遠野旅行、続きです.
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翌日、ホテルからの眺め.山々を覆うかのように雲が立ち込め、道路は濡れています.
まだこの段階では小雨レベルでしたが、昼くらいから本降りになるという予報でした.
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気になっていて見に行きたかったスポット、茅葺き屋根のバス停待合所.
遠野にはこうして一般の建物でも茅葺き屋根の建物があったりします.茅葺き屋根の技術や素材を残すという目的もあるようです.
田んぼの真ん中に茅葺き屋根の小屋があるところもあってそちらも見たかったのですが、悪天候なこともあって今回は見送りました.
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田んぼは借り入れの時期で晴れたいたら日差しに映える黄金色の稲穂を見ることができたのでしょうけど、この天候なので仕方ありません.
とはいえ、これはこれで風情があると思いました.
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続いて訪れたのは「遠野ふるさと村」.
古民家などを移築した施設で、遠野のかつての姿を残しています.
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遠野の古民家の特徴は、「曲がり家」と呼ばれる建物がL字型をした構造にあります.
この写真の左側が馬を飼う厩舎、右側が人が住む母屋となっています.
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いくつかの建物ではこうして実際に馬が飼われていました.
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内陸から釜石や宮古などに荷物を運ぶときに馬が利用されており、遠野の人たちはその運搬で稼いでいたそうです.
母屋からもこうして馬の姿を見ることができ、かつての遠野が馬を大事にしていたことを感じさせられます.
また現在もJRAなどによる「遠野 馬の里」という施設があり、馬市場として馬の競りも行われています.
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建物の中は自由に入れるようになっています.
かまどでは火が起こされています.これは煙で茅葺き屋根を燻して防虫対策をしているのだと以前に聞いたことがあります.
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奥座敷には「オシラサマ」が飾られていました.
オシラサマは、自分の娘と飼っていた馬が結ばれたことに怒った父親が馬を殺してしまい、泣く娘の前で馬の首を切り落としてしまったところ、その馬の首と一緒に娘が天に昇ってしまったという言い伝えの像です.なのでよく見ると左の夫の頭が馬になっています.
「遠野物語」にはこうした言い伝えがたくさん残されています.おそらくそうした民話のたぐいは昔はどの地域にもあったのではないかと思いますが、明治末期という絶妙な時期に口承にて記録されたことで遠野の街が民話の里として有名になったのだと思われます.
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見ているうちに雨はどんどん本降りになってきてしまいました.
平日の悪天候ということもあって、自分の他は観光客や海外から来たと思われる2人組以外はおらず、ほぼ貸切状態でした.
入り口で「全部見て回るにのに40分くらいかかります」という説明を受けたのですが、じっくり見て回っていたら2時間ほどが経過していました.
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午後になり、昼食を食べた後も相変わらず雨が降り続けているのでホテルの駐車場に車を停めて、ホテル横にある遠野市立博物館に.日本初の民俗専門博物館だそうです.
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展示内容は遠野の歴史や人々の生活、そしてやはり遠野物語の世界を中心に展示されています.
これは遊びに来ていた天狗の遺品とされるもの.現実と空想というか伝説的なものとの境界線ともいえるような展示というのは、見ていてあれこれ想像を掻き立てられます
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遠野の民家で祀られていたオシラサマやオシメサマなどと呼ばれるもの.
祭日には1枚服を着せるとか、火事になっても焼けずに残ったとか身体の悪いところを撫でると治るとか言い伝えがあれこれあるそうです.
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特別展「遠野物語と呪術」.
当初旅行の計画を立てていたときには開催は知らなかったのですが、ちょうど自分が滞在する期間が会期末期ということもあって、タイミングよく見ることができました.
呪術、といっても呪うものだけに限らず、玄関に貼るお札のようなものやおまじないなど多岐にわたる展示です.
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展示は撮影可能、ただし撮影することで『写り込んでしまった不可解な”何か”についての責任は、当館では一切負いません』とのこと.
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民家などに貼られた、魔除けのお札.
なんか西洋の悪魔っぽい雰囲気も感じられますが、これは鬼.高名なお坊さんが邪悪なものを祓うために自らが鬼となった姿を弟子に描かせたものなのだとか.
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いろいろなものが描かれたお札.
疫病よけ、作物を猪や鹿から守る、火事を防ぐなどいろいろ.こうしてみると、昔も今も怖いもの、忌避したいものは変わらないという感じがします.
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熊の掌.熊のお産は軽いことにあやかって、妊婦をこれでさすったり、削って飲むことで陣痛促進の効能を期待したのだとか.
これを削って飲むのはなかなか勇気がいるものだと思いました.
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呪術といえば真っ先に連想されるであろう、藁人形も展示されていました.
藁人形のように相手の髪などを入れて呪術を行うのは「感染呪術」と呼ばれるものの一種とされ、同様の手法として鹿の足跡に矢を射ることで鹿の動きを鈍くさせたりもするそうです.
相手を呪うだけでなく、人の形をした紙で人間の患部などを撫でることで、紙に災いを移して回復する、というような行為もあるのだとか.
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会場ではアンケートも行われていたのですが、そのアンケート回収箱がいかにもなアレでしたので、なんだかアンケートに答えないと災が降りかかりそうな気がして、自分も回答しておきました.
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この遠野市立博物館、遊び心があってこの呪術展に関連してなのかわかりませんが、展示会場とかとはまったく関係のない場所に唐突にこのようなものが貼られていたりします.自分は2ヶ所見つけましたが、もしかしたら他にもあるのかもしれません.
「遠野物語と呪術」の図録を購入して博物館をあとにしました.この図録、かなりの人気なようで博物館でも通販をやっているのですが売り切れてしまっては再販して、また売り切れて…… の繰り返しのようでした.自分が訪れたタイミングでは再販がなされて在庫があったので購入することができましたが、自分が見ている間にも2,3冊ほどが売れるほどの人気ぶりでした.数日後、会期終了後に通販が再開されましたが即座に完売となってしまい、これにて増刷もせず販売終了となったので購入できなかった人も多そうです.
つづきます.