2014/01/18

RX1を購入して1年

Category: カメラ・写真 — Annexia @ 22:56

 ソニーのフルフレームの撮像素子を搭載したレンズ固定式デジカメ「DSC-RX1」買ってから1年が経過しました.

 レンズ固定式、つまり一般にコンパクトを呼ばれるタイプのデジカメとして初のフルフレームセンサーを搭載したカメラで発表当時から非常に大きなインパクトがありましたが、いまだに真っ正面から対抗できる製品というのは登場していません.
 対抗馬がいないということは価格競争も存在しないということでもあり、デジカメは値崩れの激しい商品だというのに、1年たっても1割程度しか価格が下がっていません.

 1年間使ってみての感想などをまとめてみたいと思います.


【外観】

DT7_0196

Nikon D700 + CarlZeiss Makro-Planar 50mm F2

 とにかく素晴らしいです.RX1の価格を最初に知ったときにボッタクリだと感じましたが、店頭で現物を見たときにその思いは吹き飛びました.ダイアルは金属製で、ほとんどの文字は彫り込みでホワイトが入っているその手のかけようは文句がありません.


【画質】
 ケチのつけようのない、最高の画質です.後述するような不満点があってもこのカメラを使い続けているのはこの画質があってこそです.
 レンズはCarlZeissブランドのSonnar 35mm F2.レンズ固定式デジカメにしては大きく、存在感のあるレンズがついています.「これってレンズ交換できるんでしょ?」と聞かれたことがあるほどです.
 しかしレンズが交換できないことはデメリットではなく、むしろレンズが交換できないゆえにこのレンズの性能をフルに生かすための設計がなされているため、ここまでの画質が得られるようです.Zeiss製の35mm F2レンズはニコンとキヤノン向けにDistagonが、ライカMマウント向けにBiogonが用意されていますが、ここまでの画質には至ってないのもやはり専用設計によるところが大きいのでしょう.

DSC01310

SONY DSC-RX1
F5.6 1/80秒 ISO1600

 フォーカスのあっているところはキリッとしたシャープさがありながらもふんわりとボケていく画質は最高です.

DSC00994

SONY DSC-RX1
F8 1/40秒 ISO6400

 高感度特性も素晴らしく、ISO感度の上限設定を6400にして使っていますが、ノイズをさして気にすることなく撮影できます.


【AF性能】
 AFは過度の期待はできません.合焦速度は遅く、また特に暗い場合などにAFが迷います.迷った揚げ句にAFを放棄することもままあります.スナップ撮影や動くものの撮影にはあんまり向いていないと言えるかもしれません.
 ただ、これは画質とのトレードオフの部分も多々あるのではないかと思っています.画質をあげるために大きく重たいレンズを採用しており、このレンズをAF駆動させているわけですから合焦速度も遅くなるのも仕方のないことかもしれません.とはいえ、暗部性能をもう少し高めてもらえればと思うことは多々あります.


【操作性】
 「MR」機能と呼ばれる、モードダイアルにユーザ設定を3パターン登録できる機能は便利です.自分はRICOH GRも持っており、そちらにも同様の機能が3つあるので、同じような感覚で操作できます.
 それに加えて、シャッターレリーズ横の「C」ボタン、カーソルの左右下の3ヶ所に任意の機能を割り振ることができるなど、カスタマイズ性は高いです.かと思えば、背面のカーソル部分のホイールや再生ボタン横のダイアルは動かしてもなんの反応もなく遊んでおり、ちょっともったいない状態です.

 それから、このカメラ最大の不満といえるのがRAW撮影への対応の悪さ.ピクチャースタイルやクロップ、ダイナミックレンジオプティマイザーのレベル調整など、様々な機能がRAW対応していません.RAW+JPEG同時記録の撮影時にも対応しておらず、RAWは素の状態でJPEGのみに設定が反映された状態で撮影してくれればよいのですが、機能自体がそもそも選べません.ファームウェアのアップデートなどで対処できるレベルじゃないのかと思うのですが、ソニーの他機種も同じような仕様なので不具合や操作上の難点という認識はしていないようです.

 レンズ上に配置されたマクロモード設定や、絞りリング、フォーカスリングは操作しやすいです.


【周辺機器・オプション】
 購入と同時に純正オプションとしてフード、サムグリップ、液晶保護シート、後にバッテリと充電器を購入しました.
 フードは専用品らしく作りもよくバヨネット式できれいに収まりますが、逆付けは不可なのが残念なところ.
 サムグリップは中央部分にヒンジがついていて使わないときは畳んでおけるのですが、そのヒンジが遊びが大きくてカタつきます.カメラを安定して構えるためのグリップがカタつくなんてのは論外です.しかもサムグリップはアクセサリシューに取り付ける構造になっているのですが、シューにロックする爪が浅いのでかばんの出し入れやどこかに当たったりするだけで簡単にロックが緩んで外れてしまいます.一度だけですが、サムグリップ上につけていた他社製の光学ビューファインダもろとも外れて床に落下させてしまったこともあります.作りが甘いと言わざるを得ない部分です.
 結局、サムグリップは純正品は使わずに、サードパーティ製の他機種向けのものを入手して現物あわせしながら削ったものを使っています.


【その他・雑感】
 「ソニーのものづくり精神の復活」の象徴として取り上げられることの多い、このRX1.たしかに意欲作であり、センサーやレンズまで含めて自社で作ることのできる、ソニーならではの製品といえます.が、ハード面では優れていながらソフト面での弱さが目立つという、ソニーが昔から持っている弱さがこの機種にも受け継がれているのが残念なところです.

 不満なところは多いカメラですが、最初に書いたように代わりとなるようなカメラは現状ではまだ存在しません.
 センサーサイズがAPS-Cの富士フイルムのX-E2に23mm F1.4の組み合わせは35mm換算でほぼ同じレンズスペックになりますが、レンズ交換式ゆえにボディサイズがRX1よりもかさんでしまいます.同じソニーでフルフレームで小型でレンズ交換式のα7/7Rもありますが、35mmレンズはF2.8と一段暗いのとボディサイズもやはりネックではあります.
 なので、画質とコンパクトさの両立という観点からも手放せないカメラであることは間違いありません.
 将来的に見て、RX1の後継機種こそがRX1のライバルとなりそうな気もします.