2013/11/05

ニコン Df

Category: カメラ・写真 — Annexia @ 23:35

「ニコン、往年の銀塩一眼レフを思わせる「Df」」

 少し前から噂が出ていた、レトロ風味のデジタル一眼レフが「ニコン Df」として正式に発表されました.

 特徴は、
・シャッタースピードダイアルやISO感度ダイアルなど、アナログな操作系を搭載し、昔ながらの使い勝手を追求
・「非Aiレンズ」と呼ばれる、ニコンFマウント初期(1977年より前)のレンズが使えるように設計
・ニコンの最上位モデル「D4」と同じイメージセンサーを搭載
・ベースとなったモデルはD600/D610(のように見える)
・ニコン製フルフレームデジタル一眼レフとしては最軽量の710g
といったところでしょうか.

 デザイン的にもやや旧さを狙った感じのように見受けられます.
 個人的には正面左側にあるサブダイアルを見てCONTAX G2のフォーカシングダイアルを思い出しました.今回のサブダイアルはフォーカシングではなく絞りのないレンズで絞りダイアルとして使うためのようです.

 非Aiレンズに正式に対応したのも魅力です.デジタルカメラになってイメージセンサーの性能も格段に上がった結果、レンズも旧型では解像度が追いつかなくなってカメラの性能をフルに引き出すのは難しくなっています.とはいえ、レンズは製品によって特徴もありますし、その違いを楽しむのが趣味というもの.ニコンFマウントは50年以上の歴史を誇るマウントではありますが、この非Aiレンズは現行のデジタル一眼レフ機の上位モデルには取り付けることすらできません.下位機種ではコストダウンが思わぬ方向に作用して取り付けできますが非推奨ですし、カメラ側はレンズがついているこすら認識せず、マニュアル露出での撮影が必要になります.このDfは非Aiレンズ取り付け時にボディと干渉しないような仕掛けが用意され、専用の撮影モードを備えているのです.

 この機種の噂を見たときに「【フォトキナ】「カメラおやじ趣味」はまだ続く。新ジャンル機も鋭意開発中」という記事のことを思い出しました.この記事に出てくる「リコーのGR DIGITALに対抗する製品」というのはCoolpix Aとして発売されました.同様に記事に出てくる「ルーティンでモデルサイクルを維持している開発組織が行なうべき正常進化とは別に、カメラと写真文化の発展の方向を考えるのが後藤研究所の仕事です」という、既存の流れから外れた製品がついに出てくるのだろうなと思ったのです.
 そしてやはり、「ニコンDfの発表会で後藤哲朗氏が企画説明」とあるように、後藤さんが手がけた製品であることが表明されました.
 後藤さんはF3からD3までのニコン一眼レフを開発された方で、D3開発後は「後藤研究室」を設立し、ニコン社内で助言する立場についています.後藤研究室については「後藤哲朗氏本人に訊く:ニコンが設立した「後藤研究室」とは」という記事に詳しく書かれています.また、「リコー開催の「GR PARTY」に、ニコン後藤哲朗氏がサプライズ登場」というように、他社とも親交の深いユニークな方でもあります.

 さて、このDf、発売価格は安い店でも25万円程度と、なかなかの値段です.とはいえ通常のデジタル一眼レフよりも手間のかかった構造を備え、日本製ということを考えると妥当な値段といえる気がします.
 とはいえ、D700から買い換えるかというと微妙なところでしょうか.方向性は支持しますが、操作系がかなり煩雑に見えます.アナログな操作系を追求するのであれば、もう少しデジタルを感じさせるボタンのたぐいは減らしたほうがよいような気もします.