年度が変わって業務もひと段落したタイミングで旅行に出かけてきました.
今回の行き先は角館と田沢湖です.とはいえ、自分の意思で行き先を決めたというよりは、半ばおまかせのような形で行き先が決まりました.
JR東日本の企画に「どこかにビューーン!」というものがあります.これはJREポイントなる、Suicaなどで電車に乗ったり買い物したりすると溜まるJR東日本のポイントサービスを6,000ポイント使うことで、ランダムにどこかの新幹線駅まで往復できるというものです.
選び方も少々変わっており、まず出発日時と到着日時を指定して検索すると、4つの候補地が出てきます.この4つの候補地でよければ申し込みを行い、気にいらない場合には再検索すると別の候補が出てきます(ただし1日に候補地を検索する回数には上限あり).そして申し込みの翌日に4つの候補地のどれになったかがメールで通知されます.
自分の場合は最初に検索した時の候補が、飯山(長野県)、かみのやま温泉(山形県)、田沢湖(秋田県)、いわて沼宮内(岩手県)でした.どこも下車したことのない駅なのでそのまま申し込みしたところ、田沢湖が選ばれたというわけです.
田沢湖かー、行ったことないなー、楽しみだなーと思って観光地などを調べてみたものの、駅周辺には田沢湖以外はとくになく、しかも到着時刻(列車はおまかせで変更不可)は10時半.ついでに天気も良くなさそう、ということで自分で田沢湖から1つ先の角館までの切符を買い、足を伸ばすことにしました.
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出発時刻は東京駅に7時半、ということで普段よりもかなり早起きして東京駅に.平日ということもあって新幹線のホームはそれほど混雑していませんでした.
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「どこかにビューーン!」は田沢湖駅までですが、前述したように追加の切符を購入したので角館駅で下車しました.
「どこかにビューーン!」も追加の切符もeチケットなので改札でスマホの画面を見せて事情を伝えたところ、スマホを駅事務所内に持って行かれてなにやら手続きをされることに.こういうところは紙のチケットに比べて不便なところではあります.
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駅から1km弱ほど歩くと、武家屋敷エリアに到着します.このあたりは昔ながらの風情を残す建物が多いことに加えて春は枝垂れ桜、秋は紅葉と人気のある場所ですが、枝垂れ桜の見頃まであと1週間程度、しかも雨ということで観光客もまばらでした.
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場所によっては満開一歩手前くらいまで咲いているところもあるのですが、なにぶん悪天候なので写真を撮るのも一苦労です.
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角館の滞在時間を3時間くらいとっていたのですが、時間をやや持て余してしまい、しかも雨なので雨宿りついでくらいの気軽な気持ちで武家屋敷を訪れてみることにしました.
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建物は立派だけど、ほかに見るものはないのでは…… くらいにみくびっていたのですが、展示物の凄さに圧倒されてしまいました.
武家屋敷なので当たり前といえば当たり前なのですが、武器や鎧など大量のものが展示されていました.
これは実際に手に取れるように柄の部分がケースから出ている刀.刀って実物を手にするのはこれが初めてなのですが、こんな重たいものを手に戦をするのは大変だっただろうと思いました.同様に槍もありましたがさらに重たかったです.
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ここと明治神宮の2挺しかないという火縄式三回転銃(銃口が3つある)や鎧、「解体新書」の付図(描いたのが角館出身の武士だった)、さらに明治初期の写真や初期の筒状をしたレコードや蓄音機など、広々とした敷地に様々なものが展示されており、見入ってしまいました.
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お昼は武家屋敷のエリア内にある店舗で比内地鶏の親子丼と稲庭うどんのセットをいただきました.
比内地鶏の親子丼は噛みごたえが強く旨みが濃縮された鶏肉と濃厚な卵、稲庭うどんは細めの麺がツルッとした食感でどちらも美味しかったです.
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角館駅から本来の「どこかにビューーン!」の目的地である田沢湖駅に戻り、バスに乗り換えて宿泊先に向かいます.
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バスに揺られて山中を走ること45分.今日の宿に到着しました.
乳頭温泉郷の「妙乃湯」です.乳頭温泉は秘境として自分も存在を知ってはいましたが、どこにあるかまでは知りませんでした.が、田沢湖から行ける温泉宿を探していたところ、乳頭温泉に向かうバスが出ていることを知ったので、すぐに予約を入れました.
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宿のすぐそばを川が流れているのですが、雨が降っていたことに加えて雪解けの季節ということもあって、結構な勢いで水量が増しています.白黒で撮影したわけではないのですが、モノクロームの世界です.
温泉の写真は撮影禁止ということもあり撮っていませんが、金の湯(濁り湯)と銀の湯(透明)の2種があり、内風呂と露天風呂、それに混浴と、いくつもの湯船が用意されており、また時間帯によって男女で入れる湯が入れ替わったりと堪能することができました.
また乳頭温泉郷には7軒の温泉宿があり別の宿にはまた違うタイプの温泉が湧いているそうで、宿泊者はチケットを購入することで他の温泉宿にも入れるそうです.
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温泉宿の楽しみといえば食事です.地のものをふんだんに生かした料理が出てきました.
右にある黄色いものは「ひろっこの酢味噌和え」、中央のものは「蕨の醤油漬け」、その上の小皿に入っているものは「ばっけ味噌」.「ひろっこ」はあさつきの新芽、「ばっけ」はふきのとうのこと.
今回の旅行まで「ふきのとう」というものはちょっと珍しいものという認識でいたのですが、新幹線に乗っている最中から沿線のあちこちにふきのとうがあるのを見かけ、さらには夕食のときには箸置きとして使われているのを見て、秋田ではこの時期には珍しくもないものなのだなと思い知りました.
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そのふきのとうの天ぷら、そして丸いキノコの入った稲庭うどん.
ふきのとうといえば天ぷらにしていただくものという知識はあったものの、こうして食べるのは初めてでした.
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岩魚(イワナ)の山椒味噌、朴葉焼き.岩魚も食べるのはこれが初めて.川魚から連想されるような癖はなく、山椒味噌との相性もよく美味しくいただきました.
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言わずと知れた、きりたんぽ.予約時にきりたんぽか牛肉鍋のいずれかを選べたのですが、迷うことなくきりたんぽを選びました.
比内地鶏やキノコの出汁のきいたつゆを吸ったきりたんぽが美味しくないわけがなく、鍋で少しほろほろに崩れたところをいただくのは至福でした.
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宿の名物というキノコ汁、ご飯(もちろん「あきたこまち」)、そしていぶりがっこ.
個人的に漬物の中ではいぶりがっこが一番好きですね.そしてキノコ汁も美味しく、宿の方のお言葉に甘えておかわりしてしまいました.
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翌日の朝食です.
夕飯もかなりのボリュームだったことに加えて、普段は朝は軽めなのでこんなに出されても…… と思いつつも、不思議と食べられるものです.
湯豆腐やベーコンと野菜を焼いたもの、温泉卵に梅干し、納豆などの朝食のお供が揃っています.
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若竹煮がいい感じの浅炊き感でみずみずしさを感じる美味しさでした.
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ハタハタと紅鮭の焼き物.
今回の旅行では、稲庭うどん、比内地鶏、きりたんぽ、ハタハタ、ふきのとう、とんぶり(納豆の薬味)と、秋田の名物といえるものをほぼ食べることができました.残るはじゅんさいと熊肉くらいでしょうか.
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宿の外には「ふきのとう」というよりすでに「ふき」になったものが.
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田沢湖駅行きのバスに乗り、途中の田沢湖でバスを降りて田沢湖一周観光バスに乗り換えました.
田沢湖一周バスは通常の路線バスとして運行されていますが、田沢湖駅を出発して田沢湖を一周し、途中の「たつこ像」などの観光地では10-20分ほど停車するなど、観光に特化したバス路線です.
前日の田沢湖は対岸の山々も見れないくらい悪天候だったので、これでもまだ景色のいい方でした.前日の角館もそうですが、できれば天候のいい日を狙って再訪したいものだと思いました.
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宿を出たのが10時くらいで、田沢湖を一周して田沢湖駅に戻ってきたのが12時すぎ.帰りの新幹線が14時過ぎなので2時間ほどぶらぶらと時間をつぶし、駅の売店で昼食の駅弁とお土産を買い込んで帰宅しました.
余談ですが、駅の売店は店員さんが一人で切り盛りしてるらしく、13時少し前くらいから店を閉めて昼休みに入ってしまうので、買い物をしようとしたら閉まっていて焦ってしまいました.
今回は「どこかにビューーン!」を利用し、行き先をおまかせにした旅行をしたわけですが、JREポイント6,000ポイント分(買い物をすると6,000円分)で往復33,440円分の旅行ができたというのはなかなかに破格のサービスだと思いました.
おそらく売れ残りの発生するであろう座席を空席のまま走らせるよりは、ポイントとはいえ一定額をもらい、しかもランダム性で予期しない行き先に飛ばされるという楽しさを加味した、JR東日本にとっても自分のような旅行好きにも、そして旅先の観光業者にもメリットをもたらすいい企画なので、今後も続けてほしいですね.あと2回分は利用できるだけのポイントが溜まっているので、自分もまた利用したいと考えています.