2024/09/01

FUJIFILM X100VI

Category: カメラ・写真,物欲 — Annexia @ 21:06

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Apple iPhone 13mini

 富士フイルムのX100VIを購入しました.
 X100シリーズは3代目のX100Tから、X100F、X100Vと買い換えて今回のX100VIで4台目です.

 代々買い替えてきたうえに、X100FとX100Vにいたっては予約受付開始と同時に注文を入れて発売日に購入するほどに気に入っていましたが、今回はいくつかの理由により買うのを躊躇していました.
 1つ目は価格.今回のX100VIは発表当時の予定価格が28万円と、円安の影響もあってかX100Vと比べて10万円以上も高額になっており、X100Vを下取りに出しても相応の額を支払うことが想像できました.
 2つ目は極度の品不足.X100Vはモデル末期に品不足に陥り、注文を捌ききれずに販売終了となってしまいました.その品不足状態がそのままにX100VIに予約集中し、一説には100万台もの予約が入ったとニュースサイトに出ていました.100万台は大げさだとしても、それなりの台数の予約が入っているであろうことは想像でき、そうなると湧いて出てくるのが転売屋です.その結果、事態はさらに混乱の状況に向かいます.転売屋対策なのか多くのカメラ店や量販店は抽選販売を行なっていましたが、群がる転売屋を見分ける術もないですし、倍率はかなり高かったようです.
 3つ目は機能面.ひとめでX100シリーズとわかる外観は初代から大きく変わっていなく、では中身はどこか変わったのかといえば、画素数が2,600万画素から4,000万画素に増加、手ぶれ補正機能の搭載、映像処理プロセッサの更新、といったところです.画素数アップも手ぶれ補正機能搭載も大きな機能追加ではありますが、こうした順当な機能追加だけではない興味を惹く「なにか」が欲しいなと感じました.

 以上のような理由により静観していましたが、極度の品不足が続くにつれて奇妙な事態に発展します.
 まず、X100VIの品不足により中古価格が新品価格を10万円以上も上回るようになりました.新宿のマップカメラでは新品の販売価格よりも中古下取り価格が高くなり、極端な話をすると抽選販売で当選した人が購入後に即売却をしただけで数万円の利益が出るようになりました.もちろんカメラ店だけでなくフリマサイトなどでも高額での販売が相次ぎました.転売屋の草刈場の誕生です.
 ただ興味深いのは、新品の売価を下取り価格が上回るのはおかしいと考える店舗もあり、中野のフジヤカメラでは買取価格は新品価格をギリギリ下回るように設定されていました.個人的に支持したい姿勢でもあり、一種の店としてのプライドのようなものを感じました.
 そしてこのX100VIの品不足につられるようにして、X100Vの中古価格も高騰していきました.2020年の発売当初の金額は16万円程度だったというのに中古価格は30万円を超えるようになりました.もちろんそうなると買取価格も上昇し、24万円ほどにまで到達するようになりました.
 その結果、なにが起きたかというと、買うのを静観していた理由のひとつ『X100Vを下取りに出して十数万円を追加してX100VIを手に入れるに見合う価値があるとは思えない』の『十数万円』の追加額が大幅に下がることを意味します.これで買うハードルがぐっと下がりました.
 こうなったらあとは調達するだけ…… ということで、昨今お世話になることの多い中野のフジヤカメラの抽選に申し込み、2度目の抽選で当選したのでX100Vを下取りに出してX100VIを入手してきました.差額は12,000円ほど.下取りに出してさらに十数万円支払うのは微妙だと考えていましたが、この程度の差額で画素数が上昇し手ぶれ補正がつき、もろもろアップデートされたと思えば安いものです.
 しかし、4年半使用したカメラが購入当時よりも8万円ほど高値で下取りされたり、その前にも7年使ったX70がかなりの高価格で下取りされるなど、いくら品不足とはいえ富士フイルムの製品価格はなんだかおかしなことになっているなという印象です.
 もっとも、この購入から1ヶ月が経過し、徐々にX100VIの供給がなされるようになるにつれてX100Vの需要も落ち着いてきたらしく、1万円程度の価格で買い替えるのは難しくなりました.狙ったわけではないのですが、いちばん旨みのある時期に買い替えできたようです.

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Apple iPhone 13mini

 X100Vで使用していたストラップ、サムレスト、フード、レリーズボタンなどをX100VIに移し替えました.
 ストラップやレリーズボタンはメーカー問わずほぼ共通化されているので移行できるのはそれほど不思議なことではないのですが、レンズユニットが共通のためフードもフィルタも流用でき、さらにボディ外観も同じということでサムレストまで流用できるのは出費を抑えられるという点では大きなメリットです.

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Apple iPhone 13mini

 外観上の違いは上面の機種名の表記と、正面のOVF/EVF切替レバーのデザインくらいでしょうか.従来機でもデザイン的には完成されていると思いますし、目新しさを出したいがために下手に手を加えたりしないところは好感が持てます.
 あとは背面モニタの下面へのチルト角度が拡大されたらしいのですが、ほとんどチルトさせたことがないのであんまり違いがわかりません.

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FUJIFILM X100VI
23mm f/2.0 1/160秒 ISO125

 カメラやレンズを買っても、自宅まで開封せず持ち帰ることなどできない悪い子なので、フジヤカメラと同じ建物にあるルノアールにて開封.よって、試し撮りもこのようなものを.
 フィルタがBLACK MIST No.05なので、若干ふわっとした描写になっています.

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FUJIFILM X100VI
23mm f/5.6 1/450秒 ISO125

 4,000万画素という高画素数のカメラを自分が手にするのはX100VIが初めてです.2,400万画素程度あれば十分と自分は考えていることもあり、さらにAPS-Cサイズセンサで4,000万画素などオーバースペックだろうと思っていたのですが、f/5.6まで絞って建築物などを撮ると画素数のメリットとして精細な描写だなと感じますね.

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FUJIFILM X100VI
23mm f/5.6 1/34秒 ISO640

 信号機周辺の光の滲みがBLACK MISTらしさを感じます.
 個人的にはNo.05でもやや効果が強いかなという印象を受けましたので、帰宅後プロテクトフィルタに交換しました.しかしながら最近ではプロテクトフィルタ的に使えてごくわずかに滲ませるようなBLACK MIST系の製品も出ているそうなので、ちょっと気になるところです.

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FUJIFILM X100VI
23mm f/2 1/75秒 ISO500

 試し撮りと同じような構図ですが、フィルタをプロテクトに交換して撮影.レンズはX100Vと同じものなので描写の違いは感じられず、マクロ域でもBLACK MIST No.05使用時ほどではないですが若干ふわっとしており、このくらいの画質が好みですね.またAPS-Cセンサで23mmレンズとなりますので、絞りF2解放でもそこまで大きくはボケません.

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FUJIFILM X100VI
23mm f/2.8 1/30秒 ISO500

 1段絞るだけでもふわっとした描写は収まってシャープになります.さらにもう1段絞ればもっとシャープになるなど、X100Fまでのレンズほどではないものの絞りによる変化を楽しめます.

 旅先などで食べ物の写真を撮ることが多いので、以前のモデルからずっと「Food」と名付けたカスタム設定を作成しています.今回のX100VIからは少し設定に手を加えてAF-Cで追尾AFを使うようにしました.AF-Cで追尾AFを使うことでピントを合わせたい部分をセンターでロックしたあとでフレーミングしなおしても合焦位置をキープし続けるのでAF-SでフレーミングしながらAF位置を移動させるよりも素早く撮影でき、せっかくの料理を冷ましてしまうようなことがありません.
 ただしデメリットもあって、ファインダを覗いて撮る場合にOVF(光学ファインダ)でERF(右下にピント位置画像をEVF表示させる機能)が表示されません.もっとも、マクロ域ではOVFはフレーミングの正確性が落ちるため使用しないので大きな問題ではないですが.
 また技術的な制約なのか、AF-C動作時はシングルポイントAFであればERF自体は表示されますが、ERFの拡大率が変更できないという制約があるので、食べ物撮影時以外の通常撮影ではAF-S + シングルポイントAFにて撮影しています.

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FUJIFILM X100VI
23mm f/5.6 1/9秒 ISO500

 上野駅地下ホームで撮影.薄暗い場所ではありますが、手ぶれ補正が効果を発揮して、1/9秒でシャッターを切ってもぶれないのでISO感度500で撮影できました.

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FUJIFILM X100VI
23mm f/5.6 1/15秒 ISO12800

 深夜の海ほたるPAにて撮影.かなり暗くてISO感度が自分が設定した許容値上限の12800まで上がっていますが、不満のない画質です.ざらついているように見えるのは、高感度ノイズよりも富士フイルムのカメラならではの画質設定機能であるグレインエフェクト(フィルムの粒状感を再現するもの)の影響が大きいかもしれません.

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FUJIFILM X100VI
23mm f/5.6 1/15秒 ISO3200

 同じく海ほたるPAにて撮影.フィルムシミュレーションはETERNAブリーチバイパス.ETERNAが映画用フィルムのシミュレーションということもあって色乗りが浅く個人的に扱いが難しい印象だったのですが、それに加えてブリーチバイパス処理(銀残し処理、自分も詳しくはわかりませんが)をシミュレートしたものということでさらに癖の強さを感じます.とはいえ、設定をカスタマイズしうまく使い込むことで好みの色合いを引き出せそうな気がします.
 X100Vと比較してフィルムシミュレーションはREALA ACE、ノスタルジックネガ、ETERNAブリーチバイパスの3つが追加されましたが、REALA ACEが普段使いできるものであるのに対して、ETERNAブリーチバイパスはここぞというときに使う設定のように感じられました.

 前機種であるX100Vと比べて10万円以上高額にもかかわらず発売から5ヶ月経過後もいまだに供給が安定していないということで、性能面よりも入手性や価格で話題に出ることの多い製品ですが、カメラとしては極めて完成度が高いと感じました.そもそもX100シリーズは代々、完成度を高めてきたので、その積み重ねの先にあるモデルとして高い完成度の製品に仕上がっているのは想定通りともいえます.
 複数台のカメラを所有してはいますが、どれか1台だけ残すとしたらX100VIを選ぶのではないかと思うほどに気に入っています(Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2と迷いますが……).好みの画角、手に馴染むサイズ感、光学ファインダと電子ファインダの融合という無二の存在、そして画質の良さと、とりあえずこれ1台あれば旅に出ても撮影に困ることはほぼないでしょう.