2019/12/21

FUJIFILM X-Pro3(その3)

Category: カメラ・写真,物欲 — Annexia @ 13:51

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FUJIFILM X100F

 X-Pro2を下取りに出してX-Pro3に買い替えたわけなのですが、両者の違いというかX-Pro3になって改善・改悪されたものを、X-Pro2の記憶が残っているうちにまとめてみました.

■X-Pro3の(X-Pro2より)いいところ
・AF性能の向上
 -6EVからAFが作動し、日が落ちてかなり薄暗いような状況でもすんなりとピントが合います.また精度自体も上がっている感じがします.

・画質の向上
 画素数は200万画素増えた程度なのでその点では-Pro2とは大差ないです.
 X-Pro2との違いとしては「カラークロームエフェクト」「カラークロームブルー」「明瞭度」といった新たな色味をコントロールする技術が導入されていることもあって色つぶれなどが抑えられている印象です.ただし「明瞭度」については撮影後の後処理が重いようで、撮影後に数秒処理に待たされるので現状では実用に耐えられないと判断して使用していません.

・新しいフィルムシミュレーション『クラシックネガ』
 コントラストがややはっきりとしており、白とびしやすいなどクセの強いフィルムシミュレーションですが、銀塩フィルムに近い雰囲気があり、アンダー目の露出で金属や人工物を撮ったときの色合いが好みです.

・スマホとの連携
 X-Pro2のときはカメラ側でWi-Fiを起動してからiPhoneやiPadを操作して接続していましたが、X-Pro3ではカメラ側は電源さえ入っていれば手を触れることなくiPhone/iPadからBluetooth接続でWi-Fiを自動起動させて通信できるようになり手間が省けました.ただし、通信速度の改善は求めたいところです.

・電池蓋/メモリカード蓋
 蓋の構造が変わり、どこかに引っ掛けただけで不用意に開いてしまうようなことがなくなりました.閉じるときは蓋を押さえるだけでロックされるので安心かつ使いやすくなっています.

・MFレンズの名称登録機能
 Mマウントレンズをマウントアダプタで使っているのですが、X-Pro2までは焦点距離のみ登録可能でした(EXIFに残すためというよりOVFでの枠表示のために必要なので).X-Pro3からはレンズ名称まで登録できるので、同じ焦点域のレンズを複数持っていてもEXIFにレンズ名が記録されるので判別がつくようになりました.これは便利.ただし、文字数の制限があるので、「Voigtlander SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Aspherical II VM」みたいな長い表記をそのまま登録はできません.

・EVFの画質向上
 有機ELになったのと画素数の向上でかなり見やすくなりました.リフレッシュレートが上がっているのとそれに加えて映像と映像の間に黒画像を挟むことで残像も抑えられています.
また「イマイチなところ」で書きましたがOVFの対応範囲が縮小されたこともあってX-Pro3ではEVFメインで使用しています.

・小型液晶によるフィルムシミュレーションの表示
 実用性がそれほどあるわけでもない『お遊び機能』といってもいいようなものですが、意外と楽しいですね.
 フィルムパッケージ風のフィルムシミュレーションの表示以外に、シャッター速度や絞りなどのパラメータを表示される設定も用意されてはいますが、富士フイルムのカメラはその大半をダイヤルで設定するので、画面を見なくても本体のダイヤルを見ればどのような設定になっているかわかることもあって、こちらも必要性はさして感じません.
 フィルムパッケージ風の表示でもホワイトバランスとISO感度が表示されていますが、ここにもうひとつ撮影可能枚数も表示してもらえたらなおよかったです.

■X-Pro3の(X-Pro2より)イマイチなところ
・OVFが対応可能な焦点領域の縮小
 X-Pro2では16mm(35mm換算24mm)からOVFのフレームが表示可能だったのですが、X-Pro3からはEVFの表示を優先してOVFの2段階表示を廃止したため、23mm(35mm換算35mm)から対応するようになってしまいました.なんでもX-Pro2ユーザにアンケートを取ったところ、大多数がOVFよりもEVFで撮影しているそうでEVF優先の設計となったそうです.自分は大半をOVFで撮って、晴天下などOVFのフレームが見づらいときだけEVFに切り替えていたのですが、自分のような撮影スタイルの人は少数派だったようです.機構の簡略化によってOVFの見やすさも改善されているようですが、使用できる範囲が狭められているようでは元も子もない気がします.
 このカメラの性格を考慮すると、スナップで多用される18mm(35mm換算27mm)レンズあたりからOVF対応してもらいたかったです.

・天板の仕上げのクオリティ
 天板と床板に硬い反面、加工の難しいチタンを採用したため、加工に起因するシワ状の歪みがあります.また天板左上の機種名表記がX-Pro2までは刻印にホワイトの墨流しで高級感のある仕上がりだったのですが、それが凹凸のないプリントになってしまいました.趣味性の高いカメラですので、仕上げの部分には手を抜かないでほしかったです.

・旧型バッテリNP-W126への対応
 X-Pro3の標準バッテリはNP-W126Sです.旧型のNP-W126とは形状等も含めて同じなのでどちらも使用可能ですが、NP-W126使用時にバッテリ寿命が短くなるという警告が電源を入れるたびに表示されて煩わしいです.写真を撮ることに専念するように設計されたカメラだというのにいささか本末転倒な気がします.

・充電器が別売
 X-Pro3からは本体充電できるようになりました.そのせいもあってか充電器が付属しません.自分は本体充電は非常時しかしないので充電器が付属しないのは困りものです.

・十字ボタンの廃止
 十字ボタン自体は廃止になってもメニュー移動などはフォーカスレバーで代用できるのですが、十字ボタンの上下左右に機能を割り当てていたものが使えなくなったのがマイナスです.割り当て可能なボタンが用意されているので代用は可能ですが、十字ボタンのすべてをフォローしきれるほどのボタンは用意されてないのが困りものです.

・なんとなくスイッチなどの感触がゆるい気がする
 X-Pro2に比べてフロント側にあるレバーのがたつきを感じます.個体差でしょうか.

・水準器について
 水平だけでなく奥行きの傾きも検出する三軸の電子水準器が搭載されているのですが、標準では水平方向のみの二軸水準器しか表示されません.メニューまたはキー割り当てから水準器を呼び出した場合のみ三軸水準器が表示されます.モニタやOVF/EVFに表示する項目を選ぶ設定で単なる水準器表示のON/OFFではなく二軸か三軸かを選ばせてくれればいいのですが.


■その他
・Hidden LCD
 賛否両論渦巻く、格納されたモニタ.カメラ系ライターの記事などを見ても意見が分かれているようで、かなり否定的な見解の人も見受けられます.わざわざ蓋をして不便にするのはいかがなものか、ファインダを半強制的に使わせるのはどうだとかって.
 言いたいことはわかるのですが、多様性というか様々な撮影スタイルがあることは悪いことではないと思うのです.X-Proシリーズは富士フイルムのカメラの中でもクラシックな作りやデザイン、操作性を意図したカメラです.機能や効率性を追い求めたカメラであればX-TシリーズやX-Hシリーズがあります.同一メーカーの中で複数の製品があって(いいことなのか悪いことなのかわかりませんが、富士フイルムの開発リソースの制約上、センサーや画像処理エンジンは世代間で同じものを使っているので性能は大体似たようなものです)、様々な撮影スタイルに対応するうえでこのようなカメラが出てくること自体、面白いことです.それを利便性という枠に押し込めて否定的な見解をすること自体、カメラ趣味の多様性の芽を摘むことになりかねないのではないかと思うのです.
 自分も撮影していて、この蓋のあるモニタが今後の主流になるとは思えませんが、「撮影する→モニタで確認する→撮影する」ではなく「撮影する→撮影する→撮影する(必要だったらEVFで確認する)」という撮影の流れはテンポよく撮影できて悪くないとは思います.
 ここでOVFの機能を簡略化してEVFのスペックを上げてきた話につながるのですが、EVFメインで撮影をして、撮影時にきちんとフレーミングをしてピントも合わせて、フィルムシミュレーションの色味や露出も確認できるのだからそのあとでいちいちモニタで確認する必要もなかろうと(どうしても必要だったらEVFで確認できるし)考えると開発者側も意向もなんとなく見えてくる気がします.それを「押しつけ」とみるかどうかでこのカメラへの評価も変わってくるような気がしますね.

 長所短所などいろいろと書き連ねましたが、ひとことでまとめるのならばニッチでマニアックなカメラということなのでしょう.X-Proシリーズは他のカメラと比べても販売期間が約4年と長めなので特徴のある仕様で長く支持されるカメラを作ったという見方もできるかと思います.
 購入当初は戸惑うところも多くて使いこなせるか心配でしたが、購入から約1ヶ月、使うたびに馴染んでくるのを実感しています.

2019/12/17

FUJIFILM X-Pro3(その2)

Category: カメラ・写真,物欲 — Annexia @ 22:45

 富士フイルムX-Pro3について.
 撮影してみた印象など.

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FUJIFILM X-Pro3 + XF23mm F2 R WR

 購入した帰りに撮影したもの.X-Pro2と基本的に操作系は同じなのですが、X-Pro2はボタンの割り当てなどカスタマイズをしてあったので、文字通り工場出荷状態のX-Pro3には戸惑いました.やはり馴染んだ状態にセットアップしていないと「道具」として使いづらいですね.
 フィルムシミュレーションは今回から搭載されたクラシックネガ.「ネガ」とつくわりには同じクラシックの「クラシッククローム」と比べてもクセが強く、コントラスト高めで白飛びしやすいなどまだ特徴が掴みきれていません.ただ、こうして見てもアンダー目に露出を設定した時の金属の表現はいい感じです.

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FUJIFILM X-Pro3 + XF16mm F2.8 R WR

 ややクラシカルなビルの外壁.フィルムシミュレーションは同じくクラシックネガ.こういう人工物の被写体も得意そうです.空の青さは他のフィルムシミュレーションに比べても飛び気味です.

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FUJIFILM X-Pro3 + CarlZeiss C Biogon 4,5/21 ZM

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FUJIFILM X-Pro3 + CarlZeiss C Biogon 4,5/21 ZM

 上はクラシッククローム、下がクラシックネガ.フィルムシミュレーションブラケットで撮影したので同じセッティングですが、空の青さや屋根の明るさなどに大きな違いがあります.

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FUJIFILM X-Pro3 + CarlZeiss C Biogon 4,5/21 ZM

 クラシックネガ.ある程度の明るさのあるところは飛ばしつつも紅葉は鮮やかな色調を併せ持つなどクセが強いですね.

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FUJIFILM X-Pro3 + CarlZeiss C Biogon 4,5/21 ZM

 MマウントのツァイスのC Biogon 21mm F4.5で撮影.この画角ではOVFにしても撮影範囲がフレームからはみ出してしまい、必然的にEVFでの撮影となります.厄介なのがフレーム外からの予期しない物体の侵入.OVFだとフレーム外から車が入ってくれば気づくのですが、EVF撮影後に車が写り込んでいることに気づくなど撮りづらさを感じます.

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FUJIFILM X-Pro3 + XF23mm F2 R WR

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FUJIFILM X-Pro3 + XF23mm F2 R WR

 上はHDR撮影モード.下は通常の撮影.HDR撮影モードとは手持ちのまま複数枚を撮影し合成することで明暗の激しい被写体でも黒つぶれ/白飛びを抑えた写真を撮影できるというもの.HDR撮影したものは列車の前照灯の形状が確認できたり、ホームの照明に照らされた車体が白飛びしていないなど効果が見て取れます.とはいえ、メリハリに欠けたやや眠い画像にもなってしまうので、自分はあんまり使わなさそうです.

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FUJIFILM X-Pro3 + CarlZeiss C Biogon 4,5/21 ZM

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FUJIFILM X-Pro3 + XF16mm F2.8 R WR

 色に深みを与えるカラークロームエフェクト/カラークロームブルー.両方とも設定強で撮影.真っ赤ないちごの色味が飽和しそうな限界のところまで強調されています.
 カラークロームブルーについては青空を表現することを目的にX-Pro3から搭載された機能で、晴天時に屋外で撮るとフィルムシミュレーションによってはかなり強調された画像に仕上がります.状況判断にもよりますが、自分には強調されすぎのようにも感じられましたので、設定弱で撮るのがよさそうです.

 X-Pro3購入から約20日ですが感想など.
 蓋がされて通常では見れないモニタや、チタンを採用したばかりに工作精度に難があって従来機ほどの見栄えに到達していない天板など、発売前からいくつか疑問のあるカメラでした.なので予約はせず、販売開始されたら評判を見つつ購入を検討しようと思っていたのですが、結局は予約して発売日の夜にはカメラ店の店頭にいました.慎重さよりも好奇心のほうが勝ってしまった、という感じでしょうか.
 支払い後に店頭で持参したXF23mm F2とバッテリを装着し、ストラップを取り付けて撮影を始めたときの戸惑いときたらなかなかのものでした.うわー、このモニタが隠されてるの使っていけるかな、慣れるかなと不安に思いましたが、その後も試し撮りをし、旅行にも持って行ったりした結果、意外にもすんなりと撮影後にプレビューを見ないスタイルにも慣れてきました.「フィルム時代はこうだった」というノスタルジーではなく(もうフィルム時代のことなど忘却の彼方ですし)、「新たな撮影スタイル」としてテンポよく撮っていくのが楽しいですね.とはいえ、自分はMFレンズも使いますし、視力も落ちてきているのでフォーカスアシスト機能がついているとはいえ、気を抜くとピンボケ写真を量産してしまいます.そうした部分も含め楽しんでいけたら趣味としていままでとは違った世界が見えてくるのかもという気がしています.

2019/12/16

FUJIFILM X-Pro3(その1)

Category: カメラ・写真,物欲 — Annexia @ 22:31

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FUJIFILM X100F

 富士フイルムのX-Pro3を購入しました.
 X-Proシリーズを購入するのは、前作のX-Pro2に引き続いて2機種目です.
 今回のX-Pro3、後述しますが賛否両論のあるモデルです.新型でこのように評価が人によって分かれるのは珍しいことのような気もしますが、それだけ特徴のはっきりした機種であるともいえます.

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FUJIFILM X100F

 正面から見ると、X-Pro1やX-Pro2といった従来のモデルと比べてもほとんど違いがありません.また型番などを示す文字表記がないのでパッと見た限りでは機種の見分けもつかないほどです.
 ボディカラーについて.X-Pro2のときは当初ブラックのみが発売され、途中で限定モデルとしてグラファイトエディションが発売されました.X-Pro3はブラックのほかにデュラテクトブラックとデュラテクトシルバーの3色が発売されます.「デュラテクト」と名前がつくモデルは天板と底面のチタン製パーツのコーティングが強化されており傷がつきにくくなっています.3色とも見てから購入機種を判断しようと思っていたのですが、やはりX-Proシリーズはブラックだろうという思いと、ボタンやダイヤル内部のパーツ類がブラックを基準に色決めされているように感じられたので、現物を見ずにブラックで予約を入れて購入しました.

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FUJIFILM X100F

 上面.X-Pro3になって批判を受けている部分その1.前述したように天板と底板がチタン製になったのですが、チタンの加工精度の問題から若干の歪みや光の加減によっては塗装が波打っているようにも見えます.自分のモデルもシャッター速度ダイヤルと露出補正ダイヤルの間のあたりに塗装の波打ちを見ることができますが、実際に使ってみるとそれほど気になりません.購入するまではどうなのかなと思っていたのですが機能上の問題でもないですし、大した問題ではありません.
 また、チタンの加工精度の難しさからくる問題としてもう一つ、X-Pro2までは型番の表記が刻印に白の墨流しをしていたものがX-Pro3ではプリントのようなものになっています.X-Pro2に比べるとちょっと高級感にかける部分でもあり、こちらは残念だなと思いました.
 操作系は上面に関しては従来とまったく変わるところはありません.
 サムレストはレンズメイトのX-Pro2用のものを使っていますが、メーカーからもX-Pro2用のものをX-Pro3に使った場合に干渉などのリスクがある旨の案内が出ていますので、あまり推奨されない感じです.自分の場合にはとくに干渉しているようにも見えないのですが、X-Pro3用が出たら差し替えようかなとは思っています.

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FUJIFILM X100F
(ファインダ部分のみぼかし加工)

 背面.X-Pro3になって批判を受けている部分その2.デジタルカメラのアイデンティティともいえるモニタが隠されています.必要な機能なのにわざわざ隠して不便にしなくてもいいのに…… という批判が多く、自分も購入まではこれはどうなのかなと思っていました.富士フイルムの開発者の弁としては、いちいち撮影するたびにモニタを確認するのは撮影に集中できていないのではないかという考えがあって、隠すことにしたようです.
 ではモニタを格納した代わりになにを装備したかといえば、真四角のメモリ液晶を搭載し、使用しているフィルムシミュレーションを模したイラストが表示されます.かつて、フィルムカメラで撮影していた時には使っているフィルムがなにであるかを覚えておくかわりにフィルムのパッケージの切れ端を差し込んでおくポケットがありました.それを再現したものだそうです.自分もフィルムカメラの時代から写真を撮っていますが、自分がカメラを触るようになった頃にはこの風習は途絶えていた(かわりに日付を写し込むデートバック機能がここに付いていたのと、フィルム確認窓があった)ので、懐かしさのようなものはとくに感じないですね.いちおう、ISO感度やホワイトバランスの表示もしていますが、おまけ的な機能の域を出ていないような感じではあります.
 フィルムシミュレーション表示ではなく、シャッター速度などの情報を表示させることもできるのですが、富士フイルムのカメラは大半の操作をダイヤルで行うためにわざわざモニタで確認しなくてもダイヤルで一目瞭然なのでそちらも必要性があるかどうか、という感じではあります.

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FUJIFILM X100F

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FUJIFILM X100F

 とはいえ、こうしてフィルムシミュレーションに応じて表示が切り替わるギミックはなかなか楽しいものがあります.こうしたお遊びができるのも、フィルムメーカーならではではないでしょうか.

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FUJIFILM X100F
(ファインダ部分のみぼかし加工)

 液晶モニタを開いたところ.ヒンジの自由度はさして高くなく、下面に開くのみです.もちろん開いた状態でライブビュー撮影は可能です.ローアングルでの撮影には重宝しますね.
 X-Pro3になって批判を受けている部分その3として、モニタ横にあった十字キーが廃止されています.そのため、十字キーに割り当てられていた機能の割り当てができなくなりました.解決策として、タッチ操作可能になったモニタで左右のフリックで機能を割り当てることができるのですが、ふだん隠されている液晶に機能を割り当てられるといわれても、その都度蓋を開けて操作するのも現実的ではない気がします.
 自分の場合は設定を切り替えることが多いのは、「プリセットの切り替え」「ホワイトバランス」「アスペクト比」「フィルムシミュレーション」それからピント確認用に画面の拡大なので、それぞれ別のボタンに割り振ることで解決しています.

 さらにX-Pro3になって批判を受けている部分その4.X-Pro系のファインダは光学ファインダ(OVF)と電子ビューファインダ(EVF)を切り替えることができるようになっているのですが、拡大レンズを使って表示可能な領域を広げていたOVFが拡大レンズを廃止し(そのかわりクリアで見やすくなったといわれています)、広角側は23mmからしか対応しなくなってしまいました.これはちょっと困りもので、従来どおり16mmから対応してもらいたかったところです.スナップ用途で使うことの多いカメラなので、せめて35mm換算で約28mm相当の18mmからは対応してほしかったのですが.なんでもX-Pro系のユーザにアンケートをとったところ、かなりの率でEVFメインで使っているとの回答があったとかで今回はEVFの性能を拡充させてOVFは二の次という扱いになったそうです.自分はOVFメインで撮影しOVFのファインダ枠が見づらいときや厳密なフレーミングをしたいときだけEVFを使っていたのですが、そういう使い方は少数派だったようです.
 結果として、EVFメインで使うようになったのですが、フレーム外のものが見えないことでシャッターを切ると意図しないものが入り込んでしまうなど問題が生じています.
 なお、OVFを犠牲にして性能アップされたEVFですが、X-Pro3からは有機ELになり解像度も上がるなど確かに性能アップされています.
 ファインダ周りでよくなった点がもう一つ.視度補正ダイヤルがやや奥に引っ込んだので不用意に回ってしまうことが現状なくなりました.X-Pro2のときは服などと当たって視度補正ダイヤルが回転してしまい、ファインダを覗くとぼやけているということがありましたが、これからはなくなりそうです.

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FUJIFILM X100F

 底面.うっすらと「TITANIUM」の表記が見て取れます.また、従来のX-Proシリーズ同様に「MADE IN JAPAN」の表記があります.X-Pro2までは背面に白文字で書かれていて、わざわざこんなアピールしなくてもいいのにと思っていたのですが、ようやくこのような表示になりました.また、X-Pro2までは型番などのラベルがバッテリ蓋部分にあって目立っていたのですがそれがなくなりすっきりとした印象です.
 バッテリは従来と同じNP-W126S.マイナーチェンジ前のNP-W126も使えますが、電源を入れるたびにバッテリ寿命が短くなるから126Sを使うようにというメッセージが出てちょっと煩わしいですね.バッテリ寿命が短いのは承知の上で普通に使わせてくれればいいのですが.

 その他のハード面の特徴としては、
・センサーの強化と画素数のわずかなアップ
・デュアルスロット(X-Pro2ではスロット1のみUHS-II対応だったのが両方とも対応になった)
・インターフェイスの刷新(USB-C対応、HDMI端子は省略)
といったところでしょうか.HDMI端子が省略されたのもちょっと批判されていますが、USB-C端子から変換してHDMIにいけたりしないのでしょうか.
 もう一つ、ハード面の特徴といっていいのかわかりませんが、本体充電ができるようになったためか充電器が付属していません.まがりなりにもメーカーとしてフラッグシップ扱いとなっているモデルなのですから、そのようなところでケチらないでほしいものです.X100F用のものが使えるのでそれを使っていますが、おそらくこの調子ではX100Fの後継が出たら充電器は付属しなさそうな気がします.

2019/10/20

セイコー アルピニスト SARB017

Category: 物欲 — Annexia @ 15:42

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FUJIFILM X-Pro2 + XF60mm F2.4 R Macro

 腕時計を1本購入しました.セイコーのアルピニストSARB017です.
 「by Seiko watch design」「セイコー史上、最も謎めく緑の時計。」というコンテンツを読んで気になっていた製品です.
 5月にプレザージュSARX041を購入するときにも迷っていた1本なのですが、2018年にはカタログ落ちしており、5月の段階では在庫もなかったこともあって、そのときは同じくカタログ落ちして在庫も尽きかけていたSARX041を購入しました.
 その後、どういうわけかAmazonで在庫が何度か復活するようになったのですが、どのみち新品在庫が入荷しなくなるのは時間の問題だろうということで購入に踏み切ったという次第です.購入価格は4万円.国産の機械式時計ということを考えると自分には安価に感じられます.

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FUJIFILM X70

 SARB065との比較.文字盤が小さく、デザインも相まってクラシカルに見えます.

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FUJIFILM X70

 初期状態のバンドは焦げ茶色のクロコダイル型押しのカーフ.硬くて腕のカーブにフィットしないなど、あまり評判のよくないバンドで、個人的にもクロコダイルの型押しがやや安っぽく感じられたこともあって交換することにしました.なのでこのベルトは1回も使っていません.

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FUJIFILM X-Pro2 + XF60mm F2.4 R Macro

 少し明るめの、型押しのないカーフのベルトに交換しました.
 また、尾錠は一般的な穴通しするタイプのものでベルトが傷みやすいので、ベルト幅の狭いバンドを使っている都合で余らせていたSARB065のDバックルを流用しています.
 グリーンの文字盤にゴールドの配色という、あまり見かけない、自分でもなかなか選ばないタイプの色合いですが、光に反射したグリーンが美しく気に入っています.
 ちょっと残念なのは、先代のアルピニストまでは文字盤にデザイン文字で「Alpinist」と入っていたのですが、それがなくなってしまったこと.
 あともう一つ、とても細かなところなのですが、キャリバー6R15は6振動なので1秒を6分割して針が進むのに対して文字盤の刻みが5分割になっていること.手持ちの他のセイコーの機械式時計はすべて振動数にあわせて刻みが設計されているので、なぜこのようなデザインにしたのか、ちょっと疑問が残ります.

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FUJIFILM X-Pro2 + XF60mm F2.4 R Macro

 裏面はシースルーバックにはなっておらず、中央部分にアルピニストのロゴが刻印されています.
 セイコーの腕時計は6桁の製造番号のうち、1文字目が製造年、2文字目が製造月を意味しています.この場合は「96」で2006年に販売開始されたので、2009年または2019年の6月製造ということになります.2018年の段階でカタログ落ちしていることを考えると2009年の製造でしょうか.Amazonの在庫がときおり復活しているのは、どこかから販売店の在庫を引き上げてきて売っているのではないかという説がありますが(直近のレビューでいかにも他人が触ったあととおぼしき製品が送られてきたとか、保護フィルムがなかったとかが多く、実際に自分のものもフィルムの類はなかったです)、10年ほどデッドストックされていた製品なのかもしれません.ちなみに日差+5秒ほどでかなり正確なのでデッドストックの影響はなさそうです.

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FUJIFILM X-Pro2 + XF60mm F2.4 R Macro

 「アルピニスト」の名が示すように、通常よりもハードな環境に耐えられるように20気圧防水になっています.そのため竜頭はねじ込み式です.また、もう一つダイヤルがついていますが、これは簡易方位磁石機能のためのものです.まあたぶん使うことはないでしょう.

2019/07/07

コロナ 除湿機 CD-S6319

Category: 物欲,電化製品 — Annexia @ 21:14

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FUJIFILM X70

 コロナの除湿機CD-S6319を購入しました.

 除湿機には「デシカント式」と「コンプレッサ式」の2つの方式があります.
 デシカント式は乾燥剤を用いた方式で、乾燥剤から水分を取るのにヒーターを使用するために熱風が出てきて室温がかなり上昇します.温度に左右されづらいので、冬場でも除湿能力は高いです.
 コンプレッサ式はエアコンに似た方式で空気を冷却して水分を取り出す方式です.室温はやや上昇しますがデシカント式ほどではありません.冷却して水分を取り出すので、冬場に結露対策として用いるのには不向きとされています.

 除湿機はすでに1台パナソニックの製品を持っているのですが、これはデシカント式です.冬場の結露対策も重要視していたのと、室温が上昇するといってもそれほどではないだろうとたかをくくってこちらの方式を選んだのですが、夏場に熱風が吹き出すものを室内で稼働させるのはなかなか辛いものがあります.エアコンを同時に稼働させればいいのですが、なんていうかあんまり賢いやり方には思えませんし.
 そこで、やはりコンプレッサ式のものを買おうということでこの製品を購入しました.置き場所の問題もあるので、それまで使っていたデシカント式のものは粗大ゴミとして出そうかと思っていたのですが、コンプレッサ式除湿機の冬場の結露対策の性能がどれくらいのものか読めない状況でもありますのでいったん残すことにしました.

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FUJIFILM X70

 機能的には除湿と衣類乾燥に分けられますが、自分が使うのは除湿のほうですね.梅雨の時期は室内干しもしますが、室内を除湿していれば自ずと室内干ししているものも乾燥しますので、まあそれでいいかなと.
 外が雨の時期は基本的に自動モードで運転しっぱなしです.ちなみにタイマーをセットしていなくても24時間なにも操作しなければ自動で電源オフになるそうです.ただしその前に3Lの水タンクが満水になって停止するとは思いますが.
 動作音はそれなりにしますが、音楽とかをかけていれば気にならないレベルです.
 音よりも気になったのが振動でしょうか.床を伝って微振動のようなものを感じたので防振ジェルを下に敷くことで対処しました.ところが、そうすると今度は排気口(フィルタが付いているので取り外しできるようになっている)がカタカタと共振し出したので、隙間にティッシュを挟んで対応しました.
 肝心の除湿性能ですが文句なしです.室温の上昇についてもデシカント式に比べたらはるかに控えめです.
 ちなみにエアコンのドライ機能というのもありますが、あれも「弱冷房除湿」と「再熱除湿」と2つの方式があるそうです(メーカーと価格帯によって搭載している方式が異なる).