2021/09/23
昨年4月にShureのイヤホンを左右独立イヤホンにする、Shure AONIC 215を購入しました.
このAONIC 215、発売当時から充電ができないなどの不具合報告が多く、一時は販売中止や回収といった状況になっていました.
自分の手元にきたものについては、右Chの充電端子の接触がやはりあまり良くなく、たまに端子部分を爪で削って対処しつつ使っていました.返品してもよかったのですが、音質自体にはなんの不満もなかったこと、そしてやはり左右独立イヤホンは便利なので、代替品がない状況で手放すのは惜しいと思ってそのままにしていました.
それから1年5ヶ月.突如として「AONIC 215 GEN2」を名乗る、第2世代のモデルが発表になりました.イヤホン部分(SE215/AONIC 215)はすでにありますので、レシーバ部分のみの「TRUE WIRELESS SECURE FIT ADAPTER」こと、RMCE-TW2のみを購入しました.
Apple iPhone SE2
左は前回購入の初代AONIC 215.相変わらずパッケージが大きいです.
Apple iPhone SE2
開封してみると説明書きも円形をしているのは従来通り.それは別にいいのですが、気になったのがRMCE-TW1の表記.今回自分が買ったのはRMCE-TW2では……
Apple iPhone SE2
イヤホンなしのレシーバのみを購入しましたので、イヤホンはついていません.手持ちのAONIC 4を装着することにします.
Apple iPhone SE2
上が今回購入のRMCE-TW2にAONIC 4を取り付けたもの.下が従来のRMCE-TW1.形状も同じで外見ではほとんど見分けがつきません.わずかに小さくプリントされている文字が判別ポイントでしょうか.
TW1とTW2の違いですが、
・IPX4の防滴性能を装備
・イヤホン内にイコライザを保存できるハードウェアEQ機能
・ボタンの多機能化・カスタマイズ対応
・ビームフォーミングマイクの装備など会議・通話性能の強化
・外音取り込み等の自動化
・ケースから取り出すと自動で電源オンになる(ケース収納で自動電源オフはTW1でも可能)
といったところです.
逆に従来と変わらない点として、
・音質
・バッテリ持続時間
・Bluetoothバージョン
があります.音質については専用アンプを搭載するなど前作でもこだわった部分なので、十分という認識なのでしょう.
Apple iPhone SE2
充電部分.左がRMCE-TW2、右がRMCE-TW1.1年5ヶ月前は右もこんなくすんだ色合いをしていなかったと思いますが、TW2もいずれこのようになって接点不良になってしまうのでしょうか.それとも対策が施されているのでしょうか.
FUJIFILM X100V
充電兼用のケース.左がRMCE-TW1、右がRMCE-TW2.ジッパー部分のステッチの色が違う以外に見分けがつきませんね.
FUJIFILM X100V
開けても見分けはつかず.個体差なのかもしれませんがジッパーの高さが違いますが、比較してやっと気づくレベルの違いです.
FUJIFILM X100V
RMCE-TW2のケースの蓋部分の表記.「Model: RMCE-TW1」とありますね.はたして正しい製品を買ったのか、不安にさせられます.
AONIC 215 GEN2/RMCE-TW2に合わせてアプリがアップデートされました.
アプリ上はAONIC TW2と認識されていますね.余談ですがShureの製品は表記のぶれが結構あって、手持ちのヘッドホンAONIC 50もBluetooth上の表記ではShure 50になっていたりします.
「Pause Plus」は今回追加された機能で、一時停止すると自動的に外音取り込みモードに切り替わります.いままでは一時停止させた上でさらに2回ボタンを押して外音取り込みモードにしていたので便利になりました.
新機能のボタンのカスタマイズ機能.今まではカスタマイズ不可で、左右どちらのボタンを押しても再生/一時停止、2度押しで外音取り込み、3度押しでSiri起動、長押しで電源オフ、しかなかったのでとても便利です.
なお、一度押してからいったん指を離して長押しでボリューム調整(右がアップ、左がダウン)もできるようになりました.
まあ、やっと他社並みの使い勝手になったという見方もできますが……
Shureの製品は左右一体型のBluetoothアダプタのときもそうでしたが、初物はいろいろと不具合や使い勝手の悪さが目立ち、2代目で快適に使える製品になる傾向にあるのかもしれません.
イコライザ自体はTW1のときもあったのですが、Shureのアプリ上で曲再生したときしか使えず、Apple Musicなどの配信では使えないので実質なきに等しいものでした.今回はアプリ上で設定したものをハードウェアに記録させる方式になったので、配信でもイコライザが使えるようになりました.
個人的にはイコライザであれこれ味付けをするのはそれほど興味がないというか、音質がいまいちなイヤホンを無理やり過剰装飾する、いうなれば「美味しくないご飯をふりかけで食べる」的なものだという認識でいました.
が、美味しいご飯にふりかけをかければさらに美味しくなるもの、ということで認識を新たにしました.
アプリ上のイコライザの設定が非常にマニアックで、4ポイントEQながら、それぞれの周波数、強さ、帯域幅(影響を与える範囲)を自由に変更できるので好みの音質に仕上げられます.自分は中域をやや持ち上げる設定にしていますがかなり印象が変わりますね.ちなみにデジタル信号の段階でイコライジングしているので、アナログになってから手を加えることによる劣化は抑えられているとのことです.
TW1からTW2にモデルチェンジし、利便性の面で大幅にアップし、使いやすくなりました.音質面もTW1から不満のないものでしたが、TW2になってイコライザで細かな調整ができるようになったのがいいですね.自分はShureのイヤホンを使っていますが、MMCX規格のイヤホンであれば他社製品であっても差し替えできる、言い換えれば気に入ったイヤホンがあればTW2だけ差し替えればバッテリがダメになっても使い続けられるというメリットは大きいのではないでしょうか.
TW1のときは、音質はいいけど使い勝手などの面で勧めづらいところがありましたが、今回はMMCX規格のイヤホンを持っている方であれば検討する価値はあると思います.
2021/09/08
自分のブロンプトン S2Lには通常の車輪のほかに折りたたんで移動する時に使う3個の車輪がついています.
このうちの2個をオプション品の回転抵抗の少ないベアリング入りのイージーホイールに交換しました.
FUJIFILM X100V
これが交換前の標準のホイールです.
左右一対になっていて、片方はまあまあ転がるのですが、もう片方が渋いのです.調整してもらおうと自転車店に持ち込んだところ、回ったり回らなかったりするのは個体差で調整も難しいとのことでした.
自分は通勤にブロンプトンを使う場合には、ビル1Fのエレベータフロアで折りたたんでエレベータに乗せ、廊下を転がして運んで自分の机の横に置いています.短い距離とはいえうまく転がらずに床に引っかかってしまったりして倒してしまいそうになったこともあるので、ここは早急に解決したいところでした.
FUJIFILM X100V
FUJIFILM X100V
国内の正規代理店に注文をし、3日ほどで到着.
イージーホイール以外にいくつかパーツが入っていますが、リアキャリア交換用と兼用なので、ネジやナット、ワッシャの一部は使用しません.右上の黒い円形のものはシートポスト下部に取り付ける滑り止めキャップだそうですが、すでに同じものが取り付けられていましたのでこちらも使いませんでした.
FUJIFILM X100V
説明書はすべて英語.
イージーホイール付属のネジは径があわないため使用せず、いままで使用していたネジをそのまま使用しました(筒状パーツは外します).ワッシャを4枚重ねて使用するってなんか強引な使い方のように見えます.ワッシャというよりはスペーサーとして使っている感じでしょうか.
FUJIFILM X100V
交換完了.動かしてみましたが、スルスルと動いてストレスがないですね.これは交換必須のパーツだと思いました.というか最初からこれをつけておいてくれればいいのに.
今回は純正パーツを使用しましたが、サードパーティからもデザインアクセントになりそうなものなど多種多様のものが出ていますので、そこはお好みで.
2021/09/02
寝るときに音楽を聴いたりするために、枕元にいくつかイヤホンを置いてあります.
有線のイヤホンはいい音で音楽を聴いたりするために、そして左右独立のワイヤレスイヤホンは音質よりもケーブルの煩わしさを避けるときのためにといった感じで使い分けています.
現在使用しているワイヤレスイヤホンはagのTWS03Rですが(以前のレビューはこちら)、agのサイトを見ていたら、TWS03Rの後継と称されるCOTSUBUが発売されているのを見つけました.粉雪塗装の凝った外見はそのままに軽量化やUSB Type-C対応などブラッシュアップされているようです.
TWS03Rは外見は気に入っているのですが、音質が好みの分かれるところで、よくいえば角のとれたソフトな音色、悪くいえばもやっとした眠たい音色なのが個人的にやや不満です.COTSUBUはTWS03Rを「基本性能から使い心地まで大幅にグレードアップした」とのことなので音質面での改善を期待しましたが、レビューを見ると音質の傾向は変わらずで、低音が強調されているようです.低音の強さは求めていないし、わざわざ買い換えるほどのものでもなさそうだなということで購入は見送ることにしました.
が、なんか手頃な価格で音のいいワイヤレスイヤホンがほしいという思いは収まらず、結局は別のものを購入しました.
FUJIFILM X100V
ヤマハのTW-E3Bです.値段はヨドバシカメラで7,000円、他の通販サイトではポイント分差し引いて6,300円で売られているところが多かったです.
ヤマハといえば楽器、そしてオーディオ、さらにはルータなどの電子機器で知られる会社です.ヘッドホンやイヤホンも昔から手掛けてはいますが、それほどメジャーではないですね.
ちなみに、楽器等を手がける「ヤマハ」とバイクや船外機などを手がける「ヤマハ発動機」は別の会社で(「ヤマハ」から「ヤマハ発動機」が分離独立)、ロゴもだいたい同じですが音叉マークの尖った部分が外周の円に届いていないのが「ヤマハ」、届いているのが「ヤマハ発動機」です.
FUJIFILM X100V
付属品一式です.クイックスタートガイド、イヤホンケース兼充電器、イヤホン本体、イヤピース4種、USB Type-Cケーブル、あとは保証書です.
クイックスタートガイド、とあるので詳しい説明書が別途付属しているのかと思いきや、詳しい機能を知りたいかたはWebから参照してくださいというスタイルです.
FUJIFILM X100V
ボディカラーは標準の6色に加えて、「ゆるキャン△」コラボモデルの計7色.自分は「スモーキーブルー」を選びましたが、ほかも落ち着いた色が多いですね.塗装はイヤホン本体のみされていて充電器はプラスティックそのままのようです.イヤホンの塗装も凝ったものではなく高級感はあまりないですね.外見にかけるコストより中身の音質を重視した、とポジティブに捉えるべきでしょうか.
イヤホン本体のヤマハの音叉マークは物理ボタンになっており、再生/停止や曲送り/戻し、ボリュームなどひと通りのことができるようになっています.
FUJIFILM X100V
イヤホンケースが充電器になっており、4段階のバッテリ残量表示、充電はUSB Type-Cと、いまどきの一般的なワイヤレスイヤホンの仕様ですね.1回の充電で6時間再生、3回充電できるので合計24時間再生可能です.
FUJIFILM X100V
底面には型番やバッテリ容量、技適マークの表示があります.技適マークはあるものの、CEやFCCといった海外の承認ロゴはないので仕向地ごとにラベルを変えているのでしょうか.
「ヤマハ」と「ヤマハ発動機」のロゴの違いについてもうひとつ.「YAMAHA」の「M」の真ん中が下についていないのが「ヤマハ」、ついているのが「ヤマハ発動機」です.もっとマニアックに見ると、各文字の左右バランスが非対称(たとえば「A」の右側が太い)のが「ヤマハ」、左右対称なのが「ヤマハ発動機」です.
機能や音質について.
■機能
「音を出す」「通話する」といった最低限のスペック以外でカタログスペックを飾れるようなものはIPX5の防水対応と、「リスニングケア」(ボリュームに応じて低音/高音のゲイン調整をして小ボリュームでもしっかりした低音が聴こえる機能)くらいでしょうか.ノイズキャンセリングや外部音取り込み機能などは備わっていません.また、スマホ用アプリが用意されていますが、前述した「リスニングケア」のオンオフと、オートパワーオフの時間設定くらいしか機能的に用意されていません.個人的にはアプリでイコライジングしたり機能をあれこれいじる必然性はとくに感じないので、これで十分です.
このTW-E3Bには上位機種としてTW-E5AとTW-E7Aがあり、ノイズキャンセリングなどの機能を備えていました.が、バッテリ充電に失敗したりノイズキャンセリングの効果が低いなどクレームが多く、早々に発売中止、回収して返金という状況になっていましました.そういう経緯もあって、ベーシックモデルのTW-E3Aだけが残り、マイナーチェンジでTW-E3Bになって存続しているという状況です.
ワイヤレスやノイズキャンセリングといった機能はオーディオメーカーが本来持っている技術とはまた違う世界の話で、ソニーやAppleをはじめとした数社は自前でチップやシステムを組むことができますが、そうじゃないメーカーはQualcommなどのチップを積んで、出来合いのアンプやノイズキャンセリング機能を使うことになるので、なかなか差別化も難しいうえに慣れない設計で不具合の多い製品を作ってしまいがちだったりするのですよね.ヤマハには音を打ち消して声が漏れないようにする技術(会議室や病院の診察室で使用されています)や、ルータなど電子機器の技術も持っているので技術的にはできそうですが、諸事情(イヤホン市場における自社シェアの少なさから開発費が回収できないとか、イヤホンのサイズにまで持っている技術をコンパクトにまとめることが難しいとか)で自社開発は厳しいのでしょう.
ワイヤレスイヤホンの宿命ともいえる音の途切れですが、自宅環境で聴いていてもごくまれに一瞬途切れることがあります.自宅外では使っていないので、混雑した状況では不明です.
少し気になったのがサイズ.ag TWS03Rが耳にすっぽり収まるサイズ感だったのに対して、やや耳からはみ出します.なので寝ながら使うときに耳にあたる感覚があります.
■音質
期待以上ですね.7,000円のワイヤレスイヤホンとしては十分すぎる音質に感じられました.
ヤマハらしいというか、生楽器系の音がよいというレビューをよく見かけますが、個人的にはシンセサイザーの音、とくにいにしえの名機であるDX7のエレピ系の音色が綺麗に聴こえて、ああさすがヤマハだなと思いました.
解像度についても価格を考えたら十分すぎるほどで細かな音まではっきりと聴こえてきます.高価なイヤホンを評価するのによく使われる言い回し「いままで聴こえなかった音が聴こえる」というのがこのイヤホンにもいえます.
価格なりの限界かなと感じるのは、音に量感というか力強さがちょっとないかなという点です.自分の手持ちの左右独立ワイヤレスイヤホンで比較すると、SHUREのAONIC TW1(ワイヤレス部分のみのモジュール)とAONIC 4(1DD+1BA)の組み合わせだとチップセット内蔵アンプではなく外部に専用アンプを搭載していることもあってパワー感の差が大きいです.
■まとめ
左右独立ワイヤレスイヤホンでこの音質という点でこのお値段というのはお買い得感ありますね.付加価値はとくに求めないので音質がいいものを、というかたにはおすすめできる製品だと思います.
ヤマハにはもう一度奮起して、上位機であるE5AやE7Aのパワーアップ版(個人的にはノイズキャンセリングとかいらないので音質を追求したもので)を期待したいところです.