2012/01/17

Apple iPhone 4S
津田大介氏の「情報の呼吸法」を読みました.
津田氏はジャーナリスト/メディア・アクティビスト.自分が最初に名前を知ったのは音楽の著作権がらみで国の審議会に出席していたことから.国の審議会などというお堅い場なのに金髪の人がいる!と不思議に思ったのが記憶に残っています.個人的に音楽業界の著作権等に対する方針には疑問を感じていたこともあり、津田氏が孤軍奮闘して主張する姿には共感を覚えたものです.
その後もMIAU(インターネットユーザー協会)を立ち上げたりするなど、活動の様子はネットのニュースなどでちょくちょく名前が出ていましたが、存在感がもっとも感じられたのは東日本大震災以降でしょう.Twitterを主軸に情報を捌く技量には感服しました.
この本は、津田氏が今までにしてきた行動を振り返りつつ、どのように情報を取り扱い、つきあってきた/いくかを解説したものです.が、少しつかみどころのない内容になっています.内容がないというのではなく、むしろ逆で、テーマを細かく切って過去の経験を織り交ぜながらノウハウを提供しているのでコンスタントに濃い内容が続いている、そんな感じです.
内容をかいつまんで紹介すると、
・ネット(ソーシャルメディア)の登場によって情報の流れが変化してきている.象徴的な事例として、TVや新聞よりも先にYouTubeで尖閣諸島の中国船衝突事件は流された
・震災のときの状況分析は1-2名の専門家しか出ないTVよりも、各分野の専門家がネット上で情報を提供し分析することで幅広く情報を得ることができた.しかしその反面、情報が錯綜して整理役が求められるようになった
・Twitterは自分が求める情報以外の「誤配」される情報があるからおもしろい
・自分と同意見の人だけをフォローし、他をノイズ扱いして除外していくと情報のタコ壺化が発生し、視野が狭くなる
・TwitterのTLを楽しく追えるのは300-500人くらいまで
・TwitterやFacebookなど多々あるソーシャルメディアから自分に合ったものを選ぶべき
・ソーシャルメディアでの人とのつながりはソーシャルキャピタルである.相手から見れば自分自身も他人の資本である
・情報発信をしないことにはリターンがない
共感するところが多々あると同時に、自分のネットや情報に対する姿勢やものの見方があながち間違ってなかったことを認識できたことも大きな収穫でした.
文体が柔らかく、細かくテーマが切られていることもあって内容の充実度のわりに読みやすいです.オススメです.
2012/01/14

Apple iPhone 4S
穂村弘氏の「にょにょっ記」が文庫本で発売されたので読んでみました.「にょっ記」の続編です.挿絵は前作同様にフジモトマサル氏です.
日記の体裁をした、穂村氏の妄想というかもやっとした考えが次々に現れる、地に足のついていない感覚のする、不思議な作品です.
– – – – –
1月17日 ハチミツ
駅前のスーパーマーケットのドアに広告が貼ってあった。
太陽印の純粋ハチミツは栄養満点です!
パンに!
ケーキに!
ヨーグルトに!
お子さまたちに!
ぎょっとする。
2011/11/26

RICOH GR DIGITAL III
amazon.co.jpに予約しておいたピタゴラ装置 DVDブック3が届いたのでさっそく見てみました.
いちおう説明すると、ピタゴラ装置とはNHK教育で放送されている「ピタゴラスイッチ」内で放送されているもので、ビー玉や本、紙コップなどの小物を使って動く仕掛けのことです.なんていうか、「風が吹けば桶屋が儲かる」的なものを物理的に再現したものとでもいうか、ちょっと言葉で説明するのは難しいですね.
3作目となる今作には42本の新作が収められています.
ピタゴラスイッチは毎週録画して見ているので、ここでまとめられたものの大半はすでに目にしたことのあるものなのですが、とはいえ何回見ても「おおっ」と思ってしまうような仕掛けが多くて飽きません.特に今作では「どうぶつ装置」なる、リス、金魚、ハムスターをトリガーや動力としたものも収録されています.リスの動きが秀逸です.
2011/10/24

RICOH GR DIGITAL III
スティーブ・ジョブズの伝記の1巻が発売されました.世界同時発売だそうで、自分は紀伊國屋書店の電子書籍版を購入しました.紙の書籍が1,995円で、電子書籍が2,000円なのはちょっと解せませんが、おそらくはAppleのアプリ内ストアのなにかルールのようなものがからんでいそうな気がします.
日本版の価格が上下それぞれ1,995円で非常に高価だといわれていますが、翻訳のコストや印刷所のコスト、それに日本語を母国語とする人が全世界で1億2,000万人程度しかいないことを考慮すると仕方のないところじゃないでしょうか.
逆に日本国内で400-450円くらいで売られているコミックスなんて、アメリカだと定価10ドルでamazonディスカウント価格でも9ドル弱ぐらいしますしね.
それよりも残念なのが、紀伊國屋書店のアプリがWindows対応のみでMacに対応していないこと.最初、Macから購入処理をしようとしたら、対応していない旨のメッセージが出て驚きました.なんていうか、ものすごく基本的なものが根底から覆されたような、そんな感じ.
ボイジャーの場合はSafariプラグインで読めるようになっているようですね.
それはさておき.1章を読みましたが、面白いです.中身については触れませんが、とにかくオススメです.雑誌の増刊とかで売られているスティーブ・ジョブズの追悼本とかを買う前にまずこれを読むべきです.
2011/09/06
「書籍の“自炊”代行は複製権侵害」出版社7社と作家122人が業者に質問状
買ってきた書籍を裁断してページごとに分割し、ドキュメントスキャナに取り込んでPDFなどのデジタルデータに変換する行為を「自炊」といいます.デジタルデータにするときにOCR機能を使ってテキストをきちんと文字として認識することで検索が容易になったり、iPadなどのデバイスに大量のデータを取り込むことができるなど、メリットが多いため徐々に普及しているようです.
ただし、導入にあたってはいくつかの障壁があります.書籍の裁断を行う裁断機やドキュメントスキャナは価格もそれなりに高価で(両方あわせて5万円くらいでしょうか)、なおかつ場所をとるなどの難点もあり、気軽に自炊を行える環境にないのも事実です.そこで、書籍を送ると裁断からデジタルデータ化までの自炊作業を代行して行ってくれる業者が登場しています.
ところが、こうした代行自炊業者に対して作家や出版社などが「複製権」の侵害であるとして、各業者に質問状を送ったそうです.買ってきた書籍を個人が自炊するのはOKだけれど、委託されて自炊するのは「使用する者が複製できる」という著作権法の範囲を超えてしまっているというのが理由だそうです.
また、裁断した書籍がオークションに流れるなど、自炊行為自体を「「紙の本が消えてデータに変わるだけ」と言うことはできないなどと苦言を呈している」といったように、快く思っていないようです.
どうして個人が、わざわざお金を出して買ってきたまっさらの書籍をさらにコストをかけて裁断してスキャナにかけるような面倒なことをしているのか、考えたことはないのでしょうか.タブレットや読書端末が登場していることで読書スタイルそのものが変わってきているのに、それに出版社が応えるということがまず最初にすべきことでしょう.
「もうすでにいくつかの書籍は電子化されて売られている」というかもしれませんが、残念ながら現状はとても満足できるものではありません.電子書籍化されている数そのものが少ないことに加えて、さらに面倒な障壁があるのです.自分はiPadユーザですが、電子書籍を買おうと思ったら、まず「どのアプリで売られているのか」を調べることから始めなくてはなりません.現状は出版社、取次、広告代理店など各社が独自の電子書籍アプリをリリースしており、その中でコンテンツを囲い込んでいます.iPadに最初から用意されている「iBooks」には未だに一冊も日本語タイトルの書籍はありません.Appleの対応や縦書き処理など日本語独自の細かな問題もあるようですが、はたしてそれらがクリアされたときにiBooksに書籍が並ぶのか、また今までに各アプリで購入した電子書籍が無料でiBooksにデータ移行できるようになるのか、不安要素でいっぱいです.
自炊するために裁断した書籍がオークションに流れて違法コピーの温床になっているということを危惧しているのであれば「自炊なんて面倒なことをしなくてもいいや」と思えるような仕組みを構築すべきでしょう.それこそ、図書館が無料貸本屋になっている現状を駆逐し、読書家がヴァーチャルながら眺めて納得できるような、蔵書感に満ちあふれるシステムを作ってほしいものです.
自炊が発生した理由や経緯を考えずに、押さえ込むという方向に動いてしまったことは出版業界においては今後に響いてくる失策のように思います.