2011/06/06

「まんがサイエンス」と原発

Category: 日記・雑記 — Annexia @ 23:59

まんがサイエンス、HAL

RICOH GR DIGITAL III(クロスプロセス)

 「まんがサイエンス」は学研の「科学」に掲載されていた、科学まんがです.テーマは非常に多岐にわたり、人体から宇宙、最新機器や素材にいたるまで、ありとあらゆることが扱われています.子供向けの内容といって馬鹿にしてはいけません.ここに掲載されていることをきちんと説明できる大人はそう多くはないでしょう.つまり大人が読んでもためになります.そして、面白いです.
 現在はたしか12巻まで発売されていると思いますが、残念ながら「科学」が出版されなくなってしまったので新作が出ない今となっては新刊が出るのは難しそうです.自分は全巻購入しているのですが、1-4巻はかなり前に購入したこともあって所在不明です.

 さて、昨今の原発事故が起きてから、このまんがサイエンスで原発や放射能をどのように扱っているのかが気になって探してみたのですが、どうやら原発や放射能をテーマにしたものはないようです.地熱発電のときに発電の原理としてちょっと触れられていたり、原発作業用ロボットとかが紹介されている程度です.
 まんがサイエンスは著者である、あさりよしとお氏自らが取材して描いていることもあって、巻末にはメーカーなど各社の名前が「協力」としてクレジットされています.原発関連企業などはお金を払って宣伝漫画を描かせているほどですので、小学生向けの科学まんがで扱われるといったら喜んで協力するはずです.にもかかわらず扱われていないのは、きっとなんらかの理由があるのでしょう.

 自分の推測ですが、おそらくはあさりよしとお氏自体が小学生向けに原発や放射能をポジティブに紹介するのを嫌っていたのではないでしょうか.
 まんがサイエンスとは別に、あさりよしとお氏が描いた科学風味?漫画で「HAL」というのがあります.こちらは嘘と真実がごっちゃになっており、全体的にブラックジョークに満ちあふれた作品で、もちろん小学生向けのものではありません.このHALには「ザ・臨界」というテーマで、実験室でバケツにウラン化合物を注いで臨界が起きる様子を実験しています(JCOの「バケツで臨界」事故をネタにしています).まんがなので何事もないかのように話は進みますが、実際にこんなことやったら被曝して死亡間違いなしなのはいうまでもありません.
 そして極めつけはこれらのセリフ.
 「それに日本じゃ「体に良い放射能」があるってことになってるんだし」
 「誰だ ンな寝言 言ってる奴ァ!!」
 「そんな甘い考えだから安全神話の崩壊とかにつながるんですよ!」
 「…でも もとから神話だしな」
 で、最後に
 「日本は安全神話に護られています.安心して生活しましょう.」
 と締められています.ブラックすぎです.