2023/06/08

RICOH GR III Diary Edition

Category: カメラ・写真,物欲 — Annexia @ 20:35

 3年ぶりくらいにカメラを購入しました.購入したのはRICOH GR IIIの特別色モデル、Diary Editionです.

 GRシリーズは2009年にGR DIGITAL IIを購入し、その後もGR DIGITAL III、GR DIGITAL IV、APS-CになったGRと代々使い続けていました.
 が、GRからGR IIになったときに、Wi-Fiが搭載された程度のマイナーチェンジのみで期待していたような機能アップではなく、わざわざ買い換えるほどではないな…… と思っていたタイミングで富士フイルムから対抗機種ともいえるX70が登場したので乗り換えて、GRは下取りに出して手放してしまいました.
 その後、2019年にGR IIIが登場し、店頭で触ったところGRよりも小型軽量化されキビキビとした動きに魅了され「これは買いだな」と思いながらも引き続きX70を使い続けていました.しかし、X70も購入から7年が経過して精密機器かつ電化製品を使い続けることにやや不安もあり、値段がつくうちに売ってしまおうか…… と思い始めた矢先にGR III Diary Editionが発表されたので、乗り換えることにしたというわけです.
 GR IIIは自分が買ったタイミングで登場からすでに4年が経過しており、一般的なデジカメであれば新型が出てもおかしくない頃ではありますが、焦点距離の異なるレンズを搭載したバリエーションモデルとして2021年にGR IIIxが登場しているので、これはまだしばらくは新型登場しないだろうという判断をし、購入に至りました.

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Apple iPhone 13mini

 GR III Diary Editionは当初、ケースやストラップがセットになった限定モデルが出たのですが、直販や一部の通販サイトのみの販売で下取り交換はできないこともあって(セットのケースやストラップに魅力を感じなかったというのもありましたが)見送り、本体のみの通常販売モデルが出てから予約を入れて購入しました.
 上にも書いたように富士フイルム X70を下取りに出しての購入でしたが、驚きだったのはX70の下取り価格.7年前に87,000円くらいで購入した製品だというのに、下取り額が7万円くらいでした.後継機種が出ていないということに加えて、販売期間が短く、しかも発売時は人気機種とは言い難い製品だったので製造台数がかなり少なかったことによる希少性、さらに富士フイルムの現行機も中古品も全体的に品薄が続いているためだと思われますが、それにしてもずいぶんと高値で下取りされたものだと思いました.おかげで6万円弱の出費で購入することができました.

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Apple iPhone 13mini

 本体以外に購入したものたち.
 ケース(非純正)、バッテリ、充電器、SDメモリカード、液晶保護ガラス、リングキャップ(純正、非純正)、フィンガーストラップ(ユリシーズ minimo)、外付けファインダとバッテリ用ケースなど.

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Apple iPhone 13mini

 GRといえばボディカラーはブラックのイメージが強いですが、Diary Editionはメタリックグレーの本体色にダークブラウンのグリップで、ややソフトなイメージがします.塗装の違いから手にした時の感触も通常のブラックに比べて滑らかな感触をしています.

 GR III Diary Edition標準のリングキャップは明るめのシルバーなのですが、明るすぎて違和感を感じたので本体色に近いメタリックグレーのリングキャップを純正/非純正とも購入し、純正のプラスティック製よりも質感の良さを感じたアルミ製と思われる非純正のリングキャップを使用することにしました.
 外付けファインダは以前に購入して保管しておいた純正品のGV-2を引っ張り出してきて使用.ニコン銘(製造はおそらくコシナ)の丸型の28mm外付けファインダも持っているのですが、そちらはGR IIIのサイズには大きすぎるうえに重量もあるので純正品のほうがしっくりきました.とはいえ普段使い時には携帯性を重視して使用していません.

 また、小型化の影響としてGR IIIからフラッシュが非搭載となっています.
 個人的にフラッシュはほぼ使っていなかったこと、持ち運び中になにかの拍子にレバーが押されてフラッシュがポップアップしてしまい、破損のリスクがあることを考えるとないほうがいいかなと思っています.

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Apple iPhone 13mini

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Apple iPhone 13mini

 自分が使っているX-Pro3やX100V、それに入れ替えまで使っていたX70はモードダイヤルがなく、シャッターダイヤルや絞りリングを備えたアナログライクな操作系なので、GR IIIの操作に馴染めるかやや不安でしたが、多少スイッチ類が変わったとはいえ、以前に使っていたGRとほぼ同等の操作系ということもあって比較的すぐに馴染めました.
 GRまでの機種とGR IIIの操作系で最大の違いは、右上に配置されていた露出補正用の上下のシーソースイッチがなくなり、背面上部のADJ.ダイヤルで兼用することになったところでしょうか.ほかにもタッチパネルの搭載や十字ボタン周囲のコントロールダイヤルの採用が大きな違いです.また上面のモードダイヤルの項目もフルオートのグリーンモードや動画モードなどがなくなり、すっきりと整理されています.どちらのモードもGRの頃は使った記憶がないので個人的には歓迎です.

 富士のカメラの場合、前述したようにモードダイヤルが存在しなく、シャッターダイヤルをオート、絞りリングを手動設定すれば絞り優先オート、逆に絞りをオートにしてシャッターダイヤルを手動設定すればシャッター速度優先オート、両方ともオートにすればプログラムオートと、電源を切っていてもわかる操作系になっているのが特徴です(X-Sシリーズなどモードダイヤル搭載機もありますが).この操作系は個人的に気に入っているのですが、その反面弱点もあり、ダイヤル切り替えで操作するようなものをプリセットとして登録しておくことができません.なので例えば絞り優先オートの撮影設定を登録しておきたいと思ってもハードウェアの設定位置とずれが起きてしまうため登録できないわけです.そうした経緯もあって富士のカメラの場合は画質設定のみを登録しておくことができるようになっています.
 それに対してGRシリーズの場合は絞り優先オートで絞り値を指定し、イメージコントロール(画質設定)のパラメータをセットし、露出補正まで変更した状態のものまですべて登録しておくことができます.撮影スタイルがある程度固まっているような場合、かつ複数の設定を瞬時に使い分けたいような場合には重宝する方式です.
 富士のカメラのような方式がいいか、それともGRのようにすべてをセットとして登録しておく方式がいいかというのは好みの問題でもあり、どちらがいいといった優劣を簡単につけられるようなものではないですが、GRシリーズがこのような設定方法を採用しているのは、GRというカメラが速射性を重視したスナップメインのカメラという設定方針によるところが大きいような気がします.また、右手ですべての操作ができるというのも速射性を重視したスナップカメラとして重要なポイントだと思われます.

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Apple iPhone 13mini

 GRシリーズの伝統として、上部左右と左下の3カ所にストラップホールがあります.これにより縦吊りもできるようになっていますので、ストラップ(ユリシーズ クラシコ・セルペンテ)を購入してみました.普段使いはフィンガーストラップ、旅行のときには縦吊りネックストラップというような感じで使い分けしたいと思います.

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RICOH GR III
F5.6 1/125秒 ISO200

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RICOH GR III
F5.6 1/1000秒 ISO200

 画質について.
 GR IIIにはイメージコントロールと呼ばれる画質モードが用意されており、その中で自分がよく使うのは「ポジフィルム調」です.
 基本的にはJPEGのみで撮影し、ホワイトバランスなどあとで調整する必要がありそうな時だけ、背面のFnボタンにRAW+JPEG撮影に切り替える機能を割り当てておきすぐにRAW撮影できるようにしています.
 ポジフィルム調での撮影セッティングは次のような感じです.

・イメージコントロール:ポジフィルム調
・彩度:3
・色相:2
・キー:-1
・コントラスト:2
・コントラスト(明部):2
・コントラスト(暗部):-3
・シャープネス:1
・シェーディング:0
・明瞭度:2
・周辺光量補正:オン
・ダイナミックレンジ ハイライト補正:オン
・ダイナミックレンジ シャドー補正:弱
・ファイトバランス:マルチパターンオートM2/A3
・絞りF2.8
・露出補正:0

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RICOH GR III
F5.6 1/200秒 ISO200

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RICOH GR III
F2.8 1/8秒 ISO200

 ポジフィルム調のセッティングが派手目に振ったものなので、その対極をなすセッティングとしてネガフィルム調をベースに設定したのがこちら.ポジ/ネガのどちらかをモードダイヤルのU1にセットしています.

・イメージコントロール:ネガフィルム調
・彩度:2
・色相:-2
・キー:1
・コントラスト:2
・コントラスト(明部):0
・コントラスト(暗部):3
・シャープネス:1
・シェーディング:0
・明瞭度:2
・周辺光量補正:オン
・ダイナミックレンジ ハイライト補正:オン
・ダイナミックレンジ シャドー補正:弱
・ファイトバランス:マルチパターンオートM2/A3
・絞りF2.8
・露出補正:0

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RICOH GR III
F2.8 1/8秒 ISO200

 普段使いするカメラとしてやはり多いのが食事の撮影.
 食べ物専用に撮影モードをセッティングしています.
 シャープめのセッティングかつ卵のふんわり感を出してみたくてF2.8解放で撮影しました.

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RICOH GR III
F4 1/8秒 ISO400

 初期値でF4まで絞っていますが、丼ものなんかを寄って撮影すると前後のボケが強めに出ますね.
 ホワイトバランスはオートで暖色系に振ったりはしていませんがなかなか美味しそうな色合いが出てきます.

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RICOH GR III
F4 1/8秒 ISO640

 バニラアイスクリームにエスプレッソをかけたアフォガート.
 この手の被写体はピントが迷うかなと思いましたが案外すんなりと合焦します.

・イメージコントロール:スタンダード
・彩度:2
・色相:-2
・キー:1
・コントラスト:2
・コントラスト(明部):0
・コントラスト(暗部):0
・シャープネス:3
・シェーディング:0
・明瞭度:3
・周辺光量補正:オン
・ダイナミックレンジ ハイライト補正:オート
・ダイナミックレンジ シャドー補正:オフ
・ファイトバランス:マルチパターンオート
・絞りF4
・露出補正:+0.7

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RICOH GR III
F2.8 1/1250秒 ISO200

 モノクローム撮影セッティング.光の明暗がはっきりしている時や、フレーム内に余計な色合いがあるような場合にはモノクローム撮影をしています.
 この時は岩のゴツゴツした感触を強調しつつ、波の動きを止めるために絞り開放で撮影しました.

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RICOH GR III
F2.8 1/1000秒 ISO200

 波打ち際の岩場を迂回するためのトンネル.トンネルを覆うようにして生い茂った樹木が荒れ果てた雰囲気と人工的な施設の組み合わせで廃墟や世紀末感が出ていると感じ、モノクロとネガフィルム調で撮影しましたがモノクロの方が好みでした.

・イメージコントロール:モノトーン
・キー:3
・コントラスト:3
・コントラスト(明部):-4
・コントラスト(暗部):-4
・シャープネス:1
・調色:オフ
・フィルタ効果:2
・シェーディング:-1
・明瞭度:2
・粒状感:3
・周辺光量補正:オフ
・ダイナミックレンジ ハイライト補正:オン
・ダイナミックレンジ シャドー補正:弱
・ファイトバランス:マルチパターンオート
・露出補正:-0.7

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RICOH GR III
F4 1/8秒 ISO800

 通常の撮影モードでも10cmまで寄れますが、マクロモードに切り替えるとレンズ前6cmまで寄れるようになります.
 個人的にはマクロモードに切り替えて使うよりも自動で6cmまでピントを合わせてくれるほうが使い勝手がいいのにと感じました.
 また、マクロ領域で特に気になる問題としてブリージング(ピントを合わせるとフレーム領域が変化してしまう問題)があります.なのでフレーミングしてからピントを合わせるとフレームが変化してしまい、再フレーミングが必要となるのが地味に厄介です.

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RICOH GR III
F5.6 1/8秒 ISO200

 こうした構図で撮影すると湾曲が気になったりするものですが、ほとんど気にならないレベルですね.
 また、フルフレーム換算28mm相当とはいえ、実際には18.3mmのレンズなのでパースのつきかたに超広角レンズらしさを感じます.

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RICOH GR III
F2.8 1/15秒 ISO200

 シャッター速度の下限とISO感度の上限を設定できるので、当初はシャッター速度を1/8秒まで粘らせ、ISO感度は12800に設定しました.その後、1/8秒だとマクロ域で手ブレになることがあったので1/15秒を下限に設定しました.マージンをとって1/15秒を下限に設定しましたが、1/8秒でもほぼ手ブレは防げているのでGR IIIの手ぶれ補正機能は優秀だと思いました.
 GR DIGITAL IVの時も手ぶれ補正機能は搭載されていましたが、自分との相性が悪いのかシャッターを切るタイミングでわずかにセンサーが動いてしまい、オフにしたほうがブレが少ない写真が撮れるのが困りものでした.それと比べるとペンタックスの手ぶれ補正技術「SR」が導入されたGR IIIは段違いに進化しており、水平が取れるようにセンサーが回転し自動補正してくれる機能まで搭載されているなど、使える機能は限界まで使うというのはペンタックス譲りだなと感じます.

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RICOH GR III
F2.8 1/1250秒 ISO200

 街中を歩いていて何の気なしに撮影した写真が案外よく撮れていたりすると嬉しいものですが、GR IIIは気軽に撮影する気にさせる敷居の低さと画質の良さがなんといっても魅力です.
 AFモードは中央部分のオートAFに設定してカメラ任せにし、明確にピントを合わせたい場合には画面タッチで位置指定するようにしています.オートAFは意図した部分にピントが合わない時も多々ありますが、スナップ撮影で中央エリアのどこかにとりあえずピントを合わせたい的な撮影には悪くないですね.

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RICOH GR III
F2.8 1/400秒 ISO200

 ピントの合焦している部分からすっと溶けるようにぼけていく描写は個人的にかなり好みです.

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Apple iPhone 13mini

 まとめです.
■いいところ
・コンパクトで軽量なボディは持ち運びに重宝
・画質がとてもいい、描写が好みのレンズ
・カスタマイズで好みの画質に設定できる
・モノクロームも粒状性の設定もできて好みの描写に設定できる
・特別色のメタリックグレーのボディカラーは個人的に好み
・コンパクトなのにしっかり効く手ぶれ補正
・操作系も含めたレスポンスの良さ

■いまいちなところ
・バッテリのもちがもう少し良くなってくれたらいいのに
・オートエリアAFのピント合焦位置が自分の意図しているところにあってくれたらいいのに
・マクロモードの切り替えが面倒なのでマクロモードまでシームレスに切り替わる設定がほしい
・RAW撮影した画像をUSERモードに登録したプリセットで現像処理できるようにしてほしい
・沈胴式レンズなので難しいとは思うけど、防塵防滴構造にしてほしい
・サイズ的に難しいのはわかるけどファインダが内蔵されていたらいいのに
・BluetoothやWi-Fiを使ったiPhoneやiPadとの接続がやや安定性に欠ける

 GRシリーズは使用者の声などによりファームウェアアップデートで機能が徐々に充実するのが売りの1つで、いうなれば使用者が「育てる」ともいえる側面を兼ね備えたカメラでもあります.前回購入のGRのときは発売と同時に購入し、徐々に機能アップしていく楽しさを感じていましたが、今回のGR IIIについては発売から4年が経過していることもあって逆に熟成された状態のものを使えるというのはありがたいものの、発売当時に買って機能アップを楽しむのもよかったかなとも思います.

 操作性も含めてほぼ満足しており、細かな不満はあれど小型軽量でしかも高画質ながら気軽に持ち運べるカメラとしては、ライバルはいないのかなと思います.最大のライバルはスマホではあるのですが、撮影する楽しさという点では比べるべくもないですし.

 コロナ禍もあって久々に買ったカメラではありますが、いいもの買った感があって満足しています.

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