2024/10/21

大人の休日倶楽部パスで東北旅行(その1)

Category: 旅行・観光,鉄道 — Annexia @ 22:36

 JR東日本には50歳以上を対象とした「大人の休日倶楽部」という会員サービスがあります.
 こちらに加入していると、通年でJR東日本エリアの料金が5%引きとなります(65歳以上になると30%引き).
 また、期間限定で1年に何回か「大人の休日倶楽部パス」という切符が販売されます.これがなかなかの大盤振る舞いで、
・連続する5日間、JR東日本エリア全線乗り放題(新幹線や特急も含む)
・6回まで指定席発券可能
・えちごトキめき鉄道、IGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道、三陸鉄道なども全線乗り放題
と破格のサービスながら、価格が普通車用が18,800円(えきねっと発券の価格)、グリーン車用が35,000円なのです.この価格がどれだけ割安なのかといえば、東京-新青森の片道が17,670円であることを見ても明らかです.さらにJR北海道エリアも含めたものやJR北海道のみという切符も用意されています.
 今回はこの切符を使って、遅い夏休み第2弾として東北旅行をすることにしました.

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 5日間有効、とはいうものの、すでに夏休みとして3日使ってしまい、残りは2日のみ.土日を含めても連続して使える休暇は4日.
 なので、仕事帰りに帰宅せずそのまま夜出発で新幹線に乗り込みました.

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 「大人の休日倶楽部パス」含めて特急券もすべて事前に紙発券しておく必要があります.
 モバイルSuicaなどと連携してくれると発券の手間がなくて便利なのですが、JR東日本のエリアがすべてSuicaに対応しているわけではないのと、利用者の対象年齢を考慮しても紙発券するのが確実ということなのでしょう.

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 19時前の東北新幹線に東京駅から乗車し、21時過ぎに北上駅に到着しました.初めて降りる駅ですが、車の旅行ではこの近くに東北道の北上江釣子インターがあり、東西南北どちらでも向かえる交通の要衝みたいな場所なので比較的馴染みがあります.
 ちなみに、当初の計画では北上ではなく、上越新幹線で新潟に向かう予定でした.新潟で宿泊し、翌日の特急「いなほ」に乗車して秋田に向かうつもりが、羽越線内で大雨の影響で「いなほ」が新潟-酒田間運休になったとのことなのでやむなく計画変更したのです.

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 翌日.ここからが旅行本番なので1日目とでもいいましょうか.
 北上駅から北上線に乗って横手に向かいます.9時55分の便を乗り逃すと次は13時42分なので1本乗り遅れるだけで行程がすべて台無しになってしまいます.今回はローカル線の旅がメインなので、本数が少ない路線が多くて時間の把握に気を使いました.

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 JR東日本の非電化ローカル線ではよく見られる、キハ100系です.1両のみの運行で、大船渡線と運用が共通のようで車体には「ドラゴンレール大船渡線」のステッカーが貼られていました.
 大人の休日パスの期間だからか、車内はそこそこ席が埋まるほどの混雑ぶりでした.

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 横手に到着したら乗り換えまで40分ほどあるので、駅から少し歩いた幹線道路沿いのスターバックスにてコーヒーを購入しました.都市部の駅のように駅構内にテイクアウトのコーヒーが買える店が多いわけでもないので、コーヒーが飲みたい場合には事前に購入ポイントを調べておく必要があります.スターバックスやタリーズ、ドトールなどの店舗があればそこで調達し、なければコンビニで、となるのですがコンビニだって駅前に必ずあるわけではないですし.JR東日本は系列のコンビニチェーンとしてNewDaysを展開していますが、今回の旅行で見た感じでは、新幹線の駅であれば土産店も兼ねてほぼ出店されており、特急の停車駅でも必ずしも出店されているわけでもないようでした.先日訪れた酒田駅も駅構内の店舗はテナントの土産物店だけでしたし.

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 横手から奥羽本線で大曲に向かいます.車両はこの界隈ではよく見かける701系です.だいたい非電化路線だとキハ100/110系で電化路線だと701系なので、このあとも何度も乗車することになります.

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 大曲駅で乗り換えに40分ほどあったので外に出てみました.花火が有名な街だけあって駅舎に花火玉のオブジェがあり、駅壁面も花火らしきデザインがされていました.電飾のように見えるので、夜間になると点灯するっぽいです.

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 駅前の商店街も「花火通り商店街」です.一度は行ってみたい大曲の花火大会ですが、なにぶん遠距離なこと、そして交通渋滞が凄まじいと聞くので(オフィシャルサイトにも道路は夜中の2時3時まで渋滞しますとの案内が)、躊躇してしまいます.

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 大曲駅は在来線(奥羽本線)と秋田新幹線(田沢湖線と併用)の両方の路線があります.
 改札口は新幹線と在来線の共通で、さらにその先で新幹線用ホームがあるという二重構造になっています.

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 改札口を抜けた先に在来線と新幹線それぞれの方面の案内が出ています.

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 新幹線側のエスカレータを降りていくと新幹線用改札があるのですが、大曲駅で秋田新幹線はスイッチバックする構造になっており、線路を跨ぐような位置に改札口があります.
 かつての大曲駅は奥羽本線(福島、山形と経由して秋田、青森に向かう路線)がメインで、田沢湖線は盛岡と大曲を結ぶローカル線にしか過ぎませんでした.しかし奥羽本線の一部(福島-山形(のちに新庄)間)が山形新幹線となって線路幅の関係でが分断されてしまい、さらに盛岡から大曲までの田沢湖線と大曲から秋田までの奥羽本線が秋田新幹線となったため、運行系統が細切れ状に分断された奥羽本線よりも秋田新幹線の一部となった田沢湖線の方が優先度が高くなりました.ただし、田沢湖線は福島・山形方向に線路が敷かれており、新幹線になった時も改められなかったので、大曲駅で進行方向が変わってしまうのです.

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 スイッチバックなので、終着駅でもないのに車止めがあります.
 自分が乗る列車の前に、東京発秋田行きの列車が到着したので様子を見ていたのですが、さすがに短時間で準備を済ませて発車していきました.

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 大曲駅から乗車し、新幹線の駅でいうと1駅、10分ほどの乗車で角館駅で下車します.
 秋田新幹線区間は同じ線路を在来線が走行しているので新幹線に乗車する必然性はないのですが、在来線は本数が少なく、秋田新幹線が1時間に1本あるのに対して在来線の列車は2時間に1本、ひどい時は4時間ほど間隔が開くこともあります.なので次に来る列車に乗ろうとすると新幹線になってしまうことが多いのです.

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 角館で1時間ほど余裕があるので、角館駅前にあるJR東日本直営の宿「フォルクローロ角館」の飲食店で昼食をいただきました.
 いただいたのは、角館名物という御狩場焼き.狩で獲った鳥をその場でさばいて山椒味噌をつけて焼くという、佐竹北家伝承の郷土料理だそうです.秋田で鶏肉といえば比内地鶏.歯ごたえがあり、噛めば噛むほど旨味が広がります.
 大人の休日パスの特典として、NewDaysなどの店舗で割引が受けられるのですが、ここもJR東日本の店舗なので1割引でいただくことができました.

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 角館からは秋田内陸縦貫鉄道 秋田内陸線に乗車します.
 昨年、どこかにビューーン!で田沢湖に行った際に角館に立ち寄り、内陸線乗りたいなと思い、つい1ヶ月前にロードスターで東北旅行をした際にも内陸線と並走したことから、いつか乗ってみたいと思っていた路線なのですが、自分でもまさかこんなすぐに乗りに来るとは思ってもみませんでした.
 終点の鷹巣まで乗車しますが、途中で1回だけ下車できる「片道寄り道きっぷ」を購入しました.

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 座席には秋田犬の図柄があしらわれています.

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 窓下の飲み物などを置くトレイ部分には路線図が描かれており、ここにも秋田犬が.

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 阿仁合駅で途中下車しました.

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 阿仁合駅は秋田内陸線の中で主要駅の1つで、秋田内陸縦貫鉄道の本社もここにあります.
 駅構内には車庫や整備場があり、複数の車両やラッセル車なども停められていました.
 着いたのは15時過ぎですが、駅構内の売店が店を閉める時間だというのであわてて「バター餅」などを買い込みました.

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 次の列車が来るまで約2時間.旅行の計画を立てるときにあれこれ下調べをするのですが、2時間を使い切れるほどの見どころもなく、やや手持ち無沙汰な感じのところにきて雨も降り出してしまったので、とりあえず駅前にある、『阿仁のマタギ座敷 内陸線資料館』と書かれた建物に入りました.

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 中には最近まで使用されていた列車集中制御装置や阿仁合駅のジオラマ、そして秋田内陸線とその前身である国鉄阿仁合線と角館線ができた当時の新聞記事などが展示されていました.この新聞記事がとても興味深くて、昭和初期に阿仁合線(鷹巣駅から伸びる路線)が部分開業した際には町を挙げて大歓迎で新聞記事も楽観的な書き方をしているのですが、その後の延伸が進んだ記事には乗客減や赤字といった暗い話題が多くなり、1970年に部分開業した角館線(角館から伸びる路線)の記事にいたっては、できたものの1日3本しか列車がないとか暗い話題ばかりになっています(実際、開業のたった11年後には廃線が決定されています).結局その後、1986年に阿仁合線と角館線を国鉄から引き継いで秋田内陸縦貫鉄道 秋田内陸線が発足し、その3年後に両方の路線を繋ぐ部分が開業して、ようやく当初の計画の路線が完成したわけです.
 A駅とB駅を結ぶ路線を作ろうとして両端から工事を進めるも、資金不足や技術的困難から中断し、部分開業で収益の上がらない盲腸線が2本できるというパターンは国鉄時代にはあちこちにありましたが、地元がそれを引き継ぎ、完成させるというパターンはそれほど多くない気がします.三陸鉄道の南リアス線が同じようなパターンでしょうか(南リアス線の場合は片側から作り進めていっていますが).

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 ところで、『阿仁のマタギ座敷 内陸線資料館』と建物の入り口にあるように、秋田内陸線の展示物の先には座敷があり、熊がいました.

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 熊の毛皮の敷物に「どうぞすわってみてください」とあったので座ってみましたが、熊の毛皮など触ったこともないので座っても何だか落ち着きません.

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 座るとすぐ横には熊の剥製もありますし、どうにも居心地が悪いので早々に退散しました.
 阿仁合のある阿仁地区は「阿仁マタギ」と呼ばれる猟師で知られる地域であり、阿仁マタギをテーマにした温泉宿では熊、鹿、ウサギといったジビエ肉がいただけるようです.興味があるのですが、今回は行程の都合でそこへの宿泊は見送りました.

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 2時間後、やってきた列車に乗って鷹巣に向かいます.

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 秋田内陸線の車両は車体色がバリエーション豊かですが、やってきたのは青い車両.そして車内には秋田犬の写真があちこちに貼られていました.

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 鷹巣駅に到着しました.
 鷹巣駅はJR東日本との共用駅ですが……

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 JR東日本の駅名は鷹ノ巣駅です.もともとはどちらの駅も鷹ノ巣駅でしたが、秋田内陸線が全線開通した際に当時の町名の鷹巣町に合わせて改名したそうです.

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 鷹ノ巣から大館まで移動し、この日は大館にて宿泊しました.
 夕飯は事前に予約しておいた駅弁を駅前の店舗にて受け取ってホテルでいただきました.

 つづきます.

2024/09/25

八ッ場ダム

Category: 建築物,旅行・観光, — Annexia @ 21:41

 9月の3連休、そろそろ新米入荷の時期でもあるので、米の調達がてら八ッ場ダムに出かけてきました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 まずは道の駅八ッ場ふるさと館にて昼食のダムカレーをいただきます.仕切りというか築堤を崩さずにカレーを下流に流出させないようにいただきました.
 お目当ての新米はあったものの、5kgのみ在庫だったので購入は諦め、代わりにシャインマスカットやお菓子などを購入しました.
 帰りがけに別の道の駅で1kgのものが売られていたので、無事に購入できました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 道の駅のすぐそばにある不動大橋からダム側を眺めます.この時期は台風などによる水かさが増すことを想定して貯水量は控えめにしてあるとのことで、若干少なめです.

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FUJIFILM X-Pro2 + Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm F4.5 VM

 こちらはほぼ同じ場所から2019年9月に撮影した貯水前の光景です.比較してみるとおおよその水深がわかります.

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Nikon Zf + Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm F4.5 VM

 続いて、ダム近くにある高台の展望台、やんば見放台に移動しました.

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FUJIFILM X-Pro2 + Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm F4.5 VM

 こちらは同じやんば見放台から2019年9月に撮影したもの.貯水すると水深がわからなくなりますが、こうしてみると結構な深さがあることがわかります.堤高116mで30mくらい水面から上に出ていましたので、水面から下にはこの3倍の水深があることがわかります.

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Nikon Zf + Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm F4.5 VM

 日中はダムが開放されており、資料館や食堂、売店も併設されています.資料館の映像によると観光施設の要素が大きいのはダム湖に沈んだ地域の振興を図るといった側面もあるようです.
 資料館の映像や展示パネルによると、建設計画ができた頃から完成までの間には、反対運動や政権交代による中止、その後の再開、完成直後のいきなりの大活躍と、翻弄され続けてきたというか話題に事欠かないダムだというのが伝わってきました.

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Nikon Zf + Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm F4.5 VM

 ダム堤体の変色しているところまでは水がきたことがあるという印ですね.完成まで紆余曲折あった八ッ場ダムですが、試験湛水のタイミングで大型台風がやってきていきなりの大活躍をしたというのは一種の伝説となっています.

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Nikon Zf + Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm F4.5 VM

 堤体(ダムの上)から上流側を眺めた光景です.10月以降は非洪水期として台風対策の余力分をとらずに貯水するようなので、多めに貯水する姿を見れそうです.

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Nikon Zf + Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm F4.5 VM

 堤体にエレベータがあって、観光客もそれを使って下流側の堤体下に降りることができます.なお、ダム自体含めて入場料等はかかりません.
 下から眺めるダムは巨大な神殿のようにも見えます.そして吐水の轟音が響いています.

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Nikon Zf + Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm F4.5 VM

 側面から勢いよく放流される水が音も含めて大迫力です.これだけ大量に放流されていても川下はそれほどの勢いや水量を感じさせず、なんか不思議な感じです.

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Nikon Zf + Voigtlander Super Wide-Heliar 15mm F4.5 VM

 ダム下流近くにはダム建設に伴って線路の付け替えの行われた吾妻線の旧線が残されています.
 この旧線を使って、自転車を左右に2台繋げたような乗り物でレール状をサイクリング(?)できるようなアトラクションが営業されています.
 吾妻線といえば名物だったのが日本一短いトンネルでしたが、そのトンネルも通り抜けることができるようです.かなり人気のアトラクションのようでこの日も先の時間帯まで完売になっていました.

 道の駅もダムも多くの観光客で賑わっており、しかも自動車のナンバーを見るとかなり遠くからも観光に来ているようでした.

2024/09/19

とうもろこしを食べに東北旅行(その2)

Category: 旅行・観光, — Annexia @ 20:42

 東北旅行、つづきです.

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 ホテルの朝食バイキングですが、青森らしさを感じさせるメニューが豊富でした.
 左奥にある汁物はせんべい汁、その右にある丸いものはイカメンチ、リンゴゼリーを挟んで右側は「スタミナ源たれ」を使った豚肉と野菜の炒め物.手前左はホッキ貝、右のご飯はホタテの炊き込みご飯です.ジュースはもちろんリンゴジュース.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 朝食のあとは弘前城近くにあるスタバまで出かけてコーヒーを買ってきました.
 ここのスタバは登録有形文化財の建物をリノベーションした店舗で、旧第八師団長官舎(弘前市長公舎)だったそうです.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 岩木山に向かう途中で岩木山神社に参拝します.
 比較的天気のよい日でしたが、このように雲が出ており、おかげで麓から岩木山を拝むことができませんでした.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 1200年以上もの歴史のある神社で、古来より岩木山信仰が篤かったのが伺えます.
 岩木山信仰なので、この鳥居の先に御神体たる岩木山が見えるはずなのですが、雲で見えません.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 参拝して旅の無事を祈り、御朱印をいただいて岩木山を目指します.

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 岩木山は標高1,624mで、津軽富士などとも呼ばれる裾野が美しく広がる山です.
 車で8合目までは行けるのですが、その道路、津軽岩木スカイラインがこのポスターのように曲がりくねっているのです.合計69ものカーブがあって…… というのは事前知識でもちろん知っていたのですが、実際に走ってみると思っていた以上に直線部分が短くてひたすらヘアピンカーブを曲がり続ける感じでした.これはこれで楽しいのですが、残念ながら道路が結構荒れており、ところどころ穴があるうえにカーブの先の見通しはよくないので神経を使います.
 平日の観光用有料道路ということもあってかそれほど交通量も多くなく、すれ違ったのは路線バスくらい(地元の温泉から運行されてるらしい)でした.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 岩木山8合目にて.雲の位置で高い場所に来ているのがわかります.
 ここから9合目までは後ろに見えるリフトで登れるのですが、山頂を目指すには本格的な山装備がないと無理だそうです.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 しばらくしたら徐々に雲が取れてきましたが、それでも見晴らしはさほど改善されず、そして標高が高く肌寒いので早々に下山しました.

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 下山したところで道路沿いに何軒もあるとうもろこし農家の店で「嶽きみ」をいただきます.甘みが強くて美味しかったです.
 この辺りの地域を「嶽(だけ)地区」と呼び、そこで採れるとうもろこしなので「嶽きみ(きび)」と呼ぶそうです.鮮度が落ちるのが早いそうで、首都圏などには出荷されているのを見たことがないですが、地方発送は可能のようでした.
 これにて今回の旅の目標が果たされました.よってここからは帰路になります.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 岩木山を弘前と反対側に降りることで日本海側の街、鯵ヶ沢に出ます.行きは郡山から東北中心部を走って弘前までやってきましたので、帰りは日本海側、白神山地の日本海に面した道路(現地の呼び名では西海岸)を南下することにしました.
 西海岸沿岸は白神山地が海まで迫っており平地が少ないこともあって、道路(国道101号線)と五能線と並走する区間が多いです.
 走っていると、以前に「リゾートしらかみ」に乗車した際に観光したことのある千畳敷にやってきたのでしばらく休憩しました.
 鉄道の車窓で眺めていた道路を今度は自分が車で運転するというのも、旅行冥利に尽きるものだなと感じました.今回の旅行はそれを感じる部分がいくつかあり、山形市からさくらんぼ東根駅あたりの、以前に山形新幹線の車窓で眺めた、街路樹が等間隔で植えられている一直線の道路も走行できたりして、懐かしく感じました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 昼食の計画はまったく立てておらず、やや遅くなった時間に道の駅が見えたのでそこでいただきました.
 マグロ丼がおすすめと張り紙があったので注文しようとしたところすでに売り切れており、パッと目に入った鉄板ナポリタンを注文したらこれが当たりで、道の駅らしく地元野菜を使っており美味しくいただきました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 この日は酒田にて宿泊です.酒田か鶴岡か迷ったのですが、鶴岡は以前に泊まったことがあるので酒田を選びました.
 初めて訪れる街で、時刻表を見ると特急停車駅として地域の代表駅的な扱いに見えたので大きい街なのかなと思ったら、駅と街中はやや離れているようで駅前は寂れ気味でした.そんな状況を打開しようとするためか、駅前に公共施設(図書館と観光施設)とホテルを併設した建物が新規に建てられていましたので、今回はそちらに宿泊しました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 ホテルの部屋からの眺めですが、こんな感じでトレインビューというかステーションビューです.しかも背景には鳥海山も見れ…… るはずなのですが、宿泊中はあいにくの天候で雲に遮られて見ることができませんでした.今回の旅行は雨に降られることはあんまりなかったのですが、雲が多くて期待していた景色を望めない部分が多々あったのが残念でした.

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 駅周辺は居酒屋のような店は何軒かあったのですが、自分は飲めないのでホテルのレストランでいただくことにしました.
 注文したのは季節のお刺身御膳.マグロはやや水っぽくて残念でしたが、他の刺身は美味しくいただきました.

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 翌日は鶴岡市の海沿いにある加茂水族館に.7年ぶり2度目の訪問です.前回は逆回りで新潟から北上して鶴岡にやってきたのでした.
 夏休みシーズンも終わった9月とはいえ、土曜日ですので子供連れも多くそこそこの混雑ぶりでした.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 加茂水族館といえばやはりクラゲ.クラゲの飼育で経営を持ち直したといっても過言ではない水族館なので、展示される種類の多さや展示内容の濃さなど圧倒されます.他にも近辺の魚やアシカやアザラシといった海獣類の展示なども充実しています.近辺の魚、特に海水魚は説明書きで刺身や鍋、煮付けについて言及されており食べることと繋がっているのがいいですね.もちろんクラゲについても調理法の説明書きがありました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 そして加茂水族館の看板ともいえる展示がこのクラゲドリームシアターです.直径5mもの水槽に約1万匹ものミズクラゲが漂う姿は見入ってしまいます.

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 予定していた観光地はこれで見尽くしたので、あとは帰るだけ…… ですが、ここから新潟を経由して名物のタレカツをいただくことにしました.カツ丼といえば、だし汁と卵でとじたものや、千切りキャベツを敷いてソースをくぐらせたソースカツ丼がありますが、新潟の名物は醤油系のつゆにくぐらせたタレカツ丼なのです.少し前まで、会社の近くに新潟の物産館があってそこでタレカツ丼が食べられたのですが、移転してしまったためにすっかりご無沙汰になってしまっており、久々にいただきました.美味しかったです.

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 新潟からはずっと高速道路にて帰宅しました.
 今回の旅行の隠れた目的として、道の駅や高速道路のサービスエリアで新米の自主流通米を買ってこようと思っていたのですが、まだ時期が早すぎたようで実った田んぼはたくさん見たのですが刈り取りをしている様子は新潟の一部くらいでしか見ることができず、販売もされていませんでした.

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 今回のルートです.距離にして1,570kmほどなので、いままでの東北旅行の中でも最長距離となりました.GPSログをeTrex Solarで記録していたのですが、どうも動作が不安定な部分があって、今回の旅行のハイライトといえる、弘前から岩木山を登るあたりのログがごっそりと記録されていませんでした.津軽岩木スカイラインは次にいつ行けるかわからないようなところなので、そこはやや残念です.

2024/09/17

とうもろこしを食べに東北旅行(その1)

Category: 旅行・観光, — Annexia @ 20:14

 夏休みを利用して東北に旅行に行ってきました.
 今回の目的は岩木山に登る(ただし車で行ける8合目まで)こと、そしてその麓で8月下旬から9月にかけてのみ収穫される、とうもろこし「嶽きみ」を食べるという2つです.

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 以前にも何度か繰り返していますが、東北方面への旅行の定例の足掛かりとして休暇前日に仕事を終えてそそくさと帰宅し、荷物をまとめて佐野SAまで進みました.
 ここにはサービスエリア内ながら宿泊施設「旅籠屋」があるのです.ここに泊まることで朝の首都圏の通勤ラッシュに巻き込まれずに済み、なおかつ夜中に高速道路にいることで夜間割引も適用されます.

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 佐野といえば佐野ラーメン.いままで何度か佐野SAに泊まってきましたが初めていただきました.
 しょうゆベースのちぢれ麺で、最近のインパクトあるラーメンに比べるとシンプルですが個人的には好きなタイプのラーメンです.

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 翌日は8時過ぎに佐野SAを出て東北道を北上します.
 途中、那須高原SAに立ち寄りソフトクリームをいただきました.ここのソフトクリームが好きで東北道を走るたびに立ち寄っています.
 ただ、早い時間だとやっていないことがあるのか、昨年遠野に行った時には食べられませんでした.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 首都圏から弘前に向かうには、東北道を走り続けるのがスタンダードなルートですが、ひたすら高速道路を進むというのも味気ないもの.そこで今回は郡山で東北道を降りて内陸方面に進みます.
 途中、猪苗代湖畔を通過したので一休み.この日は日差しはあるものの暑さ的にはなんとか耐えられそうなのでオープンにて走行しました.旅行中は我慢できる範囲でオープンで走行していましたが、おかげでハンドルを握る手首から先だけがはっきりと痕跡がわかるレベルで陽に焼けてしまいました.

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 途中、喜多方(喜多方ラーメン)と米沢(米沢牛)という2大昼食ポイントがあったのですが、喜多方の時点でちょうど12時くらいで、もう少し遅い時間でもいいかなと思い通過し、13時ごろ道の駅米沢に到着しました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 道の駅といえどもさすがは米沢.フードコートからステーキなどを提供する専門店まで米沢牛を食べられる店舗が揃っています.
 せっかくなのでここは地元の牛肉店が経営する店舗にて米沢牛ステーキ2種盛りランチをいただきました.部位はその日によって異なるとのことで、自分が訪れた日はカイノミとシンシンでした.部位による違いなどの味わいは自分にはよくわかりませんが、どちらも柔らかく肉の旨みがすごくて大満足でした.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 この日は山形市内、山形駅近くのホテルに宿泊しました.部屋を一番安い「おまかせ」プランにしたところ、角部屋のデラックスツインでした.おお、これは素晴らしいと思って部屋に入ったところ、ホテルが交差点の角に面していることもあって、比較的上層階であったにも関わらず斜め向かいのビルのサイネージが騒がしいのが難点でした.室内でテレビなり音楽をかけていれば気になるレベルではないのですが、ホテルで過ごす時は自分は基本的にテレビもつけず無音で過ごすことが多いので、デスクでちょっと仕事を片付けていると何度も何度も繰り返し流される広告の音声には参りました.

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 事前の調査でなんとなくわかっていたのですが、宿泊したのが水曜日で、なおかつ山形駅近辺の飲食店は水曜日が定休日もしくはランチ営業のみで終了という店が多く、選択肢が少なかったので外食は諦め、駅まで出かけて駅弁などを買ってきて夕飯としました.県庁所在地だけあって、駅まで行けばスタバでコーヒーも買えますし、ちょっとつまむような名産品のお菓子なんかも買えたのは助かりました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 翌日は山形市内から天童市や新庄市といった山形県内を抜けて横手市や大仙市といった秋田県内に出るルートを走行しました.
 高速道路を極力使わないようにしたのですが、この辺りは「東北中央自動車道」が建設中であり、部分的に完成した道路は無料で先行開通していることもあって、無料優先でカーナビの案内をさせるとこうした道路に誘導しがちです.土地勘もないので赤信号などで停車するとカーナビの地図を縮小し、高速道路に誘導していないか見つつの走行でした.高速道路的なものを無料で使えるのは助かるのですが、山間部を切り開いたような道路では景色も楽しめませんし、街中の様子を見ることもままならないので走っていて楽しくないんですよね.
 田沢湖の近くを通る国道105号に入ると運転していて楽しい山道に出ました.3桁国道といえども100番台なので離合に苦労するような場所もなく、山道ながら快適に走行できました.また道路と並走するようにして秋田内陸線の路線があり、走行する車両を見ることができ、いつか乗ってみたいと思いました.
 山道を抜けたところで道の駅があり、時刻も13時くらいだったのでここでお昼にしました.食事の計画を立てずに車で旅に出ると、道の駅の存在は本当にありがたいです.

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 「道の駅あに」という名称なのに、建物には「またたび館」と謎の名称がつけられているな…… と思って食堂のメニューを見たら、おすすめは「またたびラーメン」でした.どうやらこのあたりの特産はまたたびのようです.ちなみに他に変わったラーメンとして「うさぎラーメン」と「馬肉ラーメン」がありました.また特産品として熊肉と鹿肉が売られているあたりも「マタギの里」らしいところです.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 旅に出たらその土地の名物はいただくもの、ましてやお薦めされたのであればなおさら.ということでまたたびラーメンをいただきました.
 麺にまたたびが練り込まれていますとのことで、提供された状態で見るかぎりはごく普通の醤油ラーメンでしたが、麺を見ると粒状のなにかが入っているのが見えます.これがまたたびなのでしょうか.食感としてはちょっとざらっとした印象もあって、蕎麦っぽい雰囲気も感じられました.またたび蕎麦なんかも作ってみたら面白いのではないかと思いました.
 食後に特産品売り場でこの辺りの名物である「バター餅」を買ったのですが、これがものすごく美味しかったです.マタギの保存食として生まれたということ、餅にバターなどを混ぜていることからもカロリーは凄そうですが、美味しいものが高カロリーなのは仕方のないことなのです.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 予定より早く弘前に到着しましたので、ホテルにチェックインする前に弘前城近くにある藤田記念庭園の敷地内にある大正浪漫喫茶室に立ち寄りました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 営業終了が17時で、到着したのが16時少し前なのでそろそろお客さんが減ってもいいくらいの時刻ですが、庭園の眺められる窓際の席は満席だったため少し待たされました.その間に建物内をじっくり見ることができました.

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 ここの特色はなんといっても、弘前のさまざまな店舗が作っているアップルパイから好きなものを選んでティーセットにできることです.さすがはりんごの街です.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 大正浪漫喫茶室を訪れたのはこれが2回目なのですが、前回は「ないすらいふ」のアップルパイを選んだので今回は「タムラファーム」のアップルパイを選びました.温められてサクサクのパイ生地と甘酸っぱい紅玉、そしてアールグレイティーが運転疲れした身に滲みました.
 そして庭園から差し込む夕陽がいいアクセントになっていい写真が撮れました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 夕飯はホテル近くの郷土料理店でいただくつもりだったのですが、臨時休業とのことであてが外れてしまいました.
 さてどうしようかと、とりあえず弘前城のほうにでも行ってみるかと歩いている途中に、そういえば候補として煮干しラーメンの店があったなと思い地図を見るとすぐそばでした.が、行ってみると廃墟然とした建物.でも建物名はあっているしな…… と思い見ると明かりが見えます.入ってみることにしました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 建物の外観は廃墟めいていますが、中は案外?きちんとしていました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Z-Mount

 いくつかメニューがあって迷うところですが、ここは看板らしき煮干番長スペシャルを.
 煮干ラーメンは好みが分かれるところですが自分は好きですね.ただメニューにしている店が少ないのでなかなか食べられないのが残念ですが.美味しくいただきました.
 それはそうと、昼に続いて夜もラーメンになってしまいました.前日に宿泊した山形市もラーメンが有名ですし、前日昼ももしかしたら喜多方ラーメンだったかもしれなく、さらにその前の日も佐野ラーメンを食べていますし、北関東から東北方面の食事は気を抜くとラーメンばかりになってしまいそうです.

 つづきます.

2024/08/11

わたらせ渓谷鐵道

Category: 旅行・観光 — Annexia @ 21:44

 7月の3連休、とくに予定もなかったのでちょっと出かけてみるかと思い、「わ鐡」ことわたらせ渓谷鐵道に乗りに出かけてきました.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 都内から栃木・群馬方面へのアクセスといえばやはり東武.都内西部から浅草はアクセスはややしづらいので、途中駅の北千住からのほうが楽ではあるのですが、旅行に出るときはできるだけ始発駅から乗車したいもの.というわけで銀座線に乗って浅草にやってきました.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 浅草駅の名物?といえばこの先端部の細く曲がったホーム.川や道路に阻まれてこれ以上の拡張が難しそうなので、ターミナル駅ながらどことなく肩身の狭い印象の駅です.
 日光・鬼怒川方面にはスペーシアXや従来のスペーシア、さらにリバティといった東武の看板列車といえる車両が投入されていますが、群馬方面に向かう列車は一部リバティも投入されているものの、年季の入った200系車両(製造から約30年経過、種車としては60年以上経過)が主力となっています.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 車内もクラシックな雰囲気を感じます.
 ちなみに6両編成に3ヶ所あるトイレのうち、バリアフリー対応の1つを除く2つは和式便座だそうで.そうしたところにも時代を感じます.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 東武からわ鐡にアクセスするにはいくつか方法があり、いちばん簡単なのは相老駅での乗り換え.
 ですが今回は時間の制約もないので「りょうもう」号で終点の赤城駅まで向かい、上毛電鉄に乗り換えます.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 赤城駅は東武と上毛電鉄の共用駅ですが、上毛電鉄は交通系ICカードには対応しないので、いったん下車し切符を購入します.
 この車両、京王井の頭線からやってきた車両ですね.サイズ的に地方ローカル線では人気らしく、岳南電車とか北陸鉄道とか松本電鉄で自分も乗ったことがあります.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 終点の西桐生駅から5分ほど歩いたところにJR両毛線とわ鐡の共用駅の桐生駅があります.わ鐡はもともと国鉄足尾線→JR足尾線だったのでホームも共用になっています.
 JRと共通の自販機で一日乗車券が買えるので、今回はそれを購入しました.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 ホームに上がってしばらくしたら1両の列車がやってきました.
 チョコレートブラウンのような塗色ですが、「紅銅色(べにあかがねいろ)」と呼ばれるもので、車両のヘッドマークも「あかがね III」と入っています.紅銅色なのは、足尾線のルーツが銅鉱山の貨物鉄道だったためでしょうか.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 側面にはウサギのレリーフが.JRからわ鐡になった当時に導入された車両は富士重工業製で、当時富士重工の社員だったパラダイス山元氏がデザインされたとのことで、このカラーリングやウサギ(そのほかにもさまざまな動物をデザインされています)は氏のデザインを受け継いだものだそうです.鉄道マニアに好まれるカラーリングをした、とのことだそうですが、確かにこの色いいですね.
 この車両は1993年に導入された車両で、わ鐡の中でも古いもの.そのせいか空調の効きもいまひとつで、発車後に暑い場合は窓を開けるか備え付けのうちわを使ってください、とのアナウンスがありました.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 50分ほどで神戸(ごうど)駅に到着.この駅は列車交換が可能なこともあって比較的長めに停車するのに加えて、普通乗車券でも途中下車可能であったり、駅構内に売店があったり併設のレストランで食事や駅弁購入もできるので、列車から降りてくる方も多く、賑わっていました.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 個人的にはこうして改札(できれば自動改札ではないもの)から向こうに鉄道車両が見られる光景が好きですね.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 列車交換可能なこともあって駅構内には構内踏切と屋根のない跨線橋があり、跨線橋からの眺めがまた格別です.
 山あいのローカル線の駅、としてなんだか鉄道模型のジオラマっぽいなと感じました.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 上り方面のホームの向こうに鉄道車両が見えます.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 これはかつての東武デラックスロマンスカー車両を流用したレストラン「清流」です.
 ちょうど昼頃に到着しましたので、こちらでお昼をいただくことにしました.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 いただいたのは舞茸ご飯定食.舞茸とナスの天ぷら、それにキノコ炊き込みご飯、そしてうどんがセットになったものです.
 車内は食事用にテーブルが設置されているものの、それ以外はシート含めて当時の車両そのままです.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 1時間40分後、次の下り車両(手前側の車両)に乗車します.これも桐生駅から乗車したのと同時期に導入された車両で「わたらせII」と愛称が付けられています.反対側には神戸駅まで乗車してきた「あかがねIII」が上りとしてやってきました.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 神戸駅からさらに標高が上がり、途中に5km以上あるトンネルを抜け、しばらく進むと鉱山の痕跡とおぼしき建築物が見えてきました.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 通洞駅で下車します.「通洞」の名が示すように、ここから少し歩いた先に鉱山の入り口があり、観光地として整備されています.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 足尾銅山観光の入り口です.どことなく昭和の観光地といった雰囲気が漂ってきていますが、開業が1980年(昭和55年)なのでそれなりに歴史のある観光地です.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 入坑用のトロッコ列車です.15分間隔で運行されており、これに乗って鉱山に入っていくというレアな体験をすることができます.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 幸か不幸か前の列車が出たばかりということもあって、先頭に座ることができました.
 乗車口から入坑口まではそこそこの高さを下る必要があり、途中まではアプト式で機関車が牽引し、鉱山に入る手前の平地になったところで機関車を切り離してバッテリで動く客車(電車?)で入稿します.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 この日は35度くらいはあったであろう、暑い日でしたが入坑した途端にひやっとした空気に包まれます.
 薄いぐらい鉱山をトロッコで進むのは非日常的な体験で素晴らしいのですが、残念ながら距離的には100mくらいでしょうか、進んだところで終点になります.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 レール自体は先まで伸びてはいるのですが、柵で塞がれています.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 「この先、1200キロ以上の坑道が続きます。」の案内が示すように薄暗い先にレールが伸びていっています.1,200kmといえば新幹線で言うと東京駅から熊本駅の先、新八代駅までの距離と同等です.つまり、自分が立っているこの下に網の目のように坑道が張り巡らされているということなのでしょう.
 施錠された扉の向こうにうっすらとレールが伸びている光景はホラー映画の一場面のようにも見えます.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 坑道の中は江戸時代からの鉱山の歴史を学べるようになっており、時代が進むにつれて坑道の支えや工具などの進化を見ることができます.
 この日は晴天だったにもかかわらず坑内は非常に湿度が高く、床はすべて濡れており、天井からは水が滴っている状況でした.撮影しながらもカメラに水滴がついたりしないかと注意を払う必要がありました.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 天井から滴るものがただの水であればまだいいのですが、要注意なのは水滴にも銅の成分が含まれる硫酸銅で有毒です.
 鉱脈を通った水からも銅の成分を取り出したとの説明があり、そこにも「この水を飲んだり触ったりしないで下さい」と書かれていました.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 鉱内にある説明板も染み出した水に浸食されて変色してしまい、部分的に読めなくなっていました.
 屋外にもかつて使用されていた車両が展示されていたり、銅銭など貨幣の歴史をまとめた資料館がありました.
 そして、昭和時代の観光地のお約束とでもういうか、建物から出る前に土産物店を通るのですが、まるで時間が止まっているかのような昭和感に満ちあふれていました.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 次の便が来るまで1時間半くらい時間があったので、通洞駅から足尾駅まで歩いて移動しました.
 通道駅から足尾駅までは店舗や住宅が連なっており、かつて鉱山で栄えた面影は残ってはいるのですが、住宅の多くが廃屋になってしまっているなど、やや寂しい雰囲気もありました.
 足尾駅は街の中心にあった駅らしく、駅構内も広く立派な作りでした.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 以前は貨物の積み下ろしなどをしていたのでしょうか、駅舎の手前の方にまでレールが伸びており、そこにはかつて使用されていたであろう機関車や貨車が置かれていました.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 駅舎横にも荷捌きをするような建物があり、そこには国鉄時代から活躍していた、キハ30が置かれていました.
 外観はかなり錆が進行しており、中は荷物置き場として使われているようでした.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 帰りの桐生行き車両は最新のWKT-522「こうしん」でした.
 3連休初日とはいえ、薄暗くなってきた時間帯なので乗客もまばらでした.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 外もやや涼しくなってきたタイミングで空調の効く車両がやってくるというのも皮肉なものですが、快適に過ごすことができました.

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

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Nikon Zf + Voigtlander COLOR-SKOPAR 25mm F4 VM

 帰りが遅くなったので、行きと同じルートで帰ろうかとも思ったのですが、登利平の鳥めしが食べたいなと思ったので、やや遠回りですが高崎に寄って駅ビルで弁当を買い、湘南新宿ラインのグリーン車で食べて帰りました.
 初めて行く場所で下調べもそれほどしていなかったこともあり、あとあとから気になったものを調べ直してみると寄ればよかったと思うような場所がいくつも出てきました.時期を見て再訪したいところです.