2019/12/16

FUJIFILM X-Pro3(その1)

Category: カメラ・写真,物欲 — Annexia @ 22:31

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FUJIFILM X100F

 富士フイルムのX-Pro3を購入しました.
 X-Proシリーズを購入するのは、前作のX-Pro2に引き続いて2機種目です.
 今回のX-Pro3、後述しますが賛否両論のあるモデルです.新型でこのように評価が人によって分かれるのは珍しいことのような気もしますが、それだけ特徴のはっきりした機種であるともいえます.

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FUJIFILM X100F

 正面から見ると、X-Pro1やX-Pro2といった従来のモデルと比べてもほとんど違いがありません.また型番などを示す文字表記がないのでパッと見た限りでは機種の見分けもつかないほどです.
 ボディカラーについて.X-Pro2のときは当初ブラックのみが発売され、途中で限定モデルとしてグラファイトエディションが発売されました.X-Pro3はブラックのほかにデュラテクトブラックとデュラテクトシルバーの3色が発売されます.「デュラテクト」と名前がつくモデルは天板と底面のチタン製パーツのコーティングが強化されており傷がつきにくくなっています.3色とも見てから購入機種を判断しようと思っていたのですが、やはりX-Proシリーズはブラックだろうという思いと、ボタンやダイヤル内部のパーツ類がブラックを基準に色決めされているように感じられたので、現物を見ずにブラックで予約を入れて購入しました.

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FUJIFILM X100F

 上面.X-Pro3になって批判を受けている部分その1.前述したように天板と底板がチタン製になったのですが、チタンの加工精度の問題から若干の歪みや光の加減によっては塗装が波打っているようにも見えます.自分のモデルもシャッター速度ダイヤルと露出補正ダイヤルの間のあたりに塗装の波打ちを見ることができますが、実際に使ってみるとそれほど気になりません.購入するまではどうなのかなと思っていたのですが機能上の問題でもないですし、大した問題ではありません.
 また、チタンの加工精度の難しさからくる問題としてもう一つ、X-Pro2までは型番の表記が刻印に白の墨流しをしていたものがX-Pro3ではプリントのようなものになっています.X-Pro2に比べるとちょっと高級感にかける部分でもあり、こちらは残念だなと思いました.
 操作系は上面に関しては従来とまったく変わるところはありません.
 サムレストはレンズメイトのX-Pro2用のものを使っていますが、メーカーからもX-Pro2用のものをX-Pro3に使った場合に干渉などのリスクがある旨の案内が出ていますので、あまり推奨されない感じです.自分の場合にはとくに干渉しているようにも見えないのですが、X-Pro3用が出たら差し替えようかなとは思っています.

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FUJIFILM X100F
(ファインダ部分のみぼかし加工)

 背面.X-Pro3になって批判を受けている部分その2.デジタルカメラのアイデンティティともいえるモニタが隠されています.必要な機能なのにわざわざ隠して不便にしなくてもいいのに…… という批判が多く、自分も購入まではこれはどうなのかなと思っていました.富士フイルムの開発者の弁としては、いちいち撮影するたびにモニタを確認するのは撮影に集中できていないのではないかという考えがあって、隠すことにしたようです.
 ではモニタを格納した代わりになにを装備したかといえば、真四角のメモリ液晶を搭載し、使用しているフィルムシミュレーションを模したイラストが表示されます.かつて、フィルムカメラで撮影していた時には使っているフィルムがなにであるかを覚えておくかわりにフィルムのパッケージの切れ端を差し込んでおくポケットがありました.それを再現したものだそうです.自分もフィルムカメラの時代から写真を撮っていますが、自分がカメラを触るようになった頃にはこの風習は途絶えていた(かわりに日付を写し込むデートバック機能がここに付いていたのと、フィルム確認窓があった)ので、懐かしさのようなものはとくに感じないですね.いちおう、ISO感度やホワイトバランスの表示もしていますが、おまけ的な機能の域を出ていないような感じではあります.
 フィルムシミュレーション表示ではなく、シャッター速度などの情報を表示させることもできるのですが、富士フイルムのカメラは大半の操作をダイヤルで行うためにわざわざモニタで確認しなくてもダイヤルで一目瞭然なのでそちらも必要性があるかどうか、という感じではあります.

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FUJIFILM X100F

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FUJIFILM X100F

 とはいえ、こうしてフィルムシミュレーションに応じて表示が切り替わるギミックはなかなか楽しいものがあります.こうしたお遊びができるのも、フィルムメーカーならではではないでしょうか.

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FUJIFILM X100F
(ファインダ部分のみぼかし加工)

 液晶モニタを開いたところ.ヒンジの自由度はさして高くなく、下面に開くのみです.もちろん開いた状態でライブビュー撮影は可能です.ローアングルでの撮影には重宝しますね.
 X-Pro3になって批判を受けている部分その3として、モニタ横にあった十字キーが廃止されています.そのため、十字キーに割り当てられていた機能の割り当てができなくなりました.解決策として、タッチ操作可能になったモニタで左右のフリックで機能を割り当てることができるのですが、ふだん隠されている液晶に機能を割り当てられるといわれても、その都度蓋を開けて操作するのも現実的ではない気がします.
 自分の場合は設定を切り替えることが多いのは、「プリセットの切り替え」「ホワイトバランス」「アスペクト比」「フィルムシミュレーション」それからピント確認用に画面の拡大なので、それぞれ別のボタンに割り振ることで解決しています.

 さらにX-Pro3になって批判を受けている部分その4.X-Pro系のファインダは光学ファインダ(OVF)と電子ビューファインダ(EVF)を切り替えることができるようになっているのですが、拡大レンズを使って表示可能な領域を広げていたOVFが拡大レンズを廃止し(そのかわりクリアで見やすくなったといわれています)、広角側は23mmからしか対応しなくなってしまいました.これはちょっと困りもので、従来どおり16mmから対応してもらいたかったところです.スナップ用途で使うことの多いカメラなので、せめて35mm換算で約28mm相当の18mmからは対応してほしかったのですが.なんでもX-Pro系のユーザにアンケートをとったところ、かなりの率でEVFメインで使っているとの回答があったとかで今回はEVFの性能を拡充させてOVFは二の次という扱いになったそうです.自分はOVFメインで撮影しOVFのファインダ枠が見づらいときや厳密なフレーミングをしたいときだけEVFを使っていたのですが、そういう使い方は少数派だったようです.
 結果として、EVFメインで使うようになったのですが、フレーム外のものが見えないことでシャッターを切ると意図しないものが入り込んでしまうなど問題が生じています.
 なお、OVFを犠牲にして性能アップされたEVFですが、X-Pro3からは有機ELになり解像度も上がるなど確かに性能アップされています.
 ファインダ周りでよくなった点がもう一つ.視度補正ダイヤルがやや奥に引っ込んだので不用意に回ってしまうことが現状なくなりました.X-Pro2のときは服などと当たって視度補正ダイヤルが回転してしまい、ファインダを覗くとぼやけているということがありましたが、これからはなくなりそうです.

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FUJIFILM X100F

 底面.うっすらと「TITANIUM」の表記が見て取れます.また、従来のX-Proシリーズ同様に「MADE IN JAPAN」の表記があります.X-Pro2までは背面に白文字で書かれていて、わざわざこんなアピールしなくてもいいのにと思っていたのですが、ようやくこのような表示になりました.また、X-Pro2までは型番などのラベルがバッテリ蓋部分にあって目立っていたのですがそれがなくなりすっきりとした印象です.
 バッテリは従来と同じNP-W126S.マイナーチェンジ前のNP-W126も使えますが、電源を入れるたびにバッテリ寿命が短くなるから126Sを使うようにというメッセージが出てちょっと煩わしいですね.バッテリ寿命が短いのは承知の上で普通に使わせてくれればいいのですが.

 その他のハード面の特徴としては、
・センサーの強化と画素数のわずかなアップ
・デュアルスロット(X-Pro2ではスロット1のみUHS-II対応だったのが両方とも対応になった)
・インターフェイスの刷新(USB-C対応、HDMI端子は省略)
といったところでしょうか.HDMI端子が省略されたのもちょっと批判されていますが、USB-C端子から変換してHDMIにいけたりしないのでしょうか.
 もう一つ、ハード面の特徴といっていいのかわかりませんが、本体充電ができるようになったためか充電器が付属していません.まがりなりにもメーカーとしてフラッグシップ扱いとなっているモデルなのですから、そのようなところでケチらないでほしいものです.X100F用のものが使えるのでそれを使っていますが、おそらくこの調子ではX100Fの後継が出たら充電器は付属しなさそうな気がします.