2014/11/24
BS朝日で3週連続で「The Photographers」という、カメラマンのドキュメンタリーを放送していたので見ました.
1回目の放送は、飛行機と鉄道、2回目の放送は生物、そして3回目の放送はスポーツということで、それぞれのプロのテクニックやこだわり、苦労などを知ることができました.
使っている機材は市販のものなので、極端な話、お金さえ出せば同じものを手にすることはできます(高価ですが……).しかしそれだけでは同じものを撮ることはできないということを番組を見ることでまざまざと思い知らされます.
重要なのは「こだわり」.この一瞬、奇跡的に訪れる、もしくは訪れないかもしれない瞬間を捉えるためにずっと前から準備し、じっと待ち構える.
例えば、夕日が落ちている最中に瀬戸大橋を渡る列車を撮りたい.1年に数日しかないその日に何時間も前から現地に入り、ぎりぎりまでフレーミングに悩み機材に悩む.そうして撮れた写真は自分のような素人目には非常に満足のいく写真のように見えるものの、撮影したプロからすると「あと10秒列車がくる時間がずれていれば夕日のど真ん中を列車が横切るところが撮れたのに」と悔しがる.そのこだわりこそがプロをプロたらしめるのではないかと感じました.と同時に「好きだからこそやっている」というカメラマンもいて、シビアでありながらも多くのカメラマンが天職と感じているのだろうなと思いました.
好きでカメラをいじり写真を撮ったりしていますが、やり直しのきかない一瞬の勝負であるカメラマンの仕事は自分にはつとまりそうにありません.そうした凄みのようなものを感じる番組でした.
年末(12月29/30/31日)に再放送がありますので、興味を持たれた方はご覧いただければと.
2014/11/09
FUJIFILM X-A1 + XF60mm F2.4 R
X-T1の解説本が出ていたので購入してみました.
今までにも何冊かの本が出ていて実際に買ったりもしましたが、そうした本がカタログや取扱説明書の延長上にあるのに対して、後発のせいもあってか内容的に突っ込んだものになっています.いちおう各部の名称や撮影の基本的な方法なども載ってはいますが、ページ数的にも少なめです.
重点的に書かれているのが、富士フイルムのカメラの最大の特徴ともいえる、フィルムシミュレーション.青、赤、緑、黄と各色ごとにそれぞれのフィルムシミュレーションの色の出方を検証し、特色や得手不得手を検証しています.富士フイルムの説明では、PROVIAがスタンダード、Velviaがヴィヴィッド、そしてASTIAがソフトということになっていますが、実はASTIAのほうがPROVIAよりも鮮やかな色の出方をしており、それでいてVelviaより抑えめ、かつ赤の再現性はもっともよいなど、意外な結果に驚きました.フィルムのASTIAにあった青色が出づらいといった欠点を解消し、またVelviaのラチチュードが狭い(こんなところまでフィルムの癖が出るのも驚きですが)という欠点を補って撮影の自由度が高いなど、使いでのあるフィルムシミュレーションのようです.ASTIAはポートレート寄りかなと思ってあんまり使ってこなかったのですが、少し積極的に使っていこうかと思いました.
モノクロの画質についてもきちんと検証されており、たまにはモノクロにも手を出してみようかという気分にさせられます.
筆者が実際にX-T1のユーザで使い込んでいるところから得た知見がふんだんに盛り込まれているので、色調のコントロールをはじめ、様々な面で参考になります.
また、X-T1グラファイトシルバーに先行して搭載され、12月にはX-T1ブラック向けにも公開される新しいファームウェアの情報も掲載されており、X-T1ユーザならば手元に置いて損はない本だと思います.
2014/10/05
以前に導入したことをブログに書いた、実家で使用しているおもいでばこが故障しました.
導入時のエントリでもフリーズしたりしたことを書きましたが、先日も写真を取り込んだらフリーズしたので電源を強制切断したらすべての操作を受け付けなくなりました.なのでサポートに電話をかけて対応方法を尋ねたところ、電源プラグを1時間ほど抜いて完全放電してくれとの返答で、その通りに実行したところ、無事に起動するようになりました.
が、起動後の画面にファームウェアアップデートの告知が出ていたのでアップデート処理を行ったところ、再びフリーズ.しばらく放置した後に電源を入れ直したところ、メニュー画面が表示されてしばらくすると画面がブラックアウトしてしまいすべての操作を受け付けなくなるという状態になってしまいました.
再びサポートに問い合わせたところ、データのバックアップをとって修理に出してほしいとの返答でした.上記のような状況説明をしているのでバックアップがとれないのはわかっているはずなのですが…….直前に取り込んだ写真以外は外付けハードディスクにバックアップされているはずであり、直前の写真もメモリカードからデータ削除をしていないので、実質的なデータ損失はないのが救いでした.
修理に出すにあたっては修理依頼票を印刷して保証書とともに添付する必要があるのですが、実家にはプリンタがないので、セブンイレブンのネットプリントを利用して対処しました.修理依頼票だけであればネットプリント指定をかけてバッファローの担当者にその旨を伝えても対処可能というような表記をどこかで見た記憶があるのですが、保証書がどこかに埋もれて見当たらなかったので、購入証明となるネット通販の書類も印刷する必要があったのです.
おもいでばこの故障について思うこと.
そもそも、「おもいでばこ」という製品はコンピュータによる写真管理ができない人などに向けた、専門知識がなくても写真の管理をできるようにした機材です.とはいうものの、中身はハードディスクが使用されており、故障した場合には中身が消去されてしまうのはコンピュータと同じであったりします.
今回のような故障によるデータの紛失を防ぐためにUSB端子に外付けハードディスクが接続できるような設計になってはいますが、コンピュータの取り扱いが苦手な人向けの製品で果たしてどれだけの確率でバックアップがとれるような環境が構築できていたかは疑問ではあります.とくに、記録しているものが「おもいで」であるのだから、データが消えてしまうことに対してはメーカーももう少し慎重な設計やサポート体制が必要なのではないかと感じました.本体価格の上昇やランニングコストとして利用者の負担が発生するとしても、ハードディスクのミラーリングやクラウド連携サービス、それにファームウェアはハードディスクではなくメモリに保存してA/B面でどちらかが異常を来してもバックアップから起動するようなシステムを構築してほしいなと思いました.
修理依頼してからどれほどで戻ってくるかはわかりませんが、設置して正常動作を確認し、バックアップから写真が戻せるか検証するのは年末に帰省したときになることでしょう.
2014/09/13
X-T1のカーソルキー(富士フイルムでは正式には「十字キー」と呼んでいます)について書いた前回のブログに、「ホームセンターで売ってるポンチを使ってみてはどうか」とコメントをいただいたので、さっそく近所のホームセンターまで出かけて穴開けポンチを買ってきました.穴開けポンチの存在は知ってはいたんですが、革素材に穴を開けるほうにばかり目が行ってしまい、開けたときにできた丸いほうというかゴミとして捨てるほうを使うというところに頭が回りませんでした.
RICOH GR
買ってきた穴開けポンチ.φ2.0-4.5mmまで0.5mm刻みのセット.600円くらいでした.
RICOH GR
正しい使い方は、ポンチを革にあてがった状態でハンマーで叩いて革をくりぬくのですが、今回は革ではなくて人工皮革のビニックスレザーでそれほど厚みもないので、読み終えた雑誌を下に敷いて上からぐっと力をかけてくりぬきました.
綺麗にくりぬけました.先に両面テープを貼っておけば一緒にくりぬけるので楽です.
背面のAEロック、AFロック、フォーカスアシスト、DISP/BACKボタン、そして写真には写っていませんが再生ボタンに貼り付けました.
Qボタン(簡易設定変更メニュー)に貼っていないのは、このボタンを操作するときには基本的にファインダから目を離しているので指が迷うことがないから.他のボタンはファインダを覗きながらブラインドで押すのではっきりした突起が欲しいのです.
RICOH GR
調子に乗って、正面のFn1ボタンやレリーズボタン、使わないのに赤くて目障りな動画撮影ボタンなどにも貼ってみました.レリーズボタンのみサークルカッターを使用.
ビニックスレザーを貼ることで、かなり操作面は改善されました.メーカー側でボタン交換サービスなどをしない限りはこのまま使い続けようかと思っています.
2014/09/11
「APS-C高級コンパクトデジカメ「FUJIFILM X100T」」
「特別塗装の「FUJIFILM X-T1グラファイトシルバー」」
「富士フイルム、ボケ味にこだわった大口径望遠レンズ」
「富士フイルム、大口径望遠ズームレンズ「XF 50-140mm F2.8 R LM OIS WR」」
富士フイルムから新しいカメラやレンズなどの新製品が一気に発表されました.
X100Tについて.
X100、X100Sに次ぐ、X100系の新製品.末尾はS(Second)、T(Third)の略でしょうか.だとしたら次はX100F?
X100には光学式ファインダと電子ビューファインダを一体化した、ハイブリッドビューファインダなる装備がありますが、今回はさらにそれが進化し、光学式ファインダ表示時に部分的にマスクしてピント確認をアシストする機能が備わっています.
レンズ周りは従来機種そのまま.定評のあるレンズなので無理して変える必要もないのでしょう.
シャッター速度は従来の1/4000秒から電子シャッター方式で1/32,000秒に高速化.X30に搭載されたフィルムシミュレーションに「クラシッククローム」を追加、というあたりが目新しいです.
また、今回はブラックモデルが限定ではなく標準で用意されるのがいいですね.X100もX100Sも、ブラックが後出し的に発売されてしかも台数も限定だったので手に入れれない人もいたでしょうし.
X-T1グラファイトシルバーについて.
ブラックのみが発売されていたX-T1の追加カラー.単純なシルバーというのではなく、ブラックを混ぜた多層塗装を行うことで深みのあるシルバーに仕上がっているのが特徴.Webの写真を見ても「HDR写真?」と思うような濃淡のある色調になっています.塗装が複雑なぶん、本体価格もブラックに比べて高いようです.
そして、重要なのが新しいファームウェア.X30に搭載された新しいフィルムシミュレーション「クラシッククローム」や、少し前から噂が流れていた1/32,000秒の超高速電子シャッターの搭載に加えて、カーソルキーで直接AFポイントを選択できるようになったり、マクロモードのON/OFFをメニューから呼び出さずに直接切り替えられたりするなど、X-T1を使っていて不満を感じるところにかなり手が入っている印象です.X-T1グラファイトシルバーが11月発売でX-T1ブラックへのファームウェアアップデートは12月とのことなので楽しみに待ちたいと思います.
XF56mm F1.2 R APDについて.
2月にXF56mm F1.2 Rが発売されていますが、今回のXF56mm F1.2 R APDは「APD=アポダイゼーションフィルタ」を内蔵したやや特殊なレンズです.
アポダイゼーションフィルタとは、ピントの合っているとこはそのままに、前後のボケている部分の輪郭をなだらかにさせることで、さらに美しいボケを出すことのできるレンズです.特殊なフィルタを入れることや、特性上AF化しづらいという理由で今まで発売していたのはソニー(旧ミノルタからの資産受け継ぎ)くらいでした.このレンズはAPDレンズとしては初のAFレンズとのことです.
ベースとなったXF56mm F1.2から半年程度でスペシャルなレンズをリリースするのはすごいのですが、どちらもポートレートがメインであることを考えると、2月の段階で将来的にAPDレンズも出しますよとアナウンスしておいたほうが親切ではなかったかなという気がします.APDレンズがすべてにおいて性能が上というわけではなく、フィルタの都合上若干暗くなるので、使用者が選べたほうがよかったかと.ちなみにお値段はXF56mm F1.2の約10万円に対して1.5倍くらいとなかなかに高価です.
富士フイルムは短期間で大量のカメラボディとレンズを発売しており、ユーザとしては選択の余地があってとても嬉しいのですが、その反面、果たして事業的に収支が成り立っているのか不安であったりもします.たくさん発売したけど、ビジネスにならないからやっぱりやめますっていわれても困りますし.
と思っていたら、「「FUJIFILM X100T」などの発表会レポート デジカメ事業が黒字に。APS-C機と交換レンズに注力」なんて記事が出ており、「黒字を計上できるところに来た」とのことなのでとりあえず一安心です.