2011/05/07

浜岡

Category: 社会・政治・世情一般 — Annexia @ 16:11

 昨晩のことですが、菅首相が「津波に対する安全確保ができていない」という理由で浜岡原発4,5号機の停止を中部電力に要請したというニュースが流れていました.

 日本国内には55基の原発がありますが、その中でも浜岡が特に危険視されるのは「いつきてもおかしくない」と見られている東海地震の存在です.この地域では100-150年周期で地震が発生しており、前回の地震からすでに157年が経過しています.政府の見積もりでは、これから先30年以内に発生確率は87%だそうです.

 原発を建てる前から地震の存在には気付いていたのではないかと思うのですが、それでも建てたかったのは、原発の発電コストの安さ(事故が起きたらとてつもなく高くつきますが)や設備投資にかかる費用は電気代に上乗せできるので収入も増えるという旨味が大きいのでしょうね.わざわざ地震や津波の被害が大きそうなところに建てなくてもと思いますが、中部電力のエリアは太平洋沿岸しか海に面していないので選択肢が限られていたのでしょう.

 今回の停止要請について、静岡県知事は「英断に敬意を表します」とコメントを発表している反面、地元の御前崎市長は苦言を呈すなど、反応が分かれています.
 地元が渋るのは原発従事者の地元雇用と交付金という二つの要素が大きいのでしょう.特に交付金は収入の少ない地方自治体にとっては喉から手が出るほどほしいものです.原発を建てるだけで毎年数十億円もらえるのだからたまりません.しかしながら、その交付金も原発が建てられてから20年たつともらえなくなってしまいます.毎年数十億円(20年で893億円にもなるそうです→Wikipedia)もの交付金をもらっていたのにいきなりゼロになってしまうのを避けるために、さらなる追加の原発建設を容認してしまいます.それが日本の原発が集中して立地する理由の一因です.
 なにもしなくてもお金が入ってくる、しかも雇用も生まれるということであれば他の産業が発達しなくなるのは当然です.そうやって原発のある自治体は原発なしではいられなくなる骨抜き状態にされてしまうわけです.

 それはさておき.
 一時的ながら止めるのは英断だと思いますが、そこから先のロードマップをどう描いているのかが見えないのが不安でもあります.津波対策をしたら再開を容認するのか、それとも原発に代わる代替エネルギーの開発を推進するのか、直近の問題としてこの夏の電力需要をどう回避するのか、そうした問題に対する明確なビジョンがイマイチはっきりと伝わってきません.「市民活動家」レベルの判断ではなく、きちんと「政治家」としての判断や行動をしてもらいたいものです.

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