2024/11/24

漫画家・森薫と入江亜季展

Category: 日記・雑記,書籍 — Annexia @ 23:22

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RICOH GR III

 世田谷文学館にて開催されている、『漫画家・森薫と入江亜季展』を観に行ってきました.

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RICOH GR III

 展示会場内はスマホのみ写真撮影可能、フラッシュと動画撮影はNGとのことで、シャッター音があちこちから聞こえていました.

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Apple iPhone 13mini

 同時期にデビューし、編集者が同じで、同じ雑誌にて連載をしているという共通点を持つ2名の漫画家の作品(原画など)を公開する展示会です.

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Apple iPhone 13mini

 デビュー前の同人誌から、現在も連載中の作品まで展示されており、見入ってしまいます.両者ともアナログで手描きにこだわっており、原稿作品からは熱量を感じさせられます.
 読者として目にするものは、当然ながら出版されたりもしくは電子書籍などの「完成品」です.しかし、こうして印刷前の原稿を見ると、そこには墨のベタ塗りの微妙なムラや、光の輝きを表現するために部分的にホワイトが乗っていたり、スクリーントーンの削れなどを見てとることができ、なんていうか「完成品」として皿に盛り付ける前のフライパンで調理されている最中のような「生々しさ」が伝わってきます.

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Apple iPhone 13mini

 『乙嫁語り』は現在も続く作品で、『エマ』と並んで大々的に展示されていました.
 衣装や布類などディテールの描き込みの凄さが話題になったりもしますが、連載初期の頃の作品に対する本人コメントが「描き込みがあっさりしている」とあって、観ている側からすれば充分凄いのに…… と思いました.

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Apple iPhone 13mini

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Apple iPhone 13mini

 画材や作業環境も紹介されていました.当たり前の話ですが、同じものを揃えたところで同じものが描けるわけではないとはいえ、定規のひとつも同じものを買ってみようか、という気分になります.

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Apple iPhone 13mini

 読者アンケートの原稿までありました.
 以前に「感想を送りたいけど、このアンケートハガキを手放すのがつらい」とファンの方が言っているのを見かけたことがあり、こうした細々としたものでもファンとしては手元に置いておきたいよね、と感じました.

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Apple iPhone 13mini

 Q&Aに「これまで一番作画に時間を要した、大変だった作中場面はどんなのがありますか?」という問いがあり、『グルン・バエラ』という作品が挙げられていました.横に実際の原稿が展示されていたのですが……

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Apple iPhone 13mini

 なるほど.『描いても描いてもびっくりするほど進まない』と言われるだけのことはあります.

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Apple iPhone 13mini

 合作も展示されていました.
 『森薫 拾遺集』に収録されており、そのときの解説では「食べ物系は入江さん、動物や茶器は森、という分担」「試しにひとつだけ描いてみたケーキ(右端)があまりにもまずそうで自分にガッカリです」との解説でした.

 Fellows!や青騎士はあまり読んでいないこともあり、またファンというほどのものでは自分はないのですが、それでも2時間ほどかけてじっくりと見入ってしまいました.

2020/12/26

Kindle Oasis

Category: 書籍,物欲,電化製品 — Annexia @ 14:17

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FUJIFILM X100V

 Amazonの読書端末、Kindle Oasisを購入しました.
 Kindleの読書端末としてはすでにPaperwhiteを所有しているのですが、青みがかったバックライトが夜はちょっと目に厳しく感じられるのと、ページ送り/戻し用のハードウェアボタンがほしいなという理由で購入しました.
 金額が同じ仕様(ストレージ容量32GB、広告なし、4G通信なし)でPaperwhiteと比較して2倍以上しますので、そこまでの価値があるのかなとしばらく迷いました.

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FUJIFILM X100V

 内容物はシンプル.Kindle Oasis本体とUSBケーブル、簡単な説明書のみ.

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FUJIFILM X100V

 箱から出した時点で画面に文字が表示されているのには相変わらず驚きます.以前にKindle Paperwhiteを買ったときには、画面の上に説明用のステッカーが貼られているのかと思いました.
 E Inkの特性で、書き換え時以外はほとんど電力を消費しないからこそできるものといえます.

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FUJIFILM X100V

 本体裏面はアルミ製です.Kindle Paperwhiteは樹脂製であるのに比べると高級感があるようにも見えますが、冬場に触ると冷たいし、ここは樹脂製でさらなる軽量化を狙ってもらったほうがよかったかなとも思います.

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FUJIFILM X100V

 購入前に読んだレビュー記事などでも不満点として指摘されることが多かったのがこのmicroUSB端子.2019年発売の端末なのでUSB-C対応にしてもらいたかったところです.もしくは非接触充電対応だとよかったかも.microUSB端子自体が非常に硬く、抜き差しに力がいるのも難点です.その分耐久性が高いのであればいいのですが.

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FUJIFILM X100V(一部画像加工)

 購入時のオプションでユーザ登録とWi-Fiの設定が済んでいたので、セットアップ作業がほとんど必要ないのはとても便利です.さらに購入前にAmazonのWebで端末の名前の設定やダウンロードする書籍の指定までできるので、買ってきてからすることといえば登録内容の確認と書籍がダウンロードされるのを待つこと、あとは後述するフォントの追加くらいです.

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FUJIFILM X100V

 Kindle Oasis購入の理由の1つであるバックライトの色調設定.暖色系に設定できるのはとてもいいですね.フルに設定するとオレンジ色がかなり強くなるので、とりあえず中間にして様子を見ることにしました.

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FUJIFILM X100V

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FUJIFILM X100V

 見比べてみるとKindle Oasis(右)の色調がナチュラルに見えるのに対して、Kindle Paperwihte(左)は青みがかって見えます.余談ですが縦横比はOasisが文庫、Paperwhiteが新書版っぽいですね.

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FUJIFILM X100V

 Kindle Oasis購入のもう1つの大きな理由であるページ送り/戻しのハードウェアボタン.デフォルトでは上が送り、下が戻しですが、手に持ったときに自然に指が届くのが下のボタンだったので設定で入れ替えました.
 ちなみにくるっと180度回転させると画面も上下入れ替わって左手で操作しやすくなります.この辺り、きちんと考えられていて90度回転させたくらいでは画面は切り替わらず、135度くらいをすぎたあたりで画面が切り替わります.なので寝ながらでも勝手に画面が変わるような心配はなさそうです.
 なお、ページ送りの反応速度はPaperwhiteと比較してかなり早いです.プロセッサの性能などは公表されていないので不明ですが、処理速度自体も上がっているように感じられました.

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FUJIFILM X100V

 手に持ったときにちょっと気になったのがここの角.アルミの削りっぱなしというわけでは流石にないですが、エッジが立っており、手のひらに当たります.今回はカバーの類は買っていないのですが、購入を検討したほうがいいかもしれません.

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FUJIFILM X100V

 Kindle Oasisに限らず共通なのですが、好みに応じてフォントが追加できます.フリーのフォントも多数出回っており、電子書籍に適しているのをうたっているものもありますので、本の内容に応じて切り替えたりするなんてこともできます.
 設定方法はいたって簡単で、macOS/WindowsなどのコンピュータにKindleをUSB接続するとマスストレージとして認識されるので、「Fonts」フォルダに使用したいフォントをコピーするだけです.Kindle Oasisは当初なぜか4つまでしかフォントを認識されなかったのですが、再起動したら認識されるようになりました.

 年末年始、外出もはばかられる状況なのでせめて読書環境の充実でもと思って購入してみましたが、いい買い物をした感があります.
 コストパフォーマンス的にはPaperwhiteがやはりおすすめなのですが、画面の色調やサイズ、ハードウェアボタンの有無は思っていた以上に読書に集中できるなと感じました.

【2020.12.29追記】

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FUJIFILM X100V

 カバーなしで使用していると、手のひらに角が当たってやや痛い件.やはり気になったのでカバーを購入しました.
 購入したのはAmazon純正のレザーカバー、色は「メルロー」です.ファブリックのカバーでいいかなと思っていたのですが、グレーのものは入荷に時間がかかりそうなのと、赤は派手すぎで青はPapaerwhiteで使っていて明るい青であんまり好みではないのでレザーを選んでみました.レザーといってもファブリックより1,000円しか高くないですが.
 レビューを読むと日本語で書かれたレビューでは「安っぽい」という評価が多いのに対して、海外のものは「高級感がある」「革の匂いがしていい」と概ね高評価という不思議な二分化をしていて、どっちなんだろうと思いつつ買ってみました.

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FUJIFILM X100V

 うーん、革といえば革ですし、革の匂いもしますね.耐久性重視で革表面のコーティングをきつめにかけているようにも感じられます.最近の上質なPUレザー(ポリウレタンレザー)ってかなりよくできているんで、それにも似た感じとでもいいましょうか.
 「メルロー」の濃いめの赤の模様(刷毛とか筆でざっと塗ったような感じに近いような)はいいですね.単色だともっと安っぽく見えてしまったと思います.

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FUJIFILM X100V

 すべてがレザー製ではなく、Oasis本体を固定する部分は同系統の色のプラスティック製です.純正品だけあってきちんとフィットします.
 また、カバーに取り付けられたマグネットにより電源が連動するのはやはり便利です.

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FUJIFILM X100V

 懸念であった、角のあたりはアールが緩くなったこともあって気にならないレベルになりました.
 それ以前に、Kindle Oasis単体だと裏面がアルミ製で滑りやすいために角を保持して片手持ちしていたのが滑りづらくなったので、もうちょっと上部を持つことができて角が手のひらにあたらずに持てるようにもなったのは大きなメリットです.
 デメリットとしては、カバーのぶん重量(約110gだそうなので本体と合わせて約300gになる)が増すこと、それから蓋の部分を完全に裏に回すと指がかりになっていて段差がなくなってフラットになるので別の意味で持ちづらくなってしまいます.蓋については指で挟むようにして固定すると安定するのでそれほど気にならない感じですね.
 結論としては、やはりカバーもあったほうがいいと思いました.

2019/05/01

kindle paperwhite

Category: コンピュータ,書籍,物欲 — Annexia @ 21:22

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FUJIFILM X70

 kindle paperwhiteを購入しました.
 電子書籍は以前はいろいろなところのサービスを利用していたのですが、サービス終了とともに読めなくなる電子書籍も出てきて、いちばんメジャーなところで買わないとダメだなこれはと思うようになってからはAmazonのKindleのみを利用するようになりました.
 読書端末としてはiPad Pro 11を使用していたのですが、画面が大きく見やすい反面、手で持つにはあまりにも重たいこと、多機能な端末であるあゆえについついネットを見てしまったりTwitterを見たりと、読書するにはいまひとつ集中できませんでした.そのため読書のみの端末が欲しいと思い、kindle paperwhiteが気になっていたところ、先日のセールで3,000円引きになっていたので購入したというわけです.

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FUJIFILM X70

 購入したのはkindle paperwhite(32GB、広告なし、4Gなし)と純正のファブリックカバー(ブルー).
 前知識として知ってはいましたが、パッケージから取り出した段階ですでに画面に文字が出ているのはちょっとびっくりします.kindle paperwhiteに使用されている画面は液晶ではなくE INKと呼ばれるもので、画面の書き換え時のみ電力を消費するので、バックライトを点灯させなければこのように画面に文字を表示させたままパッケージングしても問題が起きないのです.
 付属品は本体以外は充電用のケーブルと簡易的な説明書のみ.電源アダプタは付属していません、純正オプションとして用意されていますが、一般的なUSBの5V充電可能なアダプタを使うなり、PCのUSBからも充電できるので無駄にコストを上げられるよりは別売にしてくれたほうがいいですね.なんだったらUSBケーブルも別売にしてもっとコストを下げてもらってもいいくらいです.

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FUJIFILM X70

 純正のファブリックカバーはマグネットを内蔵しており、kindle paperwhiteの電源と連動させることができます.また、折り返してもマグネットが吸着するので読書時も邪魔になりません.個人的には、折り返して吸着させるよりも、カバーを指先ではさんだほうが安定して持てるような感じがしました.
 購入時にギフト用というオプションを設定しなければ、あらかじめユーザ情報が入った状態で納品されると思っていたのですが、ユーザアカウントの設定が必要でした.しかも、何度やってもアカウントが登録されません.どうしたものかと思って検索したところ、同様の問題が起きたかたがいて、2段階認証をかけていると登録に失敗するとのことでした.2段階認証をオフにしてみたところ、すんなりと登録できました.もちろん登録後は再度、2段階認証をかけ直しましたが.


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FUJIFILM X70

 E INKはカラー表示できないのでモノクロですが、思っていた以上にグレースケールの階調表示が綺麗に出ます.

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FUJIFILM X70

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FUJIFILM X70

 肝心の文字表示ですが、綺麗に表示されます.このコントラスト、以前に使っていたTFT液晶のモノクロディスプレイ(Apple PowerBook Duo 250など)を彷彿とさせます.また解像度も300dpiなのでドットも粗がまったく見えません.
 E INKの欠点である、書き換え時のリフレッシュですが、自分は気になりません.

 で、読書の機会が増えたかというと、結構多くなりました.カバーをつけても重さが300gちょっとであること、ジャケットのポケットくらいであれば入るので、鞄にいれたままで出すのが面倒というようなこともなく、ちょっと時間のある時にすっと取り出して読めるのはやはりいいものです.
 リアル書籍を読まずに積み重ねておくことを「積ん読」などと呼んだりしますが、自分の場合はセールのときに買った電子書籍が物理的スペースを圧迫されなことをいいことに相当量ありますので、順次読み進めていきたいと思います.

【2019.07.03補足】
 通勤のお供として快適に使っていたのですが、バッテリ残量がいきなりゼロになるというような問題が発生し、サポートに問い合わせてリセットをしたりしたのですが直らず、結局新品交換となりました.
 2台目のKindle Paperwhiteは極めて快調で、往復の通勤時に使用してちょうど1ヶ月経ったところでバッテリ残量が10%を切ってバッテリ警告が出ました.これくらいもってくれると読書用端末として十分信頼が置ける感じです.

2018/10/29

筒井康隆展

Category: 日記・雑記,書籍 — Annexia @ 23:37

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FUJIFILM X100F

 世田谷文学館で開催されている、『筒井康隆展』に行ってきました.

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FUJIFILM X100F

 世田谷文学館にやってきたのは、星新一展と日本SF展に続いて3回目です.

 自分が筒井康隆を知るきっかけとなったのは中学生の頃、当時住んでいた地元の市立図書館に新潮社から出版された、筒井康隆全集が置かれていたためです.最初にどの巻に手を出したかは記憶がありませんが(恐らくは一巻の「東海道戦争/幻想の未来」だったと思いますが)、ずるずるとのめり込んで、結局は全巻読んだはずです(「虚構船団」のような長篇は飽きてその当時は挫折し、のちに文庫本を買って読みました).
 まあ、なんていうか、多感な時期にこのような本を読みふけってしまったことによる影響は、のちのち、たぶん今に至るまで続いているような気がします.

 展示については、年表とともにたくさんの写真や生原稿、さらにその当時の出版物やポスターなど、非常に詳しく展示されています.以前に訪れたときも感じましたが、巡業するわけでもない一つの会場での展示にしては中身が濃いです.
 また、展示の中でも自分が目を惹いたのが「筒井康隆作品マップ」.SFをベースとしつつも、それぞれの作品ごとにブラックユーモアや少年少女向け、歴史、音楽、ナンセンスと様々な要素が込められており、どの作品がどのジャンルに含まれるかを図にまとめられています.それによると自分の好きな作品はスラップスティックなものが多いようです.
 それから生原稿は見入ってしまいますね.『関節話法』とか懐かしくてつい途中まで読んでしましました.

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FUJIFILM X100F

 展示は基本的に撮影禁止なのですが、一部のみ撮影可となっていました.「筒井書店」は筒井康隆の蔵書の一部を展示したもの.この展示されている書籍は自分が行った翌週末に即売会で販売されるものだそうです.手にとって読んでも問題ないとのことだったので2冊ほど手にとってみましたが、蔵書印が押されており、また「訳者献本」という紙が入っていたりと、ファンであれば垂涎ものではないでしょうか.それに今となっては手に入らないような書籍もあることでしょう.

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FUJIFILM X100F

 会場を出るときに図録を買って帰りました.
 会期は2018年12月9日までとまだ1ヶ月以上ありますので、愛読者だったかたは会場にぜひ.

2016/02/17

こんなもんいかがっすかぁ まるごと!

Category: 書籍 — Annexia @ 23:59

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FUJIFILM X100T

 水玉螢之丞さんが雑誌「EYE-COM」に連載していたイラストなどをまとめた「こんなもんいかがっすかぁ まるごと!」を購入しました.

 イラストのよさはいうまでもなく、内容が90年代前半のものなので今となっては「レトロ」と呼ぶにふさわしい懐かしさを感じます.
 内容は初代の98noteが出たくらいの頃から始まっており、ノートPCはまだ特別なもの、デスクトップPCが一般的であったりして、登場するコンピュータもPC-9801、X68000、FM-TOWNS、Amigaと、今や名前を聞くことすら稀なものばかり.PC-9801もWindowsではなくMS-DOSがまだ主流だったり.通信も音響カプラやモデムで電話回線を用いて、キャッチホン入ってNO CARRIER、なんてネタが.

 まあ、いうなればオッサンホイホイなわけなのですが、ハード/ソフト、そして取り巻く環境などが急速に変化している時代、しかもその進化によって一般人にも浸透して業務にも手放せないものになる前夜の混沌とした雰囲気をまるごとアーカイブしたかのような感じで非常に面白いです.
 今さらながら、水玉さんのような存在の人は他にはいなく、稀有な人だったんだなと思わされます.