2020/11/05

Voigtlander ULTRON 28mm F2 VM

Category: カメラ・写真,物欲 — Annexia @ 23:01

 今年の始めくらいですが、VoigtlanderのULTRON 28mm F2 VMを購入しました.
 自分の好みの画角は35mm換算で28-35mmくらいなので、35mm換算で42mmとなるこのレンズは購入対象としてはあんまり考えていなかったのですが、たまたま程度のいい中古の出物があったのを見てしまい、つい勢いで購入してしまいました.

FXP30978

FUJIFILM X-Pro3 + XF23mm F2 R WR

 全長51.2mm、重量244gとレンズとしては小型軽量な部類に含まれるサイズです.X-Pro3に取り付けて使う場合にはマウントアダプタが挟まるので、全長はもう少し長くなります.
 Voigtlanderブランドのレンズ全般にいえることですが、丁寧な仕上げでクラシカルかつかっこいい外見をしています.

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Apple iPhone 8

 細身なのでなおさら長く見えてしまいます.
 フードは丸型でねじ込み式のものが付属しています.フィルタネジとは別に取り付けるようになっており、フィルタをつけても全長や見た目に影響はありません.もうちょっと人気のあるレンズだったら、別タイプのフードが発売されたりしそうですが、Voigtlander銘のレンズの中でもちょっと地味な1本なので純正の付属品しかありません.

FXP31000

FUJIFILM X-Pro3 + Voigtlander ULTRON 28mm F2 VM

 届いたその日にちょうど飲みに行く予定になっており、酔っ払いながら薄暗い店内で撮影したもの.絞り開放(のはず).
 あんまり期待せずに購入したレンズだったので写りを見てちょっと驚きました.ピントのあっているところがシャープなのはもちろんとしてボケがなだらかで2線ボケのような汚いボケではありません.非球面レンズを使用していないのもなにか関係あるのでしょうか.

FXP31063

FUJIFILM X-Pro3 + Voigtlander ULTRON 28mm F2 VM

 撮影テストも兼ねて旅行に持って行きましたが、絞ればシャープでキリッとした写りになります.
 また、レンジファインダ用レンズにありがちな盛大な周辺減光も少なく、気になるようなレベルではありません.

FXP31157

FUJIFILM X-Pro3 + Voigtlander ULTRON 28mm F2 VM

 ヘリコイド付きのマウントアダプタを使うことでテーブルフォトにも使えます.近距離でピントが浅く、ボケに癖もないので料理(とくに付け合わせのクレソン)が立体的に見えます.

FXP31222

FUJIFILM X-Pro3 + Voigtlander ULTRON 28mm F2 VM

 歪曲が少ないのはレンジファインダ用レンズの長所ですが、このレンズもまったく気になりません.

FXP31653

FUJIFILM X-Pro3 + Voigtlander ULTRON 28mm F2 VM

 色味はレンズの性能よりもカメラ側の味付けによるところが大きいですが、夏の終わりのやや物寂しげな雰囲気が出せたかなと思います.
 ピントのあっているひまわりの花びらの重なりのシャープさと、後ろの雲のややボケた柔らかさが気に入っています.

FXP31888

FUJIFILM X-Pro3 + Voigtlander ULTRON 28mm F2 VM

 溶けるようなボケとまではいきませんが、癖のない柔らかくなっていくボケは魅力です.

FXP31894

FUJIFILM X-Pro3 + Voigtlander ULTRON 28mm F2 VM

 絞りF2開放で撮影.拡大やピントピーク等のアシストがあっても、老眼の始まった眼でこの手のものを撮影するのは大変です.少し後ピンですね.
 光の反射がボケていますが、こうしたものは非球面レンズだと研磨の跡が同心円状に出て、「玉ねぎボケ」なんていわれてしまいますが、このレンズは非球面レンズを使用していないので、そうした癖のあるボケは出ていません.

FXP31903

FUJIFILM X-Pro3 + Voigtlander ULTRON 28mm F2 VM

 レンズとヘリコイド付きマウントアダプタの最短撮影距離で撮影.ピントの合った芯が見えつつも柔らかな収差が出ています.レンズの設計上想定された撮影距離ではないのですが、うまくまとまった描写です.

 好みの画角よりやや望遠よりで扱いにくいかなと思っていましたが、これくらいであればファインダを覗いても狭さを感じるほどではありません.また絞り開放では開放値F2を活かした綺麗なボケを、絞ればシャープな描写と、万能感があるのも魅力です.おかげですっかりお気に入りの1本となっています.