2024/11/24
RICOH GR III
世田谷文学館にて開催されている、『漫画家・森薫と入江亜季展』を観に行ってきました.
RICOH GR III
展示会場内はスマホのみ写真撮影可能、フラッシュと動画撮影はNGとのことで、シャッター音があちこちから聞こえていました.
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同時期にデビューし、編集者が同じで、同じ雑誌にて連載をしているという共通点を持つ2名の漫画家の作品(原画など)を公開する展示会です.
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デビュー前の同人誌から、現在も連載中の作品まで展示されており、見入ってしまいます.両者ともアナログで手描きにこだわっており、原稿作品からは熱量を感じさせられます.
読者として目にするものは、当然ながら出版されたりもしくは電子書籍などの「完成品」です.しかし、こうして印刷前の原稿を見ると、そこには墨のベタ塗りの微妙なムラや、光の輝きを表現するために部分的にホワイトが乗っていたり、スクリーントーンの削れなどを見てとることができ、なんていうか「完成品」として皿に盛り付ける前のフライパンで調理されている最中のような「生々しさ」が伝わってきます.
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『乙嫁語り』は現在も続く作品で、『エマ』と並んで大々的に展示されていました.
衣装や布類などディテールの描き込みの凄さが話題になったりもしますが、連載初期の頃の作品に対する本人コメントが「描き込みがあっさりしている」とあって、観ている側からすれば充分凄いのに…… と思いました.
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画材や作業環境も紹介されていました.当たり前の話ですが、同じものを揃えたところで同じものが描けるわけではないとはいえ、定規のひとつも同じものを買ってみようか、という気分になります.
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読者アンケートの原稿までありました.
以前に「感想を送りたいけど、このアンケートハガキを手放すのがつらい」とファンの方が言っているのを見かけたことがあり、こうした細々としたものでもファンとしては手元に置いておきたいよね、と感じました.
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Q&Aに「これまで一番作画に時間を要した、大変だった作中場面はどんなのがありますか?」という問いがあり、『グルン・バエラ』という作品が挙げられていました.横に実際の原稿が展示されていたのですが……
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なるほど.『描いても描いてもびっくりするほど進まない』と言われるだけのことはあります.
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合作も展示されていました.
『森薫 拾遺集』に収録されており、そのときの解説では「食べ物系は入江さん、動物や茶器は森、という分担」「試しにひとつだけ描いてみたケーキ(右端)があまりにもまずそうで自分にガッカリです」との解説でした.
Fellows!や青騎士はあまり読んでいないこともあり、またファンというほどのものでは自分はないのですが、それでも2時間ほどかけてじっくりと見入ってしまいました.
2024/11/10
大人の休日倶楽部パスで東北旅行、さらにつづきです.
FUJIFILM X100VI
金田一温泉駅から列車に乗り、さらに北上します.
整備新幹線(盛岡以北の東北・北海道新幹線や北陸新幹線、九州新幹線)が敷設された地域は在来線が第3セクターになるため、その多くは県ごとに運営する会社が変わります.とはいえ、県境はえてして小さな駅だったりすることが多く、そこで列車を行き止まりにしても意味がないので相互運転を行なっています.
金田一温泉駅は岩手県と青森県の境に近い場所にあることもあって(次の目時駅がIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道の境界駅)、相互乗り入れしている青い森鉄道の車両がやってきました.
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八戸駅で列車を乗り継ぎ、野辺地駅までやってきました.ここが今回の旅行の極北となります.
ここにきた目的はこの防雪林.かつて新幹線がまだ盛岡までしか開通していなかった頃、東北本線で特急や急行に乗っていると、この辺りの車窓が高さのある木々に囲まれていて、まるで森の中を走行しているかのような雰囲気があってお気に入りの場所なのです..
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列車の本数が少ないのであまり時間に余裕はないのですが、散策の前にまずは駅構内の立ち食いそば(とはいっても座席が用意されていましたが)にてお昼を.
ここの名物『北前駅そば』です.ホタテ、地の野菜のかき揚げ、そして『けいらん』が入っています.『けいらん』とは鶏卵ではなく、この土地の名物であんこ入りの団子のことです.
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駅から少し離れた陸橋の上から撮影.旅客列車の本数はさほど多くないのですが、それよりも貨物列車の本数の方が多く感じました.やはり首都圏のみならず東名阪や福岡などと北海道を結ぶ重要路線なので貨物輸送量も多いのでしょう.
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再び八戸駅に向かい、そこから八戸線に乗り換えて鮫駅に向かいました.
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鮫駅とは変わった駅名ですが、駅前にはご丁寧にも鮫の像がありました.
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鮫駅から15分ほど歩いた先に蕪嶋神社があります.
蕪嶋神社を訪れるのはこれが2度目です.前回(6年前)のときは神社が全焼して再建中のため仮社殿でしたが、今回は再建された姿を見ることができました.
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蕪嶋神社はもともとは蕪島という島でしたが、埋め立てられて今は陸続きになっています.小高い丘のようなところに建っているあたりに島の名残を感じさせます.
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蕪嶋神社といえば有名なのがウミネコの繁殖地.ただシーズンは6月ごろとのことで、10月ではほとんど姿は見れませんでした.
その代わり…… というわけではないのでしょうけど、鳥居のしめ縄の上に神妙な面持ちで鳩がいました.周囲で話していた内容によると、いつもこの鳩はここにいるのだとか.
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この日は八戸市街に宿をとっていたので、本八戸駅で下車して市街地に向かいました.新幹線の駅である八戸は市街地から離れているうえに周囲にはほとんど店もないんですよね.なので、市街地に向かうには八戸駅から八戸線に乗って本八戸駅で下車するか、バスで八戸の市中心部(八戸線で本八戸駅下車よりもバスのほうが市の中心部に着くし本数も多い)に行く必要があります.
この日は土曜ということもあって、目星をつけていた店を何件か回るも予約なしでは入れないという状態でした.そんな中でもようやく入れる店を見つけたのでそちらで夕飯をいただきました.
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八戸に来たらやはり海産物、ということでまずは寿司のセットを注文しました.
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汁物としてせんべい汁が付いてくるところが嬉しいところです.
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嶽きみの天ぷら.10月なのでもうそろそろシーズン終了かなと思っていましたが、メニューにあったのでつい注文してしまいました.甘くて美味しいです.
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あと、やはり八戸ならイカは食べておきたいということでイカ刺しも注文しました.肝も付いててこちらも美味しかったです.
青森県の主要都市といえば、県庁所在地の青森市、そして弘前市が思い浮かびますが、八戸の市街地というか繁華街もかなりの賑わいぶりでした.訪れた日が土曜の夜ということを差し引いても街中に人があふれかえっていて、ホテルの部屋に戻っても比較的上階であるにも関わらず深夜近くになるまで車の走る音も含めて喧騒が伝わってきていました.
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翌日は八戸の市街地にあるバス停から八戸駅まで向かい、昼過ぎに東京に着く便で帰りました.
翌日が月曜で出社なのであまり無理もできませんし.
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八戸駅で購入した駅弁.イカと鯖を中心とした「三八弁当」です.一夜干し風に仕上げたイカにはワタを使ったタレをかけ、さらに甘辛く煮込んだイカの足としめ鯖という好みの分かれそうなメニューですが個人的には非常に気に入りました.
今回は『大人の休日倶楽部パス』を利用しての旅行でした.18,800円でJR東日本エリア全線といくつかの三セク鉄道が乗り放題、しかも新幹線と特急も乗り放題かつ6回まで指定席利用可能というのはなかなかの大盤振る舞いです.
しかしながら実際に使ってみると気になるところもありました.
・利用期間が1年に3回(今年はさらにプラス1回)と期間限定のため乗客が集中してローカル線などが混雑する
・6回まで新幹線・在来線特急の指定券が利用可能だが、そもそも特急列車が激減しており使い所が難しい
・特急列車が少ないからといって普通列車が多いわけでもないので、行程には苦労する
ただ、この切符を1枚持ってさえいれば支払いの手間なくいくらでも乗車できるというのはやはり楽でいいですね.
なまじ、元を取ろうとか乗れるだけ乗ってやろう的な貧乏くさい考えを持つとスケジュール的にも苦労するので、ある程度行き先とテーマを決めて、プラスアルファの自由移動を組むとか、もしくは5日間行けるので2つに分けて、3日間の東北旅行のあと、ちょっと長野や新潟に行く、みたいなパターンもいいのかもしれません.
行程と時間的余裕を考えつつ、また利用したいと思います.
2024/11/03
大人の休日倶楽部パスで東北旅行、つづきです.
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ホテルから駅に向かう途中、道路を横切るように線路がありました.
道路部分は完全にレールが埋められてしまっており、その先も柵があることからも廃線跡なのは明らかです.
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しかし反対側は綺麗に整備されています.
これは小坂製錬小坂線の廃線で、今はレールバイクを走らせるといったイベント用に活用されているようです.
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そのすぐ近くに、かつて渋谷駅前の広場に展示されていた東急5000系がいました.
どうやらハチ公のつながりで観光施設の「秋田犬の里」の敷地内に移設されたそうです.
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そして大館駅前には秋田犬の像があります.秋田犬の里という建物やこのような像があることからもわかるように、大館が秋田犬の産地なのだそうです.
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2日目.前日に引き続き、ローカル線の旅を続けます.
今日は花輪線に乗車し、まずは途中駅の鹿角花輪駅に向かいます.
昨日乗車した北上線も花輪線も、そしていまや秋田新幹線の一部となった田沢湖線も東北本線(現在の3セク部分を含む)から西に伸びる路線です.東北本線がまず最初に開通し、そこから内陸部に向かって路線が伸びていったことが想像されます.
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大館から乗車した列車が鹿角花輪行きで10時15分に到着し、次の列車がやってくるのが約1時間半後の11時47分.
1時間半ほどの時間がありましたが、この日は雨が降ったり止んだりのあいにくの天候で、しかも駅にはコインロッカーもないのでリュックを背負ったままでの移動となり、遠くまで行けるような状況でもないため、駅周辺から近くの商店街などをうろうろと散策していました.
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駅から坂を登った先に商店街があり、お昼にはやや早い時間ですが、11時の開店と同時に中華料理店「平和軒」に入店しました.
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メニューもいろいろあって目移りしてしまいましたが、ここはやはり店の名物としてワンタン麺をいただきました.
熱々のワンタンがたっぷりと入っており、美味しくいただきました.
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駅に戻ると発車時刻までまだ10分以上ありますがすでに列車は到着していました.車内はボックス席は埋まっているものの、ロングシートは空いていたので、座ることはできました.
1時間半ほど乗車し、東北本線から第3セクターであるIGRいわて銀河鉄道に移管された好摩駅にて八戸方面に向かう列車に乗り換えました.大人の休日倶楽部パスはJR東日本発行の切符ですが、IGRいわて銀河鉄道線も、その先の青い森鉄道線も乗車できます.
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IGRいわて銀河鉄道に1時間弱ほど乗車し、金田一温泉駅で下車しました.
昨日北上駅から内陸部に入り、途中宿泊を挟んでここまでやってきましたが、実は直線距離にするとそれほどでもなく、また新幹線に乗ると、北上駅から金田一温泉駅の先にある二戸駅までで40-50分ほどで到着してしまいます.まあ効率性を重視した旅ではないので、比較すること自体が意味のないことですが.
金田一温泉、ずっと「きんだいち」と濁るものだと思っていましたが、駅名表記を見ると「きんたいち」と濁らないんですよね.でも言語学者の金田一京助(きんだいちきょうすけ)ゆかりの地でもあるし…… と疑問に感じたのですが、その謎は宿についてから解決しました.
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金田一温泉は「座敷わらしの里」として知られています.
以前に訪れた遠野も河童などと並んで座敷わらし伝承の地ですが、東北のこの一帯にはそうした言い伝えが広がっているようです.
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駅からしばらく歩き、広めの道路(国道4号線)を渡った先に「金田一温泉」のゲートがあります.
これ、電飾のようなものが仕込まれているのですが夜間は光るのでしょうか.
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しかしながら、ゲートの先にも温泉宿らしき建物は見当たりません.
金田一温泉の宿があるエリアまではここからあと1kmほどあります.あらかじめ宿に連絡を入れておけば駅まで送迎していただけるかと思いますが、2km程度までの距離であれば散策と周囲の様子を見ながら歩いていくのが好きなので、宿に連絡も入れず(到着時刻は伝えてありますが)歩いて向かいました.
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金田一温泉は南部藩ゆかりの温泉で歴史のあるところですが、日帰り温泉やワーケーションを視野に入れた新しいタイプの建物もありました.
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この日の宿泊は「おぼない」にてお世話になりました.
チェックインが16時からで、30分ほど早く着いてしまいましたが入れていただき、旅疲れした体をさっそく温泉にて休ませることができました.
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温泉宿の楽しみといえば温泉はもちろんですが、食事も同じくらい楽しみでもあります.
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南部地鶏の水炊きです.
比内地鶏は歯ごたえのあるしっかりとした肉質であるのに対して、南部地鶏は水炊きで供されたこともあってか柔らかくて比内地鶏とはまた違う旨みがありました.
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ひっつみ汁です.ひっつみ汁は岩手県で食べられている、小麦粉を練ったものが入っています.少し前に弘前でせんべい汁をいただきましたが、それに近いながらも小麦粉を練ったものが柔らかくて全体的に優しい印象がありました.
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鮎の塩焼きです.やはりこうした地のものが出てくると嬉しいものです.
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金田一産のリンゴを絞って作ったリンゴジュースです.こういうものはあるとつい頼んでしまいますね.
ところで.金田一温泉の読みが「きんだいちおんせん」なのか「きんたいちおんせん」なのかの謎について.
宿の女将の話によると、元々は「きんだいちおんせん」と濁っていたそうです.が、この地に鉄道が敷設されるとき(明治末期)に、「きんだいち」と濁っていると田舎っぽくてイヤ、という理由から駅名が「きんたいち」になったそうです.
その後、やっぱり元々の呼び名である「きんだいち」に戻したいという流れになって、自治体だったか県に要望に行ったところ、「駅名だけでなく道路標識などあらゆるものを『きんだいち』に変更するのに数億円の費用がかかるので、そこにかける予算はない」ということで却下されたのだとか.なので、「きんだいちおんせん」と呼ぶようにしてくださいね、とのことでした.こういう名前の由来や変化という話はとても面白くて好きです.
ちなみに、明治末期に駅ができた当時は『温泉』はつかずに『金田一』駅だったのが、昭和末期の頃に『金田一温泉』に改称されたのですが、今回自分がここにやってきたのも旅行行程を考えている時に駅名を見て「ここに温泉あるのか」と知ったのが要因なので、駅名に『温泉』とつくだけでも大きな効果があるのではないかと思いました.
今回は一人旅で、旅館に泊まったのはこの日だけでしたが、12畳ほどもある広い部屋(しかも襖で区切られていましたが隣にももう一間ありました)で静かに過ごすのは特別感があってよかったですね.
座敷わらしの伝説のある温泉地とのことで、座敷わらしが出たか出ないかでいうと、出たといえば出た…… というような感じでしょうか.また室内にもやや不思議なあつらえもあったりするなど、詳しくは触れませんが興味深い宿ではありました.
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温泉宿に泊まったときの習慣として、6時くらいに起きてまずは朝風呂に入って、そのあと朝ごはんをいただきました.
旅館の王道ともいえるおかずラインナップです.前日に食べすぎたのと、朝食はあまり重たいものを普段から食べていないのでご飯のおかわりはしませんでしたが、宿の近くで取れたというお米はさすがの美味しさでした.
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昨日とは変わって朝からいい天気です.
列車の本数が少なくて8時9時台の便がなく10時半過ぎの列車に乗るため時間に余裕があるので、帰りも宿から歩いて駅に向かいました.宿の方からは送っていただけるとのお言葉をいただいたのですが、いい天気の中、普段と違う場所を歩くのは貴重な体験でもあるので、遠慮させていただきました.
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金田一温泉ゲートの裏側はこんな感じ.次にいつ来れるかわからないですが、また来たいと思いたくなる場所でした.
つづきます.