2015/02/23

X100T(カメラ本体について)

Category: カメラ・写真,物欲 — Annexia @ 00:01

 X100Tの詳細について.

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RICOH GR

 見た目は非常に古くさいカメラのようです.富士フイルムはこの手のデザインのカメラが好きなようで、中判フィルムを使用したGF670W Professionalや35mmフィルムを使用したKLASSE W、さらにはインスタントカメラでもチェキ instax mini 90 ネオクラシックなどを出しています.ある意味、「オールドスタイルのカメラらしいカメラ」という形状にこだわりのあるメーカーといえるでしょう.

 右下の「T」はX100Tの「T」です.X100/X100S/X100Tと3代続いたシリーズで、外見もちょっとずつ手が加えられていますが、基本的なデザインは共通なので、ぱっと見の識別点はここになります.

 寸法は幅126mm × 高さ74mm × 奥行き52mm、重量440g.さすがにGRの幅117mm × 高さ61mm × 奥行き34mm、重量245gより大きく重いですが、手の込んだファインダとF2のレンズを搭載していることを考えると、こんなものかなという気がします.

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RICOH GR

 正面から.
 デザインのアクセントにもなっている、特徴的なのが左上にあるレバー.これでOVF(光学式ファインダ)とEVF(電子式ファインダ)を切り替えます.構えたときに右に倒すことでOVFとEVFを切り替え、さらにOVFの状態で左に倒すことでOVFの右隅にERF(電子式レンジファインダ)と呼ばれるEVF画像を投影します.
 右上にある四角い部分がファインダ窓です.EVFのときはここにシャッターが降りてEVF映像が表示される仕組みです.

 少し見づらいですがレンズの両横に出ているのが絞りリング操作用のレバーです.レンズの突起がそれほどないうえに絞りリングとピントリングを備えているため、このようなデザインになっています.F5.6にセットしたときにきちんと真横を向くようになっているあたりが「わかっている」感がして好感が持てるところです.

 レンズは23mm F2、フルサイズ換算で35mmです.やや癖のあるレンズで、マクロ域で絞りF2開放で撮影するとソフトフォーカス気味になってゆるい画像になります.1段絞ればかなり改善し、2段絞ればほぼ完璧に補正されます.RX1のCarlZeiss Sonnar 35mm F2は開放からシャープな画像で絞りは被写界深度やボケをコントロールするためのものといった雰囲気だったのと比べると大きな違いを感じます.また、同じ富士フイルム製でもXF23mm F1.4 Rではそのような画質にはならないので、あえて癖を残した設計なのかもしれません.
 3段のNDフィルタを内蔵しており、また電子シャッターも搭載して最高速1/32000秒でシャッターが切れるので、夏の屋外でも絞り開放で撮影ができそうです.

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RICOH GR

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RICOH GR

 上面です.上がオプションなしの状態、下がフードとサムレストを取り付けたもの.

 上面のいわゆる「軍艦部」と呼ばれる部分には左から順にアクセサリシュー、シャッター速度ダイアル、シャッターボタン、シャッターボタンと同軸に電源スイッチ、露出補正ダイアル、Fnボタンがあります.左側の「FUJIFILM X100T」「FUJINON LENS SYSTEM」のロゴはエンボス加工され墨入れされており、質感があります.
 シャッター速度ダイアルはロック機構なし.X-T1はロック機構つきだったのですが.その代わりに誤操作を防ぐために「A(オート」と「1/4000秒」の間隔を広めにとってあります.
 シャッターボタンにはネジ穴が切ってあり、昔ながらのケーブルレリーズが使えます.もっとも、いまどきのカメラらしくWi-Fi経由でスマートフォンからリモート撮影できるので、ノスタルジックなデザインや飾り用のボタンを取り付けるアクセサリ用といえるかもしれません.そういえばRX1にもネジ穴がありました.ネジ穴に取り付けるレリーズボタンを用意しましたが、結局、なにも付けない状態が感触が最もよく、電源も操作しやすいので使用していません.
 自由に機能を割り当てられるFnボタンはここを含めて全部で7ヶ所あり、ここにはAFスポット選択を割り当てています.

 フードを付けるにはまずは最初から取り付けられている飾りリングを外し、フードに同梱されているアダプタリングを取り付けます.アダプタリングを使用しないとフィルタ取り付け溝もないのでフィルタすら装着できません.アダプタリングにバヨネット爪があるので、簡単に純正フードが取り付け可能です.気になったのはバヨネットフードのロック.一般的なバヨネットフードは最後にカチッとしたロックの感触があるものですが、それがありません.なので、どこかに引っかかったり緩んで外れてしまいそうな怖さがあります.
 フードを取り付けることで見てのとおり結構出っ張ることもあり、OVFで撮影するときにも盛大にケラれます(フードが邪魔をしてファインダの右下の画像が見れない).とはいえ、やはりフードはほしいのと、格好いいのと、フィルタを付けたいのと、個人的にフードを付けているほうがピントリングを回しやすく感じるので、常に付けています.
 困っているというか、なんとかしてほしいのがレンズキャップ.アダプタリングのフィルタ径が49mmなのに純正の49mmキャップは28mmワイドコンバータの補修部品扱いでしか入手できません.本来ならフードに同梱すべきではないかと思うのですが.
 フィルタはRX1から引き継いだケンコーのZeta 49mm UVフィルタ.純正のシルバーのプロテクトフィルタも用意されていますが、フードを付けているとまったく見えないものなので、まあいいかなと.

 サムレストは純正らしくシルバーの色味もよくあっているのですが、アクセサリシューにただ差し込んでいるだけなので、親指に力をかけると、若干ずれます.

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RICOH GR

 背面です.正面や上面からはクラシックカメラ感がしますが、さすがに背面は液晶モニタや操作ボタンがいまどきのデジタルカメラであることを主張しています.
 操作系は液晶モニタをはさんで左右にわかれており、左側が再生時などに使うもの、右側が撮影時に使うものといった感じでしょうか.撮影時には左手はカメラを下からホールドして指先は絞りやピントを操作するので、当然といえば当然の配置です.
 カーソルボタンの中央の「MENU/OK」ボタンを押すとメニュー画面が表示されるのは他のカメラと同じ.カーソルボタンはすべてファンクションボタンとして自由に機能を割り当てられるため、何も書かれていません.また、モニタ左の「ゴミ箱」「Wi-Fi」ボタンもファンクションボタンとして使用可能です.自分はカーソルの上にマクロのON/OFF、左にフィルムシミュレーション、右にホワイトバランス、下にISO感度、ゴミ箱にNDフィルタ、Wi-FiはそのままWi-Fiを割り当ててあります.
 富士フイルムのカメラに特徴的な「Q」ボタンはメニューに入らなくても撮影設定などを変更できる簡易メニュー機能です.4×4=16個の機能を一画面に表示させて変更可能ですが、X-T1のファームウェア Ver.3.0と同様に各機能の配置を自由に変更できるようになったので重宝しています.

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RICOH GR

 ファインダの表示です.ファインダにGRのレンズを押し当てて撮ったのでやや不鮮明ですが.
 これがOVF.光学ファインダに各種情報が投影されています.右下はレンズフードでケラれています.レンズフードをつけてなくてもケラれますが.
 撮影枠はパララックス自動補正により、サイズが自動可変します.惜しいのは構図用の9分割グリッドがパララックス自動補正に連動しないこと.ファームウェアアップデートで対応してほしいところです.
 パララックス自動補正を備えているとはいえ、視野率は92%.X100Sまでは90%だったので改善されて入るものの、厳密なフレーミングには向いていません.そのような場合は視野率100%のEVFをどうぞということなのでしょう.

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RICOH GR

 OVFにERF(電子式レンジファインダ)を投影したもの.ちょうどフードのケラレ部分に投影されるので、自分は常にオンにしてあります.EVFの映像を投影する部分に小さなNDフィルタを挟み込み、それにEVFを投影しているそうで、なかなかに手の込んだ仕掛けです.
 OVFの中心部とERFの映像がずれているのは、マクロ領域のため.近接域はパララックス補正が難しいこともあってか、マクロ撮影モードに切り替えると自動的にEVFに切り替わります.

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RICOH GR

 これがEVF.遅延もほとんどなく、視野率100%で映像自体がすでに露出やフィルムシミュレーションが反映された映像なので、見たままが撮影できるという点では便利ではあります.が、光学式ファインダのほうがやはり自然な感じがして自分はEVFをサブ的に使っています.とはいえ、X-T1で慣れているせいか、EVFのまま使い続けても違和感はありません.
 OVFとEVF、そしてOVFに映し出されるERFと、多彩なファインダを自由に切り替えて使えるのが、X100Tの他機種にはない最大の特徴です.

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RICOH GR

 底面.レンズと三脚穴が同軸上にありません.X-T1も標準ではずれていて、縦位置グリップを装着すると同軸上になりました.スナップメインのカメラなのでそれほどこだわっていない部分なのかもしれませんが、この辺の詰めはきちんとしていただきたいものです.
 製造は日本.最近は徐々に国内メーカーの工場の日本回帰が多くなっていますが、初代のX100から日本製をひとつのアピールポイントにしてきました(そのため底面だけでなく背面にも「MADE IN JAPAN」と入っています.個人的には日本製はいいことなのですが、そこまで声高にアピールしなくても……という気がします).宮城県で製造しているそうで、初代X100の発売は2011年3月5日.生産が追いつかない状況だったところに震災でラインが破壊されて大変だったそうです.

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RICOH GR

 まとめます.
 X100Tは一見するとクラシカルなフィルムカメラのようにも見えますが、中身は最新の技術が詰まったよくできたカメラです.ただ、このデザインを「古臭い」と嫌う人も一定量いそうな気もします.その場合はブラックモデルを選ぶと精悍さがあってよいかもしれません.
 フルサイズ換算35mmという画角はオールマイティで、単焦点ですがこれだけで旅行に出てもほぼ困らないことでしょう.カメラはX100Tのみにして荷物を軽くして旅行に出かけたい気分です.
 目下の悩みは、X100Tの購入によってX-T1の出番が少なくなりそうなことです……