2024/11/24
RICOH GR III
世田谷文学館にて開催されている、『漫画家・森薫と入江亜季展』を観に行ってきました.
RICOH GR III
展示会場内はスマホのみ写真撮影可能、フラッシュと動画撮影はNGとのことで、シャッター音があちこちから聞こえていました.
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同時期にデビューし、編集者が同じで、同じ雑誌にて連載をしているという共通点を持つ2名の漫画家の作品(原画など)を公開する展示会です.
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デビュー前の同人誌から、現在も連載中の作品まで展示されており、見入ってしまいます.両者ともアナログで手描きにこだわっており、原稿作品からは熱量を感じさせられます.
読者として目にするものは、当然ながら出版されたりもしくは電子書籍などの「完成品」です.しかし、こうして印刷前の原稿を見ると、そこには墨のベタ塗りの微妙なムラや、光の輝きを表現するために部分的にホワイトが乗っていたり、スクリーントーンの削れなどを見てとることができ、なんていうか「完成品」として皿に盛り付ける前のフライパンで調理されている最中のような「生々しさ」が伝わってきます.
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『乙嫁語り』は現在も続く作品で、『エマ』と並んで大々的に展示されていました.
衣装や布類などディテールの描き込みの凄さが話題になったりもしますが、連載初期の頃の作品に対する本人コメントが「描き込みがあっさりしている」とあって、観ている側からすれば充分凄いのに…… と思いました.
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画材や作業環境も紹介されていました.当たり前の話ですが、同じものを揃えたところで同じものが描けるわけではないとはいえ、定規のひとつも同じものを買ってみようか、という気分になります.
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読者アンケートの原稿までありました.
以前に「感想を送りたいけど、このアンケートハガキを手放すのがつらい」とファンの方が言っているのを見かけたことがあり、こうした細々としたものでもファンとしては手元に置いておきたいよね、と感じました.
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Q&Aに「これまで一番作画に時間を要した、大変だった作中場面はどんなのがありますか?」という問いがあり、『グルン・バエラ』という作品が挙げられていました.横に実際の原稿が展示されていたのですが……
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なるほど.『描いても描いてもびっくりするほど進まない』と言われるだけのことはあります.
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合作も展示されていました.
『森薫 拾遺集』に収録されており、そのときの解説では「食べ物系は入江さん、動物や茶器は森、という分担」「試しにひとつだけ描いてみたケーキ(右端)があまりにもまずそうで自分にガッカリです」との解説でした.
Fellows!や青騎士はあまり読んでいないこともあり、またファンというほどのものでは自分はないのですが、それでも2時間ほどかけてじっくりと見入ってしまいました.
2024/11/10
大人の休日倶楽部パスで東北旅行、さらにつづきです.
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金田一温泉駅から列車に乗り、さらに北上します.
整備新幹線(盛岡以北の東北・北海道新幹線や北陸新幹線、九州新幹線)が敷設された地域は在来線が第3セクターになるため、その多くは県ごとに運営する会社が変わります.とはいえ、県境はえてして小さな駅だったりすることが多く、そこで列車を行き止まりにしても意味がないので相互運転を行なっています.
金田一温泉駅は岩手県と青森県の境に近い場所にあることもあって(次の目時駅がIGRいわて銀河鉄道と青い森鉄道の境界駅)、相互乗り入れしている青い森鉄道の車両がやってきました.
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八戸駅で列車を乗り継ぎ、野辺地駅までやってきました.ここが今回の旅行の極北となります.
ここにきた目的はこの防雪林.かつて新幹線がまだ盛岡までしか開通していなかった頃、東北本線で特急や急行に乗っていると、この辺りの車窓が高さのある木々に囲まれていて、まるで森の中を走行しているかのような雰囲気があってお気に入りの場所なのです..
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列車の本数が少ないのであまり時間に余裕はないのですが、散策の前にまずは駅構内の立ち食いそば(とはいっても座席が用意されていましたが)にてお昼を.
ここの名物『北前駅そば』です.ホタテ、地の野菜のかき揚げ、そして『けいらん』が入っています.『けいらん』とは鶏卵ではなく、この土地の名物であんこ入りの団子のことです.
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駅から少し離れた陸橋の上から撮影.旅客列車の本数はさほど多くないのですが、それよりも貨物列車の本数の方が多く感じました.やはり首都圏のみならず東名阪や福岡などと北海道を結ぶ重要路線なので貨物輸送量も多いのでしょう.
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再び八戸駅に向かい、そこから八戸線に乗り換えて鮫駅に向かいました.
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鮫駅とは変わった駅名ですが、駅前にはご丁寧にも鮫の像がありました.
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鮫駅から15分ほど歩いた先に蕪嶋神社があります.
蕪嶋神社を訪れるのはこれが2度目です.前回(6年前)のときは神社が全焼して再建中のため仮社殿でしたが、今回は再建された姿を見ることができました.
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蕪嶋神社はもともとは蕪島という島でしたが、埋め立てられて今は陸続きになっています.小高い丘のようなところに建っているあたりに島の名残を感じさせます.
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蕪嶋神社といえば有名なのがウミネコの繁殖地.ただシーズンは6月ごろとのことで、10月ではほとんど姿は見れませんでした.
その代わり…… というわけではないのでしょうけど、鳥居のしめ縄の上に神妙な面持ちで鳩がいました.周囲で話していた内容によると、いつもこの鳩はここにいるのだとか.
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この日は八戸市街に宿をとっていたので、本八戸駅で下車して市街地に向かいました.新幹線の駅である八戸は市街地から離れているうえに周囲にはほとんど店もないんですよね.なので、市街地に向かうには八戸駅から八戸線に乗って本八戸駅で下車するか、バスで八戸の市中心部(八戸線で本八戸駅下車よりもバスのほうが市の中心部に着くし本数も多い)に行く必要があります.
この日は土曜ということもあって、目星をつけていた店を何件か回るも予約なしでは入れないという状態でした.そんな中でもようやく入れる店を見つけたのでそちらで夕飯をいただきました.
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八戸に来たらやはり海産物、ということでまずは寿司のセットを注文しました.
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汁物としてせんべい汁が付いてくるところが嬉しいところです.
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嶽きみの天ぷら.10月なのでもうそろそろシーズン終了かなと思っていましたが、メニューにあったのでつい注文してしまいました.甘くて美味しいです.
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あと、やはり八戸ならイカは食べておきたいということでイカ刺しも注文しました.肝も付いててこちらも美味しかったです.
青森県の主要都市といえば、県庁所在地の青森市、そして弘前市が思い浮かびますが、八戸の市街地というか繁華街もかなりの賑わいぶりでした.訪れた日が土曜の夜ということを差し引いても街中に人があふれかえっていて、ホテルの部屋に戻っても比較的上階であるにも関わらず深夜近くになるまで車の走る音も含めて喧騒が伝わってきていました.
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翌日は八戸の市街地にあるバス停から八戸駅まで向かい、昼過ぎに東京に着く便で帰りました.
翌日が月曜で出社なのであまり無理もできませんし.
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八戸駅で購入した駅弁.イカと鯖を中心とした「三八弁当」です.一夜干し風に仕上げたイカにはワタを使ったタレをかけ、さらに甘辛く煮込んだイカの足としめ鯖という好みの分かれそうなメニューですが個人的には非常に気に入りました.
今回は『大人の休日倶楽部パス』を利用しての旅行でした.18,800円でJR東日本エリア全線といくつかの三セク鉄道が乗り放題、しかも新幹線と特急も乗り放題かつ6回まで指定席利用可能というのはなかなかの大盤振る舞いです.
しかしながら実際に使ってみると気になるところもありました.
・利用期間が1年に3回(今年はさらにプラス1回)と期間限定のため乗客が集中してローカル線などが混雑する
・6回まで新幹線・在来線特急の指定券が利用可能だが、そもそも特急列車が激減しており使い所が難しい
・特急列車が少ないからといって普通列車が多いわけでもないので、行程には苦労する
ただ、この切符を1枚持ってさえいれば支払いの手間なくいくらでも乗車できるというのはやはり楽でいいですね.
なまじ、元を取ろうとか乗れるだけ乗ってやろう的な貧乏くさい考えを持つとスケジュール的にも苦労するので、ある程度行き先とテーマを決めて、プラスアルファの自由移動を組むとか、もしくは5日間行けるので2つに分けて、3日間の東北旅行のあと、ちょっと長野や新潟に行く、みたいなパターンもいいのかもしれません.
行程と時間的余裕を考えつつ、また利用したいと思います.
2024/11/03
大人の休日倶楽部パスで東北旅行、つづきです.
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ホテルから駅に向かう途中、道路を横切るように線路がありました.
道路部分は完全にレールが埋められてしまっており、その先も柵があることからも廃線跡なのは明らかです.
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しかし反対側は綺麗に整備されています.
これは小坂製錬小坂線の廃線で、今はレールバイクを走らせるといったイベント用に活用されているようです.
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そのすぐ近くに、かつて渋谷駅前の広場に展示されていた東急5000系がいました.
どうやらハチ公のつながりで観光施設の「秋田犬の里」の敷地内に移設されたそうです.
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そして大館駅前には秋田犬の像があります.秋田犬の里という建物やこのような像があることからもわかるように、大館が秋田犬の産地なのだそうです.
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2日目.前日に引き続き、ローカル線の旅を続けます.
今日は花輪線に乗車し、まずは途中駅の鹿角花輪駅に向かいます.
昨日乗車した北上線も花輪線も、そしていまや秋田新幹線の一部となった田沢湖線も東北本線(現在の3セク部分を含む)から西に伸びる路線です.東北本線がまず最初に開通し、そこから内陸部に向かって路線が伸びていったことが想像されます.
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大館から乗車した列車が鹿角花輪行きで10時15分に到着し、次の列車がやってくるのが約1時間半後の11時47分.
1時間半ほどの時間がありましたが、この日は雨が降ったり止んだりのあいにくの天候で、しかも駅にはコインロッカーもないのでリュックを背負ったままでの移動となり、遠くまで行けるような状況でもないため、駅周辺から近くの商店街などをうろうろと散策していました.
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駅から坂を登った先に商店街があり、お昼にはやや早い時間ですが、11時の開店と同時に中華料理店「平和軒」に入店しました.
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メニューもいろいろあって目移りしてしまいましたが、ここはやはり店の名物としてワンタン麺をいただきました.
熱々のワンタンがたっぷりと入っており、美味しくいただきました.
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駅に戻ると発車時刻までまだ10分以上ありますがすでに列車は到着していました.車内はボックス席は埋まっているものの、ロングシートは空いていたので、座ることはできました.
1時間半ほど乗車し、東北本線から第3セクターであるIGRいわて銀河鉄道に移管された好摩駅にて八戸方面に向かう列車に乗り換えました.大人の休日倶楽部パスはJR東日本発行の切符ですが、IGRいわて銀河鉄道線も、その先の青い森鉄道線も乗車できます.
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IGRいわて銀河鉄道に1時間弱ほど乗車し、金田一温泉駅で下車しました.
昨日北上駅から内陸部に入り、途中宿泊を挟んでここまでやってきましたが、実は直線距離にするとそれほどでもなく、また新幹線に乗ると、北上駅から金田一温泉駅の先にある二戸駅までで40-50分ほどで到着してしまいます.まあ効率性を重視した旅ではないので、比較すること自体が意味のないことですが.
金田一温泉、ずっと「きんだいち」と濁るものだと思っていましたが、駅名表記を見ると「きんたいち」と濁らないんですよね.でも言語学者の金田一京助(きんだいちきょうすけ)ゆかりの地でもあるし…… と疑問に感じたのですが、その謎は宿についてから解決しました.
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金田一温泉は「座敷わらしの里」として知られています.
以前に訪れた遠野も河童などと並んで座敷わらし伝承の地ですが、東北のこの一帯にはそうした言い伝えが広がっているようです.
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駅からしばらく歩き、広めの道路(国道4号線)を渡った先に「金田一温泉」のゲートがあります.
これ、電飾のようなものが仕込まれているのですが夜間は光るのでしょうか.
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しかしながら、ゲートの先にも温泉宿らしき建物は見当たりません.
金田一温泉の宿があるエリアまではここからあと1kmほどあります.あらかじめ宿に連絡を入れておけば駅まで送迎していただけるかと思いますが、2km程度までの距離であれば散策と周囲の様子を見ながら歩いていくのが好きなので、宿に連絡も入れず(到着時刻は伝えてありますが)歩いて向かいました.
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金田一温泉は南部藩ゆかりの温泉で歴史のあるところですが、日帰り温泉やワーケーションを視野に入れた新しいタイプの建物もありました.
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この日の宿泊は「おぼない」にてお世話になりました.
チェックインが16時からで、30分ほど早く着いてしまいましたが入れていただき、旅疲れした体をさっそく温泉にて休ませることができました.
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温泉宿の楽しみといえば温泉はもちろんですが、食事も同じくらい楽しみでもあります.
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南部地鶏の水炊きです.
比内地鶏は歯ごたえのあるしっかりとした肉質であるのに対して、南部地鶏は水炊きで供されたこともあってか柔らかくて比内地鶏とはまた違う旨みがありました.
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ひっつみ汁です.ひっつみ汁は岩手県で食べられている、小麦粉を練ったものが入っています.少し前に弘前でせんべい汁をいただきましたが、それに近いながらも小麦粉を練ったものが柔らかくて全体的に優しい印象がありました.
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鮎の塩焼きです.やはりこうした地のものが出てくると嬉しいものです.
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金田一産のリンゴを絞って作ったリンゴジュースです.こういうものはあるとつい頼んでしまいますね.
ところで.金田一温泉の読みが「きんだいちおんせん」なのか「きんたいちおんせん」なのかの謎について.
宿の女将の話によると、元々は「きんだいちおんせん」と濁っていたそうです.が、この地に鉄道が敷設されるとき(明治末期)に、「きんだいち」と濁っていると田舎っぽくてイヤ、という理由から駅名が「きんたいち」になったそうです.
その後、やっぱり元々の呼び名である「きんだいち」に戻したいという流れになって、自治体だったか県に要望に行ったところ、「駅名だけでなく道路標識などあらゆるものを『きんだいち』に変更するのに数億円の費用がかかるので、そこにかける予算はない」ということで却下されたのだとか.なので、「きんだいちおんせん」と呼ぶようにしてくださいね、とのことでした.こういう名前の由来や変化という話はとても面白くて好きです.
ちなみに、明治末期に駅ができた当時は『温泉』はつかずに『金田一』駅だったのが、昭和末期の頃に『金田一温泉』に改称されたのですが、今回自分がここにやってきたのも旅行行程を考えている時に駅名を見て「ここに温泉あるのか」と知ったのが要因なので、駅名に『温泉』とつくだけでも大きな効果があるのではないかと思いました.
今回は一人旅で、旅館に泊まったのはこの日だけでしたが、12畳ほどもある広い部屋(しかも襖で区切られていましたが隣にももう一間ありました)で静かに過ごすのは特別感があってよかったですね.
座敷わらしの伝説のある温泉地とのことで、座敷わらしが出たか出ないかでいうと、出たといえば出た…… というような感じでしょうか.また室内にもやや不思議なあつらえもあったりするなど、詳しくは触れませんが興味深い宿ではありました.
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温泉宿に泊まったときの習慣として、6時くらいに起きてまずは朝風呂に入って、そのあと朝ごはんをいただきました.
旅館の王道ともいえるおかずラインナップです.前日に食べすぎたのと、朝食はあまり重たいものを普段から食べていないのでご飯のおかわりはしませんでしたが、宿の近くで取れたというお米はさすがの美味しさでした.
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昨日とは変わって朝からいい天気です.
列車の本数が少なくて8時9時台の便がなく10時半過ぎの列車に乗るため時間に余裕があるので、帰りも宿から歩いて駅に向かいました.宿の方からは送っていただけるとのお言葉をいただいたのですが、いい天気の中、普段と違う場所を歩くのは貴重な体験でもあるので、遠慮させていただきました.
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金田一温泉ゲートの裏側はこんな感じ.次にいつ来れるかわからないですが、また来たいと思いたくなる場所でした.
つづきます.
2024/10/21
JR東日本には50歳以上を対象とした「大人の休日倶楽部」という会員サービスがあります.
こちらに加入していると、通年でJR東日本エリアの料金が5%引きとなります(65歳以上になると30%引き).
また、期間限定で1年に何回か「大人の休日倶楽部パス」という切符が販売されます.これがなかなかの大盤振る舞いで、
・連続する5日間、JR東日本エリア全線乗り放題(新幹線や特急も含む)
・6回まで指定席発券可能
・えちごトキめき鉄道、IGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道、三陸鉄道なども全線乗り放題
と破格のサービスながら、価格が普通車用が18,800円(えきねっと発券の価格)、グリーン車用が35,000円なのです.この価格がどれだけ割安なのかといえば、東京-新青森の片道が17,670円であることを見ても明らかです.さらにJR北海道エリアも含めたものやJR北海道のみという切符も用意されています.
今回はこの切符を使って、遅い夏休み第2弾として東北旅行をすることにしました.
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5日間有効、とはいうものの、すでに夏休みとして3日使ってしまい、残りは2日のみ.土日を含めても連続して使える休暇は4日.
なので、仕事帰りに帰宅せずそのまま夜出発で新幹線に乗り込みました.
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「大人の休日倶楽部パス」含めて特急券もすべて事前に紙発券しておく必要があります.
モバイルSuicaなどと連携してくれると発券の手間がなくて便利なのですが、JR東日本のエリアがすべてSuicaに対応しているわけではないのと、利用者の対象年齢を考慮しても紙発券するのが確実ということなのでしょう.
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19時前の東北新幹線に東京駅から乗車し、21時過ぎに北上駅に到着しました.初めて降りる駅ですが、車の旅行ではこの近くに東北道の北上江釣子インターがあり、東西南北どちらでも向かえる交通の要衝みたいな場所なので比較的馴染みがあります.
ちなみに、当初の計画では北上ではなく、上越新幹線で新潟に向かう予定でした.新潟で宿泊し、翌日の特急「いなほ」に乗車して秋田に向かうつもりが、羽越線内で大雨の影響で「いなほ」が新潟-酒田間運休になったとのことなのでやむなく計画変更したのです.
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翌日.ここからが旅行本番なので1日目とでもいいましょうか.
北上駅から北上線に乗って横手に向かいます.9時55分の便を乗り逃すと次は13時42分なので1本乗り遅れるだけで行程がすべて台無しになってしまいます.今回はローカル線の旅がメインなので、本数が少ない路線が多くて時間の把握に気を使いました.
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JR東日本の非電化ローカル線ではよく見られる、キハ100系です.1両のみの運行で、大船渡線と運用が共通のようで車体には「ドラゴンレール大船渡線」のステッカーが貼られていました.
大人の休日パスの期間だからか、車内はそこそこ席が埋まるほどの混雑ぶりでした.
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横手に到着したら乗り換えまで40分ほどあるので、駅から少し歩いた幹線道路沿いのスターバックスにてコーヒーを購入しました.都市部の駅のように駅構内にテイクアウトのコーヒーが買える店が多いわけでもないので、コーヒーが飲みたい場合には事前に購入ポイントを調べておく必要があります.スターバックスやタリーズ、ドトールなどの店舗があればそこで調達し、なければコンビニで、となるのですがコンビニだって駅前に必ずあるわけではないですし.JR東日本は系列のコンビニチェーンとしてNewDaysを展開していますが、今回の旅行で見た感じでは、新幹線の駅であれば土産店も兼ねてほぼ出店されており、特急の停車駅でも必ずしも出店されているわけでもないようでした.先日訪れた酒田駅も駅構内の店舗はテナントの土産物店だけでしたし.
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横手から奥羽本線で大曲に向かいます.車両はこの界隈ではよく見かける701系です.だいたい非電化路線だとキハ100/110系で電化路線だと701系なので、このあとも何度も乗車することになります.
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大曲駅で乗り換えに40分ほどあったので外に出てみました.花火が有名な街だけあって駅舎に花火玉のオブジェがあり、駅壁面も花火らしきデザインがされていました.電飾のように見えるので、夜間になると点灯するっぽいです.
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駅前の商店街も「花火通り商店街」です.一度は行ってみたい大曲の花火大会ですが、なにぶん遠距離なこと、そして交通渋滞が凄まじいと聞くので(オフィシャルサイトにも道路は夜中の2時3時まで渋滞しますとの案内が)、躊躇してしまいます.
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大曲駅は在来線(奥羽本線)と秋田新幹線(田沢湖線と併用)の両方の路線があります.
改札口は新幹線と在来線の共通で、さらにその先で新幹線用ホームがあるという二重構造になっています.
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改札口を抜けた先に在来線と新幹線それぞれの方面の案内が出ています.
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新幹線側のエスカレータを降りていくと新幹線用改札があるのですが、大曲駅で秋田新幹線はスイッチバックする構造になっており、線路を跨ぐような位置に改札口があります.
かつての大曲駅は奥羽本線(福島、山形と経由して秋田、青森に向かう路線)がメインで、田沢湖線は盛岡と大曲を結ぶローカル線にしか過ぎませんでした.しかし奥羽本線の一部(福島-山形(のちに新庄)間)が山形新幹線となって線路幅の関係でが分断されてしまい、さらに盛岡から大曲までの田沢湖線と大曲から秋田までの奥羽本線が秋田新幹線となったため、運行系統が細切れ状に分断された奥羽本線よりも秋田新幹線の一部となった田沢湖線の方が優先度が高くなりました.ただし、田沢湖線は福島・山形方向に線路が敷かれており、新幹線になった時も改められなかったので、大曲駅で進行方向が変わってしまうのです.
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スイッチバックなので、終着駅でもないのに車止めがあります.
自分が乗る列車の前に、東京発秋田行きの列車が到着したので様子を見ていたのですが、さすがに短時間で準備を済ませて発車していきました.
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大曲駅から乗車し、新幹線の駅でいうと1駅、10分ほどの乗車で角館駅で下車します.
秋田新幹線区間は同じ線路を在来線が走行しているので新幹線に乗車する必然性はないのですが、在来線は本数が少なく、秋田新幹線が1時間に1本あるのに対して在来線の列車は2時間に1本、ひどい時は4時間ほど間隔が開くこともあります.なので次に来る列車に乗ろうとすると新幹線になってしまうことが多いのです.
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角館で1時間ほど余裕があるので、角館駅前にあるJR東日本直営の宿「フォルクローロ角館」の飲食店で昼食をいただきました.
いただいたのは、角館名物という御狩場焼き.狩で獲った鳥をその場でさばいて山椒味噌をつけて焼くという、佐竹北家伝承の郷土料理だそうです.秋田で鶏肉といえば比内地鶏.歯ごたえがあり、噛めば噛むほど旨味が広がります.
大人の休日パスの特典として、NewDaysなどの店舗で割引が受けられるのですが、ここもJR東日本の店舗なので1割引でいただくことができました.
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角館からは秋田内陸縦貫鉄道 秋田内陸線に乗車します.
昨年、どこかにビューーン!で田沢湖に行った際に角館に立ち寄り、内陸線乗りたいなと思い、つい1ヶ月前にロードスターで東北旅行をした際にも内陸線と並走したことから、いつか乗ってみたいと思っていた路線なのですが、自分でもまさかこんなすぐに乗りに来るとは思ってもみませんでした.
終点の鷹巣まで乗車しますが、途中で1回だけ下車できる「片道寄り道きっぷ」を購入しました.
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座席には秋田犬の図柄があしらわれています.
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窓下の飲み物などを置くトレイ部分には路線図が描かれており、ここにも秋田犬が.
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阿仁合駅で途中下車しました.
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阿仁合駅は秋田内陸線の中で主要駅の1つで、秋田内陸縦貫鉄道の本社もここにあります.
駅構内には車庫や整備場があり、複数の車両やラッセル車なども停められていました.
着いたのは15時過ぎですが、駅構内の売店が店を閉める時間だというのであわてて「バター餅」などを買い込みました.
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次の列車が来るまで約2時間.旅行の計画を立てるときにあれこれ下調べをするのですが、2時間を使い切れるほどの見どころもなく、やや手持ち無沙汰な感じのところにきて雨も降り出してしまったので、とりあえず駅前にある、『阿仁のマタギ座敷 内陸線資料館』と書かれた建物に入りました.
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中には最近まで使用されていた列車集中制御装置や阿仁合駅のジオラマ、そして秋田内陸線とその前身である国鉄阿仁合線と角館線ができた当時の新聞記事などが展示されていました.この新聞記事がとても興味深くて、昭和初期に阿仁合線(鷹巣駅から伸びる路線)が部分開業した際には町を挙げて大歓迎で新聞記事も楽観的な書き方をしているのですが、その後の延伸が進んだ記事には乗客減や赤字といった暗い話題が多くなり、1970年に部分開業した角館線(角館から伸びる路線)の記事にいたっては、できたものの1日3本しか列車がないとか暗い話題ばかりになっています(実際、開業のたった11年後には廃線が決定されています).結局その後、1986年に阿仁合線と角館線を国鉄から引き継いで秋田内陸縦貫鉄道 秋田内陸線が発足し、その3年後に両方の路線を繋ぐ部分が開業して、ようやく当初の計画の路線が完成したわけです.
A駅とB駅を結ぶ路線を作ろうとして両端から工事を進めるも、資金不足や技術的困難から中断し、部分開業で収益の上がらない盲腸線が2本できるというパターンは国鉄時代にはあちこちにありましたが、地元がそれを引き継ぎ、完成させるというパターンはそれほど多くない気がします.三陸鉄道の南リアス線が同じようなパターンでしょうか(南リアス線の場合は片側から作り進めていっていますが).
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ところで、『阿仁のマタギ座敷 内陸線資料館』と建物の入り口にあるように、秋田内陸線の展示物の先には座敷があり、熊がいました.
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熊の毛皮の敷物に「どうぞすわってみてください」とあったので座ってみましたが、熊の毛皮など触ったこともないので座っても何だか落ち着きません.
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座るとすぐ横には熊の剥製もありますし、どうにも居心地が悪いので早々に退散しました.
阿仁合のある阿仁地区は「阿仁マタギ」と呼ばれる猟師で知られる地域であり、阿仁マタギをテーマにした温泉宿では熊、鹿、ウサギといったジビエ肉がいただけるようです.興味があるのですが、今回は行程の都合でそこへの宿泊は見送りました.
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2時間後、やってきた列車に乗って鷹巣に向かいます.
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秋田内陸線の車両は車体色がバリエーション豊かですが、やってきたのは青い車両.そして車内には秋田犬の写真があちこちに貼られていました.
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鷹巣駅に到着しました.
鷹巣駅はJR東日本との共用駅ですが……
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JR東日本の駅名は鷹ノ巣駅です.もともとはどちらの駅も鷹ノ巣駅でしたが、秋田内陸線が全線開通した際に当時の町名の鷹巣町に合わせて改名したそうです.
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鷹ノ巣から大館まで移動し、この日は大館にて宿泊しました.
夕飯は事前に予約しておいた駅弁を駅前の店舗にて受け取ってホテルでいただきました.
つづきます.
2024/09/29
X100シリーズ用のフードを販売しているスウェーデンのSquarehoodの新作、X100 Glass (Haze 10%)が発売になったので、海外通販にて取り寄せてみました.
RICOH GRIII
Squarehoodは初代、mkII、Model V、Model Pと買っていますので、これで5個目です.日本の代理店としてオリエンタルホビーにて取り扱いがありますが、出たばかりですと扱ってないこともありますので、早くほしい時は海外通販になります.オリエンタルホビーで扱いがあれば届くのも早いですし、日本語で買い物できるのでこちらがおすすめです.自分は幸運にも海外通販でものが届かないとか違うものが届いたというようなトラブルに遭遇したことはないですが、できれば高額ものは買いたくないですね.
今回は注文から1週間足らずで届いたので、スウェーデンから発送ということを考えると早いなという印象です.段ボール箱に入れられて送られてはきたものの、箱が潰れて蓋が半分開いたような状態でした.中身は問題なかったので、まあ無事で届いてなによりです.
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同梱物はフード本体、かぶせ式キャップ、六角レンチ、クリーニングクロス.
フード本体が2ピース構造になっており、カメラ本体側のパーツをレンズ先端のねじ切り部分に取り付け、先端側のパーツの向きを合わせ、六角レンチで固定します.従来のModel VやModel Pはマイナスねじだったのに今回は変わったのはなにか理由があるのでしょうか.
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かぶせ式のキャップが丸みを帯びたクラシカルな雰囲気をしているので、取り付けるとX100シリーズの雰囲気と馴染んでオールドカメラっぽい佇まいになります.かぶせ式なので不意に外れたりかしないかが不安でしたが、かなりタイトなので奥まで取り付けておけば外れることはないでしょう.むしろタイトすぎるので、取り付けたあとでロゴの向きを変えようと回すのも大変です.下手したらフードの向きが変わってしまうかもしれないので取り付け後は回転させない方がよいとすら感じました.
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今回購入のフード、X100 Glass (Haze 10%)の特徴としては、
・フード先端部にフィルタが内蔵されており、X100V/X100VIでは防塵防滴構造となる
・フィルタがプロテクトフィルタではなくにじみ効果のあるフィルタを採用している
という2点になります.
X100V/X100VIはレンズユニット駆動部分を除けば防塵防滴構造になっており、フードを使用してフィルタでカバーすることでボディ全体が防塵防滴構造になります.なので多少サイズが大きくなってもフィルタはつけておきたいのです.
RICOH GRIII
そのレンズユニットですが、近接域を撮影しようとするとレンズユニットがかなり前面に突き出てきます.そのためフィルタとレンズ先端の間にはある程度のスペースが必要となります.なのでフィルタとフードを取り付けるとレンズ先端が長めになってコンパクトさをスポイルしてしまうのです.そうした中でもフード前面にフィルタを取り付けたX100 Glass (Haze 10%)は、他の製品と比べても比較的コンパクトにまとまっています.
購入前から個人的に気になっているのが、フードとフィルタが一体化されているということ.汚れたら交換するというフィルタの特性とフードでは耐久性の面で違いがあるのではないかと思ったのです.ただ商品説明によると「傷防止とグレア防止コーティングを施した日本のAGC製光学ガラスを使用しています」とのことなので、そう簡単に汚れや傷がつかないことを期待したいと思います.
FUJIFILM X100VI + FUJIFILM PROTECT FILTER PRF-49S
ISO640 F5.6 1/15秒
FUJIFILM X100VI + X100 Glass (Haze 10%)
ISO640 F5.6 1/15秒
X100 Glass (Haze 10%)に使用されているフィルタは「シネブルーム/10%ヘイズフィルター」が使用されているとのことで、あまり詳しい情報はないのですが、おそらくはブラックミスト的なフィルタのようです.
試しに光源としてLEDランタンを撮影してみました.上が富士フイルム純正のプロテクトフィルタ、下がX100 Glass (Haze 10%)です.下は光のにじみ具合に違いがあるのがわかります.もっとボワッとにじむ、これみよがしなフィルタ効果だったらどうしようと思っていましたが、光源のようなものを撮らなければ違いはわかりませんし、ほどよいさじ加減のフィルタ効果だと感じました.
上でも書いたように防塵防滴構造になるフード/フィルタとしては比較的コンパクトに収まっており、デザイン的にもバランスよくまとまっていますので今後はこれを使っていきたいところです.