7月の3連休、とくに予定もなかったのでちょっと出かけてみるかと思い、「わ鐡」ことわたらせ渓谷鐵道に乗りに出かけてきました.
Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM
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都内から栃木・群馬方面へのアクセスといえばやはり東武.都内西部から浅草はアクセスはややしづらいので、途中駅の北千住からのほうが楽ではあるのですが、旅行に出るときはできるだけ始発駅から乗車したいもの.というわけで銀座線に乗って浅草にやってきました.
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浅草駅の名物?といえばこの先端部の細く曲がったホーム.川や道路に阻まれてこれ以上の拡張が難しそうなので、ターミナル駅ながらどことなく肩身の狭い印象の駅です.
日光・鬼怒川方面にはスペーシアXや従来のスペーシア、さらにリバティといった東武の看板列車といえる車両が投入されていますが、群馬方面に向かう列車は一部リバティも投入されているものの、年季の入った200系車両(製造から約30年経過、種車としては60年以上経過)が主力となっています.
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車内もクラシックな雰囲気を感じます.
ちなみに6両編成に3ヶ所あるトイレのうち、バリアフリー対応の1つを除く2つは和式便座だそうで.そうしたところにも時代を感じます.
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東武からわ鐡にアクセスするにはいくつか方法があり、いちばん簡単なのは相老駅での乗り換え.
ですが今回は時間の制約もないので「りょうもう」号で終点の赤城駅まで向かい、上毛電鉄に乗り換えます.
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赤城駅は東武と上毛電鉄の共用駅ですが、上毛電鉄は交通系ICカードには対応しないので、いったん下車し切符を購入します.
この車両、京王井の頭線からやってきた車両ですね.サイズ的に地方ローカル線では人気らしく、岳南電車とか北陸鉄道とか松本電鉄で自分も乗ったことがあります.
Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM
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終点の西桐生駅から5分ほど歩いたところにJR両毛線とわ鐡の共用駅の桐生駅があります.わ鐡はもともと国鉄足尾線→JR足尾線だったのでホームも共用になっています.
JRと共通の自販機で一日乗車券が買えるので、今回はそれを購入しました.
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ホームに上がってしばらくしたら1両の列車がやってきました.
チョコレートブラウンのような塗色ですが、「紅銅色(べにあかがねいろ)」と呼ばれるもので、車両のヘッドマークも「あかがね III」と入っています.紅銅色なのは、足尾線のルーツが銅鉱山の貨物鉄道だったためでしょうか.
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側面にはウサギのレリーフが.JRからわ鐡になった当時に導入された車両は富士重工業製で、当時富士重工の社員だったパラダイス山元氏がデザインされたとのことで、このカラーリングやウサギ(そのほかにもさまざまな動物をデザインされています)は氏のデザインを受け継いだものだそうです.鉄道マニアに好まれるカラーリングをした、とのことだそうですが、確かにこの色いいですね.
この車両は1993年に導入された車両で、わ鐡の中でも古いもの.そのせいか空調の効きもいまひとつで、発車後に暑い場合は窓を開けるか備え付けのうちわを使ってください、とのアナウンスがありました.
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50分ほどで神戸(ごうど)駅に到着.この駅は列車交換が可能なこともあって比較的長めに停車するのに加えて、普通乗車券でも途中下車可能であったり、駅構内に売店があったり併設のレストランで食事や駅弁購入もできるので、列車から降りてくる方も多く、賑わっていました.
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個人的にはこうして改札(できれば自動改札ではないもの)から向こうに鉄道車両が見られる光景が好きですね.
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列車交換可能なこともあって駅構内には構内踏切と屋根のない跨線橋があり、跨線橋からの眺めがまた格別です.
山あいのローカル線の駅、としてなんだか鉄道模型のジオラマっぽいなと感じました.
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上り方面のホームの向こうに鉄道車両が見えます.
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これはかつての東武デラックスロマンスカー車両を流用したレストラン「清流」です.
ちょうど昼頃に到着しましたので、こちらでお昼をいただくことにしました.
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いただいたのは舞茸ご飯定食.舞茸とナスの天ぷら、それにキノコ炊き込みご飯、そしてうどんがセットになったものです.
車内は食事用にテーブルが設置されているものの、それ以外はシート含めて当時の車両そのままです.
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1時間40分後、次の下り車両(手前側の車両)に乗車します.これも桐生駅から乗車したのと同時期に導入された車両で「わたらせII」と愛称が付けられています.反対側には神戸駅まで乗車してきた「あかがねIII」が上りとしてやってきました.
Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM
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神戸駅からさらに標高が上がり、途中に5km以上あるトンネルを抜け、しばらく進むと鉱山の痕跡とおぼしき建築物が見えてきました.
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通洞駅で下車します.「通洞」の名が示すように、ここから少し歩いた先に鉱山の入り口があり、観光地として整備されています.
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足尾銅山観光の入り口です.どことなく昭和の観光地といった雰囲気が漂ってきていますが、開業が1980年(昭和55年)なのでそれなりに歴史のある観光地です.
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入坑用のトロッコ列車です.15分間隔で運行されており、これに乗って鉱山に入っていくというレアな体験をすることができます.
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幸か不幸か前の列車が出たばかりということもあって、先頭に座ることができました.
乗車口から入坑口まではそこそこの高さを下る必要があり、途中まではアプト式で機関車が牽引し、鉱山に入る手前の平地になったところで機関車を切り離してバッテリで動く客車(電車?)で入稿します.
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この日は35度くらいはあったであろう、暑い日でしたが入坑した途端にひやっとした空気に包まれます.
薄いぐらい鉱山をトロッコで進むのは非日常的な体験で素晴らしいのですが、残念ながら距離的には100mくらいでしょうか、進んだところで終点になります.
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レール自体は先まで伸びてはいるのですが、柵で塞がれています.
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「この先、1200キロ以上の坑道が続きます。」の案内が示すように薄暗い先にレールが伸びていっています.1,200kmといえば新幹線で言うと東京駅から熊本駅の先、新八代駅までの距離と同等です.つまり、自分が立っているこの下に網の目のように坑道が張り巡らされているということなのでしょう.
施錠された扉の向こうにうっすらとレールが伸びている光景はホラー映画の一場面のようにも見えます.
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坑道の中は江戸時代からの鉱山の歴史を学べるようになっており、時代が進むにつれて坑道の支えや工具などの進化を見ることができます.
この日は晴天だったにもかかわらず坑内は非常に湿度が高く、床はすべて濡れており、天井からは水が滴っている状況でした.撮影しながらもカメラに水滴がついたりしないかと注意を払う必要がありました.
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天井から滴るものがただの水であればまだいいのですが、要注意なのは水滴にも銅の成分が含まれる硫酸銅で有毒です.
鉱脈を通った水からも銅の成分を取り出したとの説明があり、そこにも「この水を飲んだり触ったりしないで下さい」と書かれていました.
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鉱内にある説明板も染み出した水に浸食されて変色してしまい、部分的に読めなくなっていました.
屋外にもかつて使用されていた車両が展示されていたり、銅銭など貨幣の歴史をまとめた資料館がありました.
そして、昭和時代の観光地のお約束とでもういうか、建物から出る前に土産物店を通るのですが、まるで時間が止まっているかのような昭和感に満ちあふれていました.
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次の便が来るまで1時間半くらい時間があったので、通洞駅から足尾駅まで歩いて移動しました.
通道駅から足尾駅までは店舗や住宅が連なっており、かつて鉱山で栄えた面影は残ってはいるのですが、住宅の多くが廃屋になってしまっているなど、やや寂しい雰囲気もありました.
足尾駅は街の中心にあった駅らしく、駅構内も広く立派な作りでした.
Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM
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以前は貨物の積み下ろしなどをしていたのでしょうか、駅舎の手前の方にまでレールが伸びており、そこにはかつて使用されていたであろう機関車や貨車が置かれていました.
Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM
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駅舎横にも荷捌きをするような建物があり、そこには国鉄時代から活躍していた、キハ30が置かれていました.
外観はかなり錆が進行しており、中は荷物置き場として使われているようでした.
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帰りの桐生行き車両は最新のWKT-522「こうしん」でした.
3連休初日とはいえ、薄暗くなってきた時間帯なので乗客もまばらでした.
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外もやや涼しくなってきたタイミングで空調の効く車両がやってくるというのも皮肉なものですが、快適に過ごすことができました.
Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM
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帰りが遅くなったので、行きと同じルートで帰ろうかとも思ったのですが、登利平の鳥めしが食べたいなと思ったので、やや遠回りですが高崎に寄って駅ビルで弁当を買い、湘南新宿ラインのグリーン車で食べて帰りました.
初めて行く場所で下調べもそれほどしていなかったこともあり、あとあとから気になったものを調べ直してみると寄ればよかったと思うような場所がいくつも出てきました.時期を見て再訪したいところです.