたりして過ごしました.途中でいただいた蕎麦や宿の食事など、美味しい食べ物をいただいた旅行でした.
7月:銚子
Nikon Zf + NIKKOR Z 24-120mm f/4 S
毎年のように出かけている銚子.やはりお目当てはイワシ料理.
イワシ以外にも金目鯛などをはじめとした海産物で美味しい料理が多々あるのですが、だんだんと食が細くなってきてあれこれと食べられなくなっているのがつらいところです.
7月:足尾
Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4
『わ鐵』こと、『わたらせ渓谷鐵道』は以前から行ってみたいと思いつつも、なかなか行けていない場所でした.
浅草から赤城まで特急で向かい、上毛電鉄で西桐生、桐生からわ鐵、というルートで鉄道の旅を堪能してきました.わ鐵は鉄道車両のカラーリングやデザイン、駅舎の雰囲気など、鉄道好きの心をくすぐるような路線でした.
通洞駅で足尾銅山観光でトロッコに乗って坑道に入りましたが、ここもなかなかよかったです.本数が少ないので通洞から足尾駅まで歩きましたが、足尾駅の旧国鉄車両の展示なども風情があってよかったです.
9月:東北
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2
車を新しくしたら、やはり遠出をしたいというもの.
以前から行ってみたいと思っていた、岩木山と、そのふもとで食べられるとうもろこし『嶽きみ』を目当てに、弘前まで出かけてきました.
行きは郡山まで東北道を走り、そこから内陸に入って猪苗代湖を回って会津若松、喜多方、米沢と回って山形で宿泊.翌日も秋田の内陸部を走ったところ、秋田内陸鉄道が走っているところを見かけて、ちょっとあれ乗ってみたいなと思ったのが翌月の東北旅行につながりました.
9月:八ッ場ダム
Nikon Zf + Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm F4.5 VM
八ッ場ダムは完成間近のとき以来の訪問です.完成間近のときも近隣の道の駅はそこそこ賑わっていましたが、完成後は観光地として定着したようで、道の駅は駐車場も大半が埋まるほどの混雑ぶりでした.
八ッ場ダム自体も来訪者が多くて賑わっており、ダム完成までの紆余曲折がいい方向に向かって観光地として定着した感じのように見えました.
10月:東北(大人の休日パス)
FUJIFILM X100VI
大人の休日倶楽部の会員の特典として『大人の休日パス』があり、1年に何回か、JR東日本の全区画(と3セクなど一部の私鉄)が5日間、新幹線も特急も含めて乗り放題という切符が発売されます.今回はその切符を使って東北のローカル線などを乗り継ぐ旅行をしてきました.
秋田内陸縦貫鉄道 秋田内陸線は大人の休日パスの対象ではないですが、9月にロードスターで東北旅行に出た際に走行しているのを見かけて乗ってみたくなったので角館から鷹巣まで乗車しました.
さらに金田一温泉に宿泊するなど、いつもと違った旅を楽しむことができました.
12月:長野(どこかにビューーン!)
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 II
どこかにビューーン!を利用しての旅行、今年は上田に続いて2回目です.またしても長野県、しかも県庁所在地である長野です.
定番の観光地である小布施を観光したのちに、長野の象徴ともいえる善光寺の宿坊に宿泊し、翌朝は夜明け前から参列して『お朝事』に参加してきました.善光寺は何回か訪れてはいますが、このようにしてしっかりと参列したのは初めてです.
今年は結構あちこちに行きましたが、前述のような理由で東北から甲信越方面が多かったですね.
たまには飛行機乗りたいなとか、西のほうにも行ってみたいなと思いつつもなかなか行けてないですね.
2024/12/26
どこかにビューーン!で長野へ、つづきです.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
翌朝、6時20分ごろ集合で善光寺に向かいました.
善光寺では日の出に合わせて「お朝事」と呼ばれる朝の法要が行われます.また、その前に数珠にて参拝者の頭を撫でられる「お数珠頂戴」という法要も行われます.
この日のお朝事が始まる時刻は6時57分.日の出時刻に合わせて毎日1分ずつ時刻が変更されます.冬至の日には7時ちょうどになるそうで、自分が参加した日は冬至の3日前なので6時57分というわけです.
なお、気温はマイナス3度.案内をしてくださる方から、宿坊にあるブランケットを持参するように言われましたが、確かに必須でした.夏場であればこんな寒い思いをせずに済むのに…… と思われるかもしれませんが、夏至の時期のお朝事は5時半から開始となるので、別の意味でつらそうです.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
賑わう善光寺も朝7時前ですとさすがに人通りが少ないですね.
本堂前の石畳で「お数珠頂戴」をされたのちに、本堂に入って法要に列席しました.
また、宿坊からガイドしてくださった方から興味深い様々な話を聞くことができました.
・善光寺というのは寺院としては珍しく、どこの宗派にも属していない(日本で宗派ができる前に建てられたため)
・ただし宗派が存在しないと管理もできないので、天台宗と浄土宗の2つの宗派が半分ずつ担当している
・なので「お朝事」が行われる1時間も、30分ずつ天台宗と浄土宗の法要が営まれる
・浄土宗の法要は時間がかかり30分には収まらないので、通常よりも早口で法要が行われる
・本堂の仏様にむかって左側が仏様のおられる世界、右側が現世を意味しているので、左側にて法要が営まれて、参列者も左側に座る
などなど、知らないことばかりでした.
なお、「お数珠頂戴」は「お朝事」の開始前だけでなく終了後にもあり、開始前は天台宗の流儀で数珠の玉の部分で重量感のあるお数珠頂戴を、終了後は浄土宗の流儀で数珠の房の部分で軽く撫でるようにしてお数珠頂戴をされる、といった違いがあります.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
お朝事が終わると8時半近くになっていました.昨日と変わっていい天気です.案内してくださったかたいわく、昨日の朝は雪が降っていてお数珠頂戴も寒くて大変でした、とのことでした.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
宿坊にもどり、朝食をいただきます.精進料理とはいえ、なかなかのしっかりしたボリュームです.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
帰りの新幹線が12時過ぎなので、どこかを観光するほどの時間的余裕もなく、参道の土産物店などを冷やかしつつ長野駅まで戻りました.
途中、いただいたおやき(野沢菜)がとても美味しかったです.おやきはスーパーなどでたまに販売されているものを買ったりしますが、作りたてということもあって油で炒められた野沢菜の旨みが感動的でした.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
土産物を買い込み、お昼は駅ビルで購入したソースカツ丼をいただきました.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
さらにシンカンセンスゴイカタイアイスとコーヒーを.
宿坊に泊まり、お朝事に参加させていただいても煩悩はそう簡単には収まらないですね.
2024/12/25
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
今年を締める旅行として、運に任せてみようかということで、たまっているJREポイントを活用して「どこかにビューーン!」で出かけてきました.
行き先は長野駅です.ちなみに他の候補地は、村山駅(山形県)、新潟駅、くりこま高原駅(宮城県)です.この中でどこに行きたかったかといえば新潟だったのですが、長野も観光地としてはよい選択肢だと思われます.もっとも、今年は長野県に行った回数が多かったので別のところがよかったなという気持ちもありましたが……
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
9時半ごろに東京駅を出発し、11時過ぎに長野駅に到着するのでわりとゆったりした行程です.停車駅の多い便でしたが、それでも1時間半程度で到着するので長野は近く感じられます.
東京を出てずっと晴天で、長野県に入っても篠ノ井のあたりまではいい天気だったのですが……
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
ほんのちょっと進んで川中島のあたりまで来たら急激に天候が変化しました.どんよりとした雲が垂れ込め、屋根は雪で白くなっています.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
JR長野駅から長野電鉄の長野駅に移動し、特急列車に乗車します.
長野電鉄の長野駅はJRに隣接しているので、雨や雪に濡れることなく移動できます.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
30分ほどの乗車で小布施駅に到着しました.隣の線路には上りの特急列車が.編成は短くなっているものの、旧小田急電鉄ロマンスカーを使い続けてもらっているのは小田急線沿線住民としては嬉しいものがあります.しかもこの車両、連接台車といって車両と車両の間に台車がある、メンテナンスが面倒な車両なのでなおさらです.
Apple iPhone 13mini
余談ですが、今回の旅行には前日に発売されたばかりのコシナ(Voigtlanderブランド)のレンズ、APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical IIを持ってきています.
コシナの工場は、この長野電鉄をもう少し進んだところにある中野市にあるので、よもやこのレンズも発売翌日にこんな近くまで里帰りするとは思っていなかったでしょう.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
小布施駅からしばらく歩いた先に店舗や葛飾北斎の博物館などが並ぶ一角があります.
お昼はそこの『寄り付き料理 蔵部』にていただきました.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
地元の食材を使用した料理が取り揃えられており、『信州鶏 蔵部の山賊焼き 特製ソース2種添え』をいただきました.また、ご飯を岩魚(イワナ)とキノコの炊き込みご飯に変更してもらいました.
山賊焼きはどちらかといえば長野でも諏訪や松本界隈の料理ですね.下味のしっかりついた揚げたての鶏肉はそのままでも美味しく、2種のソース(大根とにんじん、チーズとわさび)がいいアクセントになります.
岩魚とキノコの炊き込みご飯もとても美味しく、これだけでもご飯が進みます.白米のおかわりは自由とのことでしたが、次もあるのでここは我慢します.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
続いてやってきたのが『えんとつ』.9月や10月などの栗のシーズンともなると期間限定の『朱雀』を求めて混雑しますが、さすがに12月はオフシーズンですので人も少ないです.とはいえ店内は席の半数以上が埋まるほどの賑わいなのはさすがです.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
メニューは『モンブラン朱雀』と飲み物(朱雀ブレンドホットコーヒー、アイスコーヒー、紅茶、小布施産りんごジュース)の1メニューのみ.
朱雀ブレンドホットコーヒーを選びました.中深煎りくらいの飲みやすい味わいです.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
秋限定の『朱雀』は加糖していない、蒸して裏漉ししただけのストレートな栗を味わうためのもので上級者コースな味わいですが(中は栗あん)、『モンブラン朱雀』は栗あんベースなので食べやすいです(中はアイスやクリームなど).添えられているソースはカシスとココア.ココアのほうが自分の好みでした.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
小布施は葛飾北斎ゆかりの地で昼食をいただいた蔵部のすぐそばにも葛飾北斎の美術館『北斎館』がありますが、2kmほど歩いたところにある寺院『岩松院』にも北斎直筆の天井絵があります.そちらを訪れてみました.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
山の麓にある寺院で、内部は撮影禁止です.
天井絵は仏様に向き合うようにして鳳凰が描かれており、寺院のかたが見所などをガイドしてくださります.北斎晩年の作品で、多種多様な絵の具を用いた豪華な仕上がりで、見る向きによって色合いがまったく異なるなど、見入ってしまいます.
また、この寺院は葛飾北斎以外にも武将の福島正則、俳人の小林一茶ともゆかりがあり、寺院内の池では一茶の有名な句、「やせ蛙まけるな一茶これにあり」を詠んだ場所といわれています.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
小布施駅に戻って、長野方面に向かいます.
小布施駅には売店のようなスペースがあり、農作物などが売られています.シャインマスカットがこのボリュームで400円というのは安いですね.とても美味しかったです.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
善光寺下駅で下車し、善光寺に向かいます.時刻は16時半くらいですが、冬至も近いこの時期、すでに暗くなってきました.
宿に入る前にコーヒーを買っておこうと思い、スターバックスに立ち寄りました.参道にある店舗は周囲の環境に配慮してデザインされた『リージョナル ランドマーク ストア』になっています.自分が行ったことのある店舗だと、他には弘前公園前店と富山環水公演、出雲大社店が該当します.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
今回は宿泊先としてホテルや旅館ではなく、善光寺の宿坊を選びました.善光寺には30近い宿坊があり、今回宿泊したのは薬王院です.宿坊に宿泊したのは、以前に高野山を訪れたとき以来です.
ホテルや旅館ほどの自由度はなく、どちらかといえば民宿に近い雰囲気といえるかもしれません.お風呂は時間を指定して交代制にて入る、門限は21時、それ以降はお静かにお過ごしください…… というようなことを除けば、普通の宿と変わりません.
また、希望すれば写経や坐禅を体験することもできます.
Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II
食事については夕食、翌日の朝食とも精進料理ですので、肉や魚はありません.宿坊にもよるようですが、般若湯(いわゆるアルコール類)は注文できました.
つづきます.
2024/11/10
大人の休日倶楽部パスで東北旅行、さらにつづきです.
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金田一温泉駅から列車に乗り、さらに北上します.
整備新幹線(盛岡以北の東北・北海道新幹線や北陸新幹線、九州新幹線)が敷設された地域は在来線が第3セクターになるため、その多くは県ごとに運営する会社が変わります.とはいえ、県境はえてして小さな駅だったりすることが多く、そこで列車を行き止まりにしても意味がないので相互運転を行なっています.
金田一温泉駅は岩手県と青森県の境に近い場所にあることもあって(次の目時駅がIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道の境界駅)、相互乗り入れしている青い森鉄道の車両がやってきました.
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八戸駅で列車を乗り継ぎ、野辺地駅までやってきました.ここが今回の旅行の極北となります.
ここにきた目的はこの防雪林.かつて新幹線がまだ盛岡までしか開通していなかった頃、東北本線で特急や急行に乗っていると、この辺りの車窓が高さのある木々に囲まれていて、まるで森の中を走行しているかのような雰囲気があってお気に入りの場所なのです..
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列車の本数が少ないのであまり時間に余裕はないのですが、散策の前にまずは駅構内の立ち食いそば(とはいっても座席が用意されていましたが)にてお昼を.
ここの名物『北前駅そば』です.ホタテ、地の野菜のかき揚げ、そして『けいらん』が入っています.『けいらん』とは鶏卵ではなく、この土地の名物であんこ入りの団子のことです.
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駅から少し離れた陸橋の上から撮影.旅客列車の本数はさほど多くないのですが、それよりも貨物列車の本数の方が多く感じました.やはり首都圏のみならず東名阪や福岡などと北海道を結ぶ重要路線なので貨物輸送量も多いのでしょう.
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再び八戸駅に向かい、そこから八戸線に乗り換えて鮫駅に向かいました.
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鮫駅とは変わった駅名ですが、駅前にはご丁寧にも鮫の像がありました.
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鮫駅から15分ほど歩いた先に蕪嶋神社があります.
蕪嶋神社を訪れるのはこれが2度目です.前回(6年前)のときは神社が全焼して再建中のため仮社殿でしたが、今回は再建された姿を見ることができました.
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蕪嶋神社はもともとは蕪島という島でしたが、埋め立てられて今は陸続きになっています.小高い丘のようなところに建っているあたりに島の名残を感じさせます.
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蕪嶋神社といえば有名なのがウミネコの繁殖地.ただシーズンは6月ごろとのことで、10月ではほとんど姿は見れませんでした.
その代わり…… というわけではないのでしょうけど、鳥居のしめ縄の上に神妙な面持ちで鳩がいました.周囲で話していた内容によると、いつもこの鳩はここにいるのだとか.
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この日は八戸市街に宿をとっていたので、本八戸駅で下車して市街地に向かいました.新幹線の駅である八戸は市街地から離れているうえに周囲にはほとんど店もないんですよね.なので、市街地に向かうには八戸駅から八戸線に乗って本八戸駅で下車するか、バスで八戸の市中心部(八戸線で本八戸駅下車よりもバスのほうが市の中心部に着くし本数も多い)に行く必要があります.
この日は土曜ということもあって、目星をつけていた店を何件か回るも予約なしでは入れないという状態でした.そんな中でもようやく入れる店を見つけたのでそちらで夕飯をいただきました.
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八戸に来たらやはり海産物、ということでまずは寿司のセットを注文しました.
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汁物としてせんべい汁が付いてくるところが嬉しいところです.
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嶽きみの天ぷら.10月なのでもうそろそろシーズン終了かなと思っていましたが、メニューにあったのでつい注文してしまいました.甘くて美味しいです.
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あと、やはり八戸ならイカは食べておきたいということでイカ刺しも注文しました.肝も付いててこちらも美味しかったです.
青森県の主要都市といえば、県庁所在地の青森市、そして弘前市が思い浮かびますが、八戸の市街地というか繁華街もかなりの賑わいぶりでした.訪れた日が土曜の夜ということを差し引いても街中に人があふれかえっていて、ホテルの部屋に戻っても比較的上階であるにも関わらず深夜近くになるまで車の走る音も含めて喧騒が伝わってきていました.
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翌日は八戸の市街地にあるバス停から八戸駅まで向かい、昼過ぎに東京に着く便で帰りました.
翌日が月曜で出社なのであまり無理もできませんし.
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八戸駅で購入した駅弁.イカと鯖を中心とした「三八弁当」です.一夜干し風に仕上げたイカにはワタを使ったタレをかけ、さらに甘辛く煮込んだイカの足としめ鯖という好みの分かれそうなメニューですが個人的には非常に気に入りました.
今回は『大人の休日倶楽部パス』を利用しての旅行でした.18,800円でJR東日本エリア全線といくつかの三セク鉄道が乗り放題、しかも新幹線と特急も乗り放題かつ6回まで指定席利用可能というのはなかなかの大盤振る舞いです.
しかしながら実際に使ってみると気になるところもありました.
・利用期間が1年に3回(今年はさらにプラス1回)と期間限定のため乗客が集中してローカル線などが混雑する
・6回まで新幹線・在来線特急の指定券が利用可能だが、そもそも特急列車が激減しており使い所が難しい
・特急列車が少ないからといって普通列車が多いわけでもないので、行程には苦労する
ただ、この切符を1枚持ってさえいれば支払いの手間なくいくらでも乗車できるというのはやはり楽でいいですね.
なまじ、元を取ろうとか乗れるだけ乗ってやろう的な貧乏くさい考えを持つとスケジュール的にも苦労するので、ある程度行き先とテーマを決めて、プラスアルファの自由移動を組むとか、もしくは5日間行けるので2つに分けて、3日間の東北旅行のあと、ちょっと長野や新潟に行く、みたいなパターンもいいのかもしれません.
行程と時間的余裕を考えつつ、また利用したいと思います.
2024/11/03
大人の休日倶楽部パスで東北旅行、つづきです.
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ホテルから駅に向かう途中、道路を横切るように線路がありました.
道路部分は完全にレールが埋められてしまっており、その先も柵があることからも廃線跡なのは明らかです.
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しかし反対側は綺麗に整備されています.
これは小坂製錬小坂線の廃線で、今はレールバイクを走らせるといったイベント用に活用されているようです.
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そのすぐ近くに、かつて渋谷駅前の広場に展示されていた東急5000系がいました.
どうやらハチ公のつながりで観光施設の「秋田犬の里」の敷地内に移設されたそうです.
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そして大館駅前には秋田犬の像があります.秋田犬の里という建物やこのような像があることからもわかるように、大館が秋田犬の産地なのだそうです.
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2日目.前日に引き続き、ローカル線の旅を続けます.
今日は花輪線に乗車し、まずは途中駅の鹿角花輪駅に向かいます.
昨日乗車した北上線も花輪線も、そしていまや秋田新幹線の一部となった田沢湖線も東北本線(現在の3セク部分を含む)から西に伸びる路線です.東北本線がまず最初に開通し、そこから内陸部に向かって路線が伸びていったことが想像されます.
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大館から乗車した列車が鹿角花輪行きで10時15分に到着し、次の列車がやってくるのが約1時間半後の11時47分.
1時間半ほどの時間がありましたが、この日は雨が降ったり止んだりのあいにくの天候で、しかも駅にはコインロッカーもないのでリュックを背負ったままでの移動となり、遠くまで行けるような状況でもないため、駅周辺から近くの商店街などをうろうろと散策していました.
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駅から坂を登った先に商店街があり、お昼にはやや早い時間ですが、11時の開店と同時に中華料理店「平和軒」に入店しました.
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メニューもいろいろあって目移りしてしまいましたが、ここはやはり店の名物としてワンタン麺をいただきました.
熱々のワンタンがたっぷりと入っており、美味しくいただきました.
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駅に戻ると発車時刻までまだ10分以上ありますがすでに列車は到着していました.車内はボックス席は埋まっているものの、ロングシートは空いていたので、座ることはできました.
1時間半ほど乗車し、東北本線から第3セクターであるIGRいわて銀河鉄道に移管された好摩駅にて八戸方面に向かう列車に乗り換えました.大人の休日倶楽部パスはJR東日本発行の切符ですが、IGRいわて銀河鉄道線も、その先の青い森鉄道線も乗車できます.
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IGRいわて銀河鉄道に1時間弱ほど乗車し、金田一温泉駅で下車しました.
昨日北上駅から内陸部に入り、途中宿泊を挟んでここまでやってきましたが、実は直線距離にするとそれほどでもなく、また新幹線に乗ると、北上駅から金田一温泉駅の先にある二戸駅までで40-50分ほどで到着してしまいます.まあ効率性を重視した旅ではないので、比較すること自体が意味のないことですが.
金田一温泉、ずっと「きんだいち」と濁るものだと思っていましたが、駅名表記を見ると「きんたいち」と濁らないんですよね.でも言語学者の金田一京助(きんだいちきょうすけ)ゆかりの地でもあるし…… と疑問に感じたのですが、その謎は宿についてから解決しました.
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金田一温泉は「座敷わらしの里」として知られています.
以前に訪れた遠野も河童などと並んで座敷わらし伝承の地ですが、東北のこの一帯にはそうした言い伝えが広がっているようです.
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駅からしばらく歩き、広めの道路(国道4号線)を渡った先に「金田一温泉」のゲートがあります.
これ、電飾のようなものが仕込まれているのですが夜間は光るのでしょうか.
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しかしながら、ゲートの先にも温泉宿らしき建物は見当たりません.
金田一温泉の宿があるエリアまではここからあと1kmほどあります.あらかじめ宿に連絡を入れておけば駅まで送迎していただけるかと思いますが、2km程度までの距離であれば散策と周囲の様子を見ながら歩いていくのが好きなので、宿に連絡も入れず(到着時刻は伝えてありますが)歩いて向かいました.
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金田一温泉は南部藩ゆかりの温泉で歴史のあるところですが、日帰り温泉やワーケーションを視野に入れた新しいタイプの建物もありました.
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この日の宿泊は「おぼない」にてお世話になりました.
チェックインが16時からで、30分ほど早く着いてしまいましたが入れていただき、旅疲れした体をさっそく温泉にて休ませることができました.
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温泉宿の楽しみといえば温泉はもちろんですが、食事も同じくらい楽しみでもあります.
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南部地鶏の水炊きです.
比内地鶏は歯ごたえのあるしっかりとした肉質であるのに対して、南部地鶏は水炊きで供されたこともあってか柔らかくて比内地鶏とはまた違う旨みがありました.
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ひっつみ汁です.ひっつみ汁は岩手県で食べられている、小麦粉を練ったものが入っています.少し前に弘前でせんべい汁をいただきましたが、それに近いながらも小麦粉を練ったものが柔らかくて全体的に優しい印象がありました.
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鮎の塩焼きです.やはりこうした地のものが出てくると嬉しいものです.
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金田一産のリンゴを絞って作ったリンゴジュースです.こういうものはあるとつい頼んでしまいますね.
ところで.金田一温泉の読みが「きんだいちおんせん」なのか「きんたいちおんせん」なのかの謎について.
宿の女将の話によると、元々は「きんだいちおんせん」と濁っていたそうです.が、この地に鉄道が敷設されるとき(明治末期)に、「きんだいち」と濁っていると田舎っぽくてイヤ、という理由から駅名が「きんたいち」になったそうです.
その後、やっぱり元々の呼び名である「きんだいち」に戻したいという流れになって、自治体だったか県に要望に行ったところ、「駅名だけでなく道路標識などあらゆるものを『きんだいち』に変更するのに数億円の費用がかかるので、そこにかける予算はない」ということで却下されたのだとか.なので、「きんだいちおんせん」と呼ぶようにしてくださいね、とのことでした.こういう名前の由来や変化という話はとても面白くて好きです.
ちなみに、明治末期に駅ができた当時は『温泉』はつかずに『金田一』駅だったのが、昭和末期の頃に『金田一温泉』に改称されたのですが、今回自分がここにやってきたのも旅行行程を考えている時に駅名を見て「ここに温泉あるのか」と知ったのが要因なので、駅名に『温泉』とつくだけでも大きな効果があるのではないかと思いました.
今回は一人旅で、旅館に泊まったのはこの日だけでしたが、12畳ほどもある広い部屋(しかも襖で区切られていましたが隣にももう一間ありました)で静かに過ごすのは特別感があってよかったですね.
座敷わらしの伝説のある温泉地とのことで、座敷わらしが出たか出ないかでいうと、出たといえば出た…… というような感じでしょうか.また室内にもやや不思議なあつらえもあったりするなど、詳しくは触れませんが興味深い宿ではありました.
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温泉宿に泊まったときの習慣として、6時くらいに起きてまずは朝風呂に入って、そのあと朝ごはんをいただきました.
旅館の王道ともいえるおかずラインナップです.前日に食べすぎたのと、朝食はあまり重たいものを普段から食べていないのでご飯のおかわりはしませんでしたが、宿の近くで取れたというお米はさすがの美味しさでした.
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昨日とは変わって朝からいい天気です.
列車の本数が少なくて8時9時台の便がなく10時半過ぎの列車に乗るため時間に余裕があるので、帰りも宿から歩いて駅に向かいました.宿の方からは送っていただけるとのお言葉をいただいたのですが、いい天気の中、普段と違う場所を歩くのは貴重な体験でもあるので、遠慮させていただきました.
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金田一温泉ゲートの裏側はこんな感じ.次にいつ来れるかわからないですが、また来たいと思いたくなる場所でした.
つづきます.