津軽旅行2日目(前編)です(1日目はこちら).
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朝食も海のものメインでおいしいものばかりでした.朝から新鮮なイカの刺身とか贅沢です.
写真左上はホタテの貝殻の上で焼く、貝焼き味噌.ホタテや野菜、イワシの丸干しが入っていて、煮立ったところで卵を溶き入れて卵とじにしていただきます.右下は具が見づらいですが「けの汁」と呼ばれる郷土料理でふきやにんじんなどの野菜を細かく刻んだ具が入っています.
またご飯がおいしくて.満足な朝食でした.
朝食のときに料理を持ってきてくれたおばちゃんから聞いたのですが、津軽弁でおいしいというのは「め」というそうです.「どこに行く?」「風呂に行く」という会話が「どさ」「ゆさ」というのはそこそこ有名な話ですが、他の言葉も基本的には短くなる傾向にあるようです.ちなみに否定形、「おいしくない」は「ぐね」をつけて「めぐね」というそうです.
津軽弁はアイヌ語や古語・漢語などがベースになっているようで、興味深いものを感じました.
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宿を引き払い、8時過ぎに浅虫温泉駅を出る列車に乗ります.浅虫温泉駅は青い森鉄道の駅で電化されているのですが、朝のこの列車は八戸港に近いJR鮫駅から乗り入れているので、JRのディーゼル車両での運行になります.
この列車で青森に向かい、青森で大館行きに乗り換え、さらに川部で五能線で深浦行きに乗り換えて五所川原を目指します.五能線に入ってからは車窓が延々と続くリンゴ畑で圧倒されました.あとで写真を撮ろうとぼんやりと思っていたうちに駅に着いてしまったので写真はありません.
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五所川原駅はJRの他に津軽鉄道の路線も接続されています.津軽鉄道の駅は正式には「津軽五所川原駅」といい、入り口も分けられています.
津軽鉄道線といえば有名なのはストーブ列車です.ただし、次のストーブ列車まで1時間ほどあるので、その間に1-2kmほど離れたショッピングセンターに向かうことにしました.ここまできてショッピングセンター?と疑問に思うかもしれませんが、ここ五所川原には青森県内で唯一のスタバがあるのです.歩いて行くには距離もありバスもわからないので、贅沢にも往復タクシーを使って水筒にコーヒーを補充してきました.
駅前でタクシーに乗り込んで「エルムショッピングセンターまで」と伝えたところ「イルム?」と津軽訛りで確認されたので思わず違うと言いそうになってしまいました.運転手さんとあれこれと話をしたのですが、聴覚と言語推理力をフルに働かせても7割がた程度しか理解できませんでした.とはいえ、何度も聞き返すのも悪いですし、難しいところです.
この日は非常によい天気だったのですが、先週は大変だったので今日は運がいいというようなことを言われました.どうせだったら雪の降っているのを見たかったというと、五所川原の地吹雪は凄くて雪が上からではなく下から降ってくるかのようだと言われました.旅行計画時には五所川原で地吹雪に吹きさらされることを想定していただけに残念な限りです.
Nikon D700 + AiAF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)
津軽鉄道の時刻表です.本数が少ないです.ストーブ列車に乗るにはストーブ料金300円が別途必要になりますが、数少ない列車なのに次がストーブ列車だったばっかりに300円支払うのはどうかと思う沿線住民のかたなどに向けて、ストーブ列車最後尾には追加料金のかからない通常のレールバス車両も併結されています.
Nikon D700 + AiAF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)
こんな感じで車内にはストーブが設置されています.自由席なのでストーブ前にさっそく陣取りましたが、あんまり近すぎるのも考えものだと後になって思い知らされます.
Nikon D700 + AiAF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)
車内でもスルメや日本酒などを売りに来るので宴会が始まります.スルメを購入すると、こうやってアテンダントのかたなどが焼いてくれます.
Nikon D700 + AiAF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)
火力が結構あるのでどんどんスルメがあぶられてぐねぐねと動き出します.
Nikon D700 + AiAF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)
火力が落ちてくると、すかさず石炭がくべられます.ストーブは暖房のためというよりもスルメを焼くために存在しているというようなことをはっぴを着たかたが言っていました.
ストーブのそばに陣取ったのはいいのですが、着込んでいることもあってどんどん暑くなります.なので服を脱いだりして温度調節していたのですが、これがあとになってトラブルの原因になりました.
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20分ちょっとで金木駅に到着します.ここで下車して今回の旅行の最大の目的地に向かいます.
Nikon D700 + AiAF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)
太宰治の生家、斜陽館です.太宰治の父が建て、戦後は旅館として使用されていましたが旅館廃業にともなって町が買い取って資料館として運営されています.
Nikon D700 + AiAF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)
総ヒバ作りの和洋折衷建築のお屋敷で、以前は住宅敷地内に銀行も併設されていたほどの広さです.
Nikon D700 + AiAF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)
斜陽館の土間からの光景です.米の収穫期にはここには米俵が山と積まれたそうで、そうした光景を見た太宰治は津島家(太宰治の本名は津島修治)の繁栄は農家からの搾取で成り立っているのではないかと心を痛めたそうです.
Nikon D700 + AiAF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)
建築から100年以上が経過した建物ですが、見事な作りを保ち続けています.
Nikon D700 + AiAF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)
和風建築が主体となっていますが、和洋折衷なところも多く、天井がこのようなハイカラなデザインになっている部屋もありました.
Nikon D700 + AiAF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)
二階座敷のふすまです.通称「斜陽の間」と呼ばれており、左から二番目のふすまの最後のところに「斜陽」の文字を読み取ることができます.
太宰治の作品には幼少時を振り返ったものがいくつかありますが、事前にそうした小説をいくつか読んでおくとさらに楽しむことができます.オススメは「津軽」「思い出」あたりでしょうか.
Nikon D700 + AiAF Zoom Nikkor 28-105mm F3.5-4.5D(IF)
こうしてみると完全な洋風建築です.
見学最中にとんでもないことに気付きました.
ふと時刻を確かめようと思って携帯電話を取り出そうとしたところありません.どこか違うところに入れたかなと思ったのですがどこにもありません.どうやらなくしたようです.自宅から700km以上離れた旅先でなくすとはなんという運の悪さ、もし仮にどこかで見つかったとしても列車のスケジュールなどもあるので受け取るのも難しいことだろうと思うと血の気がひいてきました.
なにはともあれ、置き場所を確認するために自分の携帯電話番号に電話をかけようにも公衆電話も見つかりません.携帯電話の普及とともに急速に姿を消していった公衆電話が懐かしく感じられる一瞬です.気もそぞろに金木駅に戻ってようやく見つけた公衆電話から電話をかけますが誰も出ません.
最後に携帯電話を触ったのはショッピングセンターの中であったので、落としたのはショッピングセンター、駅に向かうタクシー、そして津軽鉄道のいずれかです.藁にもすがる思いで駅の係員に尋ねたところ、今のところはないがその列車がもうすぐ五所川原に着くので、そうしたら車内を探します、と言われたので不安な面持ちのまま駅構内をうろうろとして連絡を待つことにしました.10分ほどして駅員がやってきて、あったと教えてくれました.ストーブが暑くて服を脱いだときに落としたようです.とりあえずこれで一安心し、五所川原の駅で受け取ることを伝えて遅い昼食をとることにしました.
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しじみラーメンです.五所川原の近くには十三湖というしじみの産地があり、その特産物を使って作られた地元の町おこし名物のようです.
もうちょっとしじみの出汁が出ているといいなとか、もうちょっと特徴があると人気が出るんじゃないかなと思えるような、なんとなくぼんやりとした味わいでした.