2012/06/10
GR DIGITAL IV購入から2週間弱ですが、もろもろ撮影したものを見ての感想など.

RICOH GR DIGITAL IV
ISO160 F1.9 1/1520秒 ダイナミックレンジ補正:中 画像設定:ポジフィルム調
GR DIGITALシリーズで素晴らしいと思うのがやはりレンズのよさ.単焦点レンズということもあって、歪みの少ない描写は魅力的です.

RICOH GR DIGITAL IV
GRD4から搭載されたのがダイナミックレンジ補正.GRD3でも似たような機能が装備されていましたが、そちらは2枚撮影して明暗を調整するものでした.それだと動きのある被写体や構図に少しでもズレがあると違和感のある写真ができてしまいます.1枚だとそうした不自然さがない写真ができあがります.
左上、右上、左下、右下の順で「補正なし」「補正:小」「補正:中」「補正:大」.
右側のビルや中央のガード下などに効果が出ています.

RICOH GR DIGITAL IV
ただし、デメリットもあります.ダイナミックレンジ補正をかけることでISO最低感度が125、160、200と上がり、また最高感度も2500、1600、1250と下がってしまいます(ダイナミックレンジ補正オフの場合、最低80、最高3200).
最低感度が上がることでややざらついた画質になることもさることながら、日射しのある日中だと絞り込まないと露出が合わなくなります.
GRD4のような撮像素子が小さなカメラで絞りすぎると、回折してぼやけた画像になってしまいます.上の写真の一部を切り出したものですが、左上から順にF3.5、F4.5、F5、F5.6です.F5.6までくると顕著にぼやけます.
便利な機能ではありますが、常時オンで使うのは避けたほうがよいかもしれません.

RICOH GR DIGITAL IV
ISO80 F5.6 1/2000秒 画像設定:ポジフィルム調
GRD4になって改善されたといわれているのが空の青さ.初代GR DIGITALで好評だったものを再現したとかいう話をどこかで読みましたが、たしかにいい色が出ると感じました.
が、前述のように絞りすぎによる回折が出るのでなんらかの対策がほしかったところです.GRD4にはNDフィルタが内蔵されていますが、F8以上絞り込んだときに補助的に使っているだけなので、もっとユーザ側で積極的に使えるようにできればいいのにと思いました.

RICOH GR DIGITAL IV
ISO192 F2.5 1/32秒 画像設定:ポジフィルム調
GRD3から導入されたオートホワイトバランスの強化版「マルチパターンAUTOホワイトバランス」.さらに改善されているような印象です.
窓からは夕陽が入り、店内の照明もある複雑な状況ですが、絶妙な色調になりました.もちろんイマイチなこともありますが、ホワイトバランスを手動で取らないとダメな状況は減っていると思います.

RICOH GR DIGITAL IV
ISO766 F1.9 1/15秒 画像設定:ブリーチバイパス
GRD4から追加された画像設定に「ポジフィルム調」と「ブリーチバイパス」があります.また、GRD3ではSCENEダイアルでしか撮影できなかった「クロスプロセス」「ハイコントラスト白黒」も通常の撮影モードで使えるようになりました.
素晴らしいのは、「画像設定ブラケット」ができること.1枚撮影するだけで3つの画像設定の撮影ができます.
自分はポジフィルム調は通常撮影モードとして使用し、画像設定ブラケットには「ブリーチバイパス」と「クロスプロセス」をセットしてあります.
ブリーチバイパスは人工物を撮ると、いい感じでドライさが出てよく馴染みます.

RICOH GR DIGITAL IV
ISO160 F1.9 1/1070秒 ダイナミックレンジ補正:中 画像設定:クロスプロセス

RICOH GR DIGITAL IV
ISO80 F2.5 1/104秒 画像設定:クロスプロセス
クロスプロセスは癖がよくつかみ切れてないので扱いが難しく感じられます.
植物を撮ると案外よく合うような気がしました.
画像には表れない違いですが、GRD3からGRD4になって最大の進歩を感じたのはAF速度です.GRD2、GRD3での最大の不満が解決されました.
GR DIGITALシリーズもこれで4代目.めざましい進歩というわけではないですが、ユーザの希望をくみ取って、かゆいところに手が届くような着実な進歩をしています.日々持ち歩く1台としては、個人的には他は考えられないですね.
2012/06/08
ソニーの業務用イヤホン「MDR-EX800ST」を購入した話は以前にも書きました.音質は非常に気に入っているのですが、唯一不満なのがケーブル.胸ポケットにiPhoneを入れている自分としては1.6mのケーブルはちょっと長すぎます.
しかしこのイヤホン、ケーブルだけ交換することができて、通常の市販モデルであるMDR-EX600やEX1000と互換性があります.これらの製品には0.6mという短めのケーブルが用意されているので、それを取り寄せてみました.

RICOH GR DIGITAL III
取り寄せたのは、MDR-EX1000用の0.6mケーブル、RK-EX1000.ケーブルだけだというのに4,000円ほどしました.下手なイヤホンが買える値段です.

RICOH GR DIGITAL III

RICOH GR DIGITAL IV
標準添付のケーブルと比べてみました.単純に長さが違うだけでなく、
・ケーブルの質(標準添付:OFCリッツ線、EX1000用:7N-OFCリッツ線)
・ステレオミニプラグの形状(標準添付:L型、EX1000用:ストレート)
・イヤホン取り付け部分(標準添付:ネジ部分が金属(金メッキ?)で左右が青赤で区別、EX1000:プラスティックで左右が白赤で区別)
・耳かけ用パーツ(EX1000用のほうが長い)
というような違いもあります.
わざわざこれだけの作り分けをする理由はなんなのでしょう?
付け替えてみると、若干短すぎるきらいはあるものの、標準添付品のようなもてあます長さがないので快適です.
ケーブルが異なるので(EX1000用のほうが純度の高い高品質ケーブル)違いがあるのか気になって聞き比べをしてみたのですが、EX1000用のほうが低音が出る感じですね.それから、やや音の広がりが狭くなった印象です.
しばらくEX1000用ケーブルを使っていたのですが、試しに標準添付品に戻してみたところ、やはりこっちのほうがバランスが取れている気がしました.とくに左右の音の広がりは違いを感じます.

RICOH GR DIGITAL IV
で、結局標準添付品に戻してしまいました.とはいえ、ケーブルの長さは解決されないので、コードラップでまとめてお茶を濁すことに.
標準添付のケーブルのほうが細くて安っぽい作りなのですが、そのほうが音のバランスがよいのは意外な感じを受けたと同時に、きちんと考えてケーブルを選んでいるのだなと思いました.
2012/06/07
会社と渋谷駅の間に位置する「渋谷ヒカリエ」.
そこに入っている「d47食堂」に行ってきました.
d47食堂は「D&DEPARTMENT PROJECT」が運営している店舗で、日本中の名品・名産などを発掘してきて紹介し食材に使っています.d47の47は都道府県を意味します.

RICOH GR DIGITAL IV
ヒカリエの8階にあるので渋谷駅周辺を一望できます.が、今回は一人で行ったため窓側ではなくテーブルの小さな内側に案内されたため席から外の撮影はできず.
メニューは各都道府県ごとの食材にわけて用意されており、今日は北海道、栃木、群馬、富山、静岡、大阪、香川、長崎、鹿児島がありました.

RICOH GR DIGITAL IV
注文したのは「静岡 富士朝日鶏の唐揚げ定食」.静岡県富士朝日鶏のもも肉をつかった唐揚げと、黒はんぺんの小鉢、そしてサラダと味噌汁、漬け物.
写真だと手前から撮った関係で小さく見えますが、大ぶりの唐揚げが4,5個.これがしっかりとした味付けで肉が軟らかくとても美味しい!味噌汁も油揚げやわかめ、タマネギなど具材がたっぷり入り、だしもきいていてこれまた美味しい!小鉢も美味しく(もうちょっと黒はんぺんが大きければなおよし)、ご飯も美味しいし、いうことなしな感じです.
定食として見れば結構なお値段(1,470円)なのですが、丁寧な料理をしている感じが伝わり、毎日は食べられないけどちょっとした贅沢をしたいときにはいいんじゃないかなと思いました.

RICOH GR DIGITAL IV
ごちそうさまでした.
2012/05/31
GR DIGITAL IVを購入しました.
GR DIGITALシリーズはII、IIIと使い、このIVで3台目です.それぞれ前機種を下取りにして買い換えてきました.
IIIもIVもそうですが、出た当初に飛びつくのではなく、半年以上様子を見て値段がこなれたところで購入しています.今回のIVについては発売当初の価格は8万円近かったので、5万円程度まで落ちてきたら買おうと決めていました.IIIの下取り価格が22,000円程度になったので、支払金額は3万円以下でした.

Apple iPhone 4S
GR DIGITAL IVの外箱.デザインはGR DIGITAL II/IIIと変わらないです.ただし、II/IIIのように筒状の化粧紙がなくなり、簡素化され、少し小さくなっています.
私には関係のないことですが、家族など周囲の視線が気になって目立つ買い物のできない方々にしてみれば、本体も外箱も新旧それほど変わらないのは朗報といえるかもしれません.
新宿のマップカメラで購入し、店を出たらすぐ近くのドトールに入ってカフェラテなんぞを飲みながら開梱してセットアップをします.IIIのときと同じです.

RICOH GR DIGITAL IV
とりあえず目の前にあるものを1枚.
・・・と、ここまではよかったのですが、帰りがてら新宿駅前の夜景を撮ったところで最初の疑問が浮かびました.ピントが合わない?いや、IIIではブレずに撮れていたシャッター速度なのにブレている.まあ夜景だしブレもするわなと思って帰宅して、液晶保護フィルムを貼ったりグリップを貼り替えたりしてから再度室内を撮ってみると、やはりおかしい.
IVからは手ブレ補正機能が搭載されたのですが、毎回ではないのですがシャッターを切るタイミングで内部で強く振動することがあるのです.これでは「手ブレ補正機能」ではなく「手ブレ機能」です.手ブレ補正機能をオフにすると振動は起きません.どうやら初期不良のようです.
仕方がないので、翌日もまた新宿に出向いて店員に事情を説明すると、店員も実際に試し撮りをしておかしいと納得してくれました.が、そこに売られていた中古機数台を試してもやはりどれも多少の差違はあるものの振動します.
なにをもって正常と見なすかがあやふやな状況になってしまったので、翌日店からリコーに確認してもらい、その返答をもらって判断することにして交換などをせずに店を出ました.
翌日.店からの電話によると、シャッターを切ったときに振動するのは手ブレ補正のためイメージセンサが動いているからであり正常な動作であるとのこと、また一般的に手ブレ補正をオンにするほうが手ブレは軽減できるはず、との返答.これ以上は店としても判断が難しく、リコーも現物を見ないと判断ができかねるとのことなので、銀座のサービスセンターに持って行くことにしました.
余談ですが、リコーのサービスセンターは行きづらいですね.たまたまこの日が振替休暇で平日に休みをもらっていたからよかったようなものの、土日祝日休みでしかも17時には閉まってしまうのは一般的な会社勤めには敷居が高すぎます.
事情を話して実機を渡してしばらく待っていると、どうも状況が再現できないとの返答でした.毎回発生するわけではないこと、そして斜め上のものを撮ろうとすると発生しやすいと伝え、さらにしばらく待った結果、新品と交換という結果になりました.
「きちんと検査してある製品です」という、なんとも含みのある言葉とともに出された新しいIVは試し撮りしたところ振動も少なく、半押し時の感触も違いました.

RICOH GR DIGITAL IV
とりあえず斜め上を向いて撮影.
GX100でしょうか.何かの用途に使われています.監視カメラ的な使われ方でしょうか.
非常に丁寧な応対をしていただき、しかも液晶保護フィルムも貼ってあるかどうかを尋ねられ、貼ってある旨を告げると新たなフィルムまで頂くことができました.
そのときに聞いた興味深い話なのですが、
・GR DIGITALは今まで手ブレ補正機能はいらないというスタンスできており、今でもその姿勢はあんまり変わっていない(他社との競合や、いろいろな外的理由からつけたという感じ)
・センサーシフト式で手ブレ補正をしているが、人間の手の動きを完全に把握して動いていることばかりではないので、うまく機能しないこともある
・どちらかといえば初心者向けにつけた機能であり、初心者が明るいところで手を動かしながら撮ってもブレないというところを重視しており、低速シャッターでブレを防ぐという方向性ではない
・旧機種を使い慣れているのであれば、むしろ手ブレ補正をオフにすることをオススメする
という感じだそうです.
センサーシフトに一日の長があるオリンパスやペンタックスには叶わないといったところでしょうか.次のGR DIGITAL Vには合併したペンタックスの技術が入ってくるのでしょうか?
とりあえず自分は手ブレ補正機能はオフにして使うことにしました.
というような感じで、多少の紆余曲折はあったものの、無事に購入することができました.

Apple iPhone 4S

Apple iPhone 4S
上がIII、下がIV.ぱっと見では区別がつきませんね(IVのグリップは貼り替え済み).
外観上の主な違いは、
・パッシブセンサーの窓がついた
・レンズ周りに手ブレ補正を意味する「VC」の文字が入った
・ホットシューがわずかに低くなった
・背面のカーソルボタンの形状が変わり、グリップが広がった
機能的な違いは、
・AFの高速化
・手ブレ補正機能がついた
・背面の液晶がRGBに白が付加され非常に見やすくなった
・電子水準器が水平だけでなく垂直方向にも対応した
・画像設定で「ポジフィルム」「ブリーチバイパス」が追加された
・1枚の画像からHDR的な画像を作る「ダイナミックレンジ補正」機能
・EYE-FI対応(メニューからON/OFFが可能)
あたりでしょうか.
ハードウェア的にはハイブリッドAFの搭載、手ブレ補正機能と液晶の強化、水準器センサーの二軸化以外には大きな変化はなく、高速プロセッサを積んで画像処理系を強化している印象です(インタビュー記事によると中身は大幅に変わっているそうですが).とはいえ、IIIから買い換えをしたくなる、絶妙なかゆいところに手が届く変更をしているあたりはさすがといわざるをえません.
設定メニューの多さは相変わらずです.ざっくり数えたら80項目くらいありました.
IIIのときに作ったExcelの表をIV用に変更しながら設定しましたが、かなり時間がかかりました.とはいえ、これをしないと自分の手に馴染むGR DIGITALにはならないので、重要な儀式のようなものといったところでしょうか.
2012/05/30

RICOH GR DIGITAL IV
今日は休みをとって、お台場にある日本科学未来館に行ってきました.

RICOH GR DIGITAL IV
今回のお目当てはこちら、企画展「世界の終わりのものがたり」です.
3月10日から6月11日までの期間限定の展示で、どうしても見たかったのですが、会期ギリギリになってようやく見に来ることができました.
「もはや逃れられない73の問い」というサブタイトルが示すように、会場内に入ると、質問の書かれた三角柱がそこかしこに立っています.
「始まり」・・・生、スタートは華やかで晴れ晴れとしたものですが、「終わり」・・・死、終了はタブーであり触れたくないものです.そこにあえてテーマを定め、普段であれば考えたくもない事柄に正面から向き合う、そんな展示です.
テーマは大きく分けて4つ.
1. 予期せぬ終わり
2. わたしの終わり
3. 文化の終わり
4. ものがたりの終わり
「1. 予期せぬ終わり」はたとえば、自然災害、不慮の事故などで自分があとどれだけ生きることができるか、その残された時間になにをするか、またそれから逃れるべく行動をするかということを問うています.
リスク.巨大な津波は1,000年に1度だけどそれを避けるために山の中で暮らすのか.首都直下型地震は200年に1度だけどそれを避けるために便利な東京から離れるのか.交通事故のために車に乗らない?火事が怖いから火を使わない?どこまで安全のために距離を置くのか.
危険が予知されてから残された時間.交通事故ならば2秒、地震速報なら5秒、航空機事故ならば数分、津波は30分、隕石衝突は数ヶ月から数十年.その残された時間をどう過ごすのか.
リスクがあらかじめわかったら知りたいか.天気予報のように地震が予報されたら、自分のかかる病気などが事前にわかるとしたら知りたいか.
「2. わたしの終わり」は文字通り、人間の寿命について.
永遠の命が手に入るとしたらほしいか.
脳死と判断されたときに残された親族のとれる選択肢.
自分の年齢と何歳まで生きるかを入力すると、残された時間でなにができるか(何回食事できるか、何時間家にいることができるか、何時間睡眠できるか、何回旅行に行けるか etc.)を表示する装置.
「3. 文化の終わり」
テクノロジーの進化によって失われたもの.30年前の生活はどのようなものであったか.
サスティナブル(持続可能)とかいうけど、どこをどうもって持続可能とみるのか.
「4. ものがたりの終わり」
自分の終わりではなくもっと大きな終わり、世界の終わり、地球の終わりの予測.
展示のはじめのほうで、目眩がしてきました.今まで考えてこなかった、考えるのを避けてきた問題を容赦なく喉元に突きつけられた感じです.
展示のあちこちに来場者が付箋などでコメントを貼り付けたり、2つの選択肢のどちらを選ぶかというスペースが設けられているのですが、残り数ヶ月の命から数秒の命までのコメントの変化には考えさせられるものがありました.
自分の命があとどれくらいかは知りたい、でも明日で終わりですと言われたときに正気を保っていられる自信はないですね.
展示全体を通じて伝えようとしていることはいろいろあると思います.
来るべき死に対する心構えや備えもそうなのですが、自分が死ぬことでなにもかもが終わるのではなく周囲などに影響が残るのではないかということ、終わることから始まるなにかがあるのではないかということ.そして終わりを避けるために不老不死になることが果たしてよいのかということも.好きなものだったらいくらでも食べられるのか、いくら食べても終わらないナポリタンは果たして美味しいのか.これは、一週間程度で散ってしまう桜が人を引きつけてやまないということが一つの答えかもしれません.
あと2週間足らずで終わってしまいますが、秀逸な企画展なので見ることをオススメします.