「シャープ、PC生産から撤退、GALAPAGOS事業に注力」
このニュースがMacBook Airの発表/発売日と同じ日に流れたのも、なにかの皮肉めいたものがあるのかも知れないですね.シャープもかつてはMuramasaという薄型PCを出していたこともありますし、今はGALAPAGOSやIS03なんていう、iPadやiPhoneに真っ向から対抗するマシンを出しているので(いちおうは)競争関係にあるわけですし.
自分がコンピュータの世界に足を踏み入れたのは、中学時代の友人が所有していたシャープのX1でした.どういうわけか自分の周りにはX1シリーズを持っている友人が多く、X1 CS、turbo、turbo II、turbo IIIを使わせてもらっていました.まあ、中学校当時なので使うといってもしょせんはゲームが大半だったりするのですが.
自分が最初に買ってもらったコンピュータもシャープのポケットコンピュータ(通称ポケコン)であるところのPC-1350でした.ポケコンについては、後にPC-E500、PC-E550も買ってます.高校の入学祝いに買ってもらったのもシャープのX68000でした.シャープの製品ばかりでしたね.
シャープにはX1/X68000とは別にMZシリーズというコンピュータもありました.そもそもMZシリーズのほうが歴史が古く、「コンピュータ事業部」が作っていた製品なので(X1/X68000はテレビ事業部)、由緒あるシャープのコンピュータというのはMZシリーズのほうが本流といえるのかもしれません.
自分が大学生から社会人になるくらいのころに、日本にWindows(当時はVer.3.1)とともにDOS/Vマシンが参入してきました.それまでは「日本語処理」という言語の壁があって海外の安いPCは日本では使えなかったのですが、PCの性能が上がって日本語処理をソフトで全部処理できるようになったので「鎖国」状態だった日本のコンピュータ業界は一気に情勢が変化したのです.当時の最大手であったNECがTVCMまで打って、DOS/VマシンよりもPC-9801のほうが日本語のスクロールが速い(ビミョウなCMでしたけどね)なんてことを宣伝していたくらいで、本当に大転換期でした.
その当時のシャープのPCといえば、X68000もMZシリーズも終了状態でした.つまりこの時点でシャープオリジナルのコンピュータは終わっていたといえるのかもしれません.
Windows95がリリースされた後にシャープもWindowsマシンをリリースしましたが、せいぜい「液晶がきれい」とかいうくらいで、ほかにたいした特色のないマシンばかりでした.途中、Muramasaで気を吐いたりしましたが、もうひとつメジャーにはなりきれませんでした.
自分も中学・高校のころにあれだけ使っていたというのに、Windowsマシンとして購入の候補にあげたことは1度もなかったですね.他のかたが使っていたのをメンテナンスで触ったりしてもまったくいいと思わなかったですし、デバイスドライバのアップデートをしようと思ってシャープのWebを探してもドライバも情報もまったく上がってないことに対して、「ああ、やる気がないんだな」と思ったこともありました.
Windows PCというもの自体、インテルとマイクロソフトに基幹部分を握られて、他のパーツも台湾メーカーから買ってきて組み立てるだけの製品になってしまったので、シャープ独自のなにかというのを主張するのは難しいのでしょう.パナソニックのように自社でオリジナルのパーツを作り出せる能力や耐久性というような特色を持っていたり、ソニーのように中身はアレでも風変わりなデザインやブランドネームで一定の購買層があるようなところでもないと生き残りは難しいのかもしれません.