2024/12/27

Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

Category: カメラ・写真,物欲 — Annexia @ 23:59

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Apple iPhone 13mini

 今年の5月、ニコンZマウントのレンズを3本購入した記事において、Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Asphericalに対して私はこのように書きました.「弱点…… とまではいいませんがやや残念なのは、最短撮影距離が35cmなこと.食べ物写真を撮るときなどには、あと5cm寄れたらいいのにと思うことがあります.」と.
 その後、APO-LANTHAR 35mm F2は販売終了となってしまい、あんないいレンズなのに販売終了とはもったいない…… と思っていたところに、II型の発表がありました.I型との違いは、
・外観を他のVoigtlanderレンズと共通のデザインに揃える
・最短撮影距離を35cmから27cmに縮める
・フードがねじ込み式からバヨネット式に変更(逆さづけ可能)
といったあたりです.最短撮影距離35cmが唯一の弱点と思っていたわけなのですから、することは1つだけです.買い替えです.というわけで予約して発売日当日にI型を下取りに出して受け取ってきました.

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Apple iPhone 13mini

 デザインについてはとくにI型も悪くないと思っていたのですが、装着してみると結構雰囲気が変わった気がします.

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FUJIFILM X100VI

 I型の外観.絞り値の数値ごとに塗り分けられていることからも分かるように、FマウントMFレンズのデザインに寄せているのがわかります.

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FUJIFILM X100VI

 こちらがII型.I型で気になった、マウント部に比べて鏡筒部分が細くてアンバランスな印象がなくなり、結果として鏡筒部分が全体的に太めになりました.ピントリングが大きくなり、逆に絞りリングは狭まりましたが、操作上の違和感はとくに感じられません.全体的にデザインが落ち着いたようにも見受けられます.

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FUJIFILM X100VI

 買い替えた理由がこれ.最短撮影距離27cmです.光学系はI型II型ともに変更はないとのことで、寄れるようになったのは素晴らしいことです.
 ちなみにMFレンズということもあってピント合わせに微調整を要するという目的もあってか、ピントリングの回転は無限遠から最短撮影距離まで270度くらいにもなります.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2(I型)
絞りF2 1/40秒 ISO640

 I型の最短撮影距離35cmで撮影すると、このくらいになります.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2(II型)
絞りF2 1/40秒 ISO320

 II型の最短撮影距離27cmで撮影すると、このくらいまで寄ることができます.
 テーブルフォトなどでこのようにして料理を撮影するときにも重宝します.これ以上拡大したいときにはマクロレンズの領域ですね.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2
絞りF2 1/40秒 ISO140

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2
絞りF2.8 1/40秒 ISO220

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2
絞りF5.6 1/40秒 ISO900

 F2解放はもちろん、F2.8とF5.6でも円形となる特殊形状をした絞りリングが採用されています.F4のボケが汚いというわけではないのですが、F5.6メインで撮影し、ぼかしたい時はF2やF2.8を使うことが多くなりました.F2で開放で撮影すると周辺減光があるので、撮影としてうまく使っていきたいところです.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2
絞りF5.6 1/40秒 ISO220

 光学系はそのままなので歪みなどもほぼなく、建築物でも安心して撮影することができます.むしろ、斜めや被写体に正対することなど、撮影する側の腕がシビアに求められます.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2
絞りF2 1/4000秒 ISO100

 Zfのファインダは見やすいのですが、絞り開放ですとピントがシビアなので拡大表示が必須となります.Zfは拡大表示をシャッターボタン半押しで解除できないのがもどかしいところです.早くファームウェアアップデートで対応してほしいところです.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2
絞りF5.6 1/1600秒 ISO100

 Zfの色調設定は、汎用性のあるやや派手目に振ったものと、色調を抑え気味にしたものの2つを使い分けていますが、これは色調抑えめのもの.逆光気味でもあるのでモノクロームにも近い雰囲気があります.使いやすい画角、質感のある描写でお気に入りのレンズです.

2024/12/26

どこかにビューーン!で長野へ(その2)

Category: 旅行・観光 — Annexia @ 23:18

 どこかにビューーン!で長野へ、つづきです.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 翌朝、6時20分ごろ集合で善光寺に向かいました.
 善光寺では日の出に合わせて「お朝事」と呼ばれる朝の法要が行われます.また、その前に数珠にて参拝者の頭を撫でられる「お数珠頂戴」という法要も行われます.
 この日のお朝事が始まる時刻は6時57分.日の出時刻に合わせて毎日1分ずつ時刻が変更されます.冬至の日には7時ちょうどになるそうで、自分が参加した日は冬至の3日前なので6時57分というわけです.
 なお、気温はマイナス3度.案内をしてくださる方から、宿坊にあるブランケットを持参するように言われましたが、確かに必須でした.夏場であればこんな寒い思いをせずに済むのに…… と思われるかもしれませんが、夏至の時期のお朝事は5時半から開始となるので、別の意味でつらそうです.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 賑わう善光寺も朝7時前ですとさすがに人通りが少ないですね.
 本堂前の石畳で「お数珠頂戴」をされたのちに、本堂に入って法要に列席しました.

 また、宿坊からガイドしてくださった方から興味深い様々な話を聞くことができました.
・善光寺というのは寺院としては珍しく、どこの宗派にも属していない(日本で宗派ができる前に建てられたため)
・ただし宗派が存在しないと管理もできないので、天台宗と浄土宗の2つの宗派が半分ずつ担当している
・なので「お朝事」が行われる1時間も、30分ずつ天台宗と浄土宗の法要が営まれる
・浄土宗の法要は時間がかかり30分には収まらないので、通常よりも早口で法要が行われる
・本堂の仏様にむかって左側が仏様のおられる世界、右側が現世を意味しているので、左側にて法要が営まれて、参列者も左側に座る
などなど、知らないことばかりでした.
 なお、「お数珠頂戴」は「お朝事」の開始前だけでなく終了後にもあり、開始前は天台宗の流儀で数珠の玉の部分で重量感のあるお数珠頂戴を、終了後は浄土宗の流儀で数珠の房の部分で軽く撫でるようにしてお数珠頂戴をされる、といった違いがあります.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 お朝事が終わると8時半近くになっていました.昨日と変わっていい天気です.案内してくださったかたいわく、昨日の朝は雪が降っていてお数珠頂戴も寒くて大変でした、とのことでした.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 宿坊にもどり、朝食をいただきます.精進料理とはいえ、なかなかのしっかりしたボリュームです.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 帰りの新幹線が12時過ぎなので、どこかを観光するほどの時間的余裕もなく、参道の土産物店などを冷やかしつつ長野駅まで戻りました.
 途中、いただいたおやき(野沢菜)がとても美味しかったです.おやきはスーパーなどでたまに販売されているものを買ったりしますが、作りたてということもあって油で炒められた野沢菜の旨みが感動的でした.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 土産物を買い込み、お昼は駅ビルで購入したソースカツ丼をいただきました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 さらにシンカンセンスゴイカタイアイスとコーヒーを.
 宿坊に泊まり、お朝事に参加させていただいても煩悩はそう簡単には収まらないですね.

2024/12/25

どこかにビューーン!で長野へ(その1)

Category: 旅行・観光 — Annexia @ 23:58

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 今年を締める旅行として、運に任せてみようかということで、たまっているJREポイントを活用して「どこかにビューーン!」で出かけてきました.
 行き先は長野駅です.ちなみに他の候補地は、村山駅(山形県)、新潟駅、くりこま高原駅(宮城県)です.この中でどこに行きたかったかといえば新潟だったのですが、長野も観光地としてはよい選択肢だと思われます.もっとも、今年は長野県に行った回数が多かったので別のところがよかったなという気持ちもありましたが……

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 9時半ごろに東京駅を出発し、11時過ぎに長野駅に到着するのでわりとゆったりした行程です.停車駅の多い便でしたが、それでも1時間半程度で到着するので長野は近く感じられます.
 東京を出てずっと晴天で、長野県に入っても篠ノ井のあたりまではいい天気だったのですが……

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 ほんのちょっと進んで川中島のあたりまで来たら急激に天候が変化しました.どんよりとした雲が垂れ込め、屋根は雪で白くなっています.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 JR長野駅から長野電鉄の長野駅に移動し、特急列車に乗車します.
 長野電鉄の長野駅はJRに隣接しているので、雨や雪に濡れることなく移動できます.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 30分ほどの乗車で小布施駅に到着しました.隣の線路には上りの特急列車が.編成は短くなっているものの、旧小田急電鉄ロマンスカーを使い続けてもらっているのは小田急線沿線住民としては嬉しいものがあります.しかもこの車両、連接台車といって車両と車両の間に台車がある、メンテナンスが面倒な車両なのでなおさらです.

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Apple iPhone 13mini

 余談ですが、今回の旅行には前日に発売されたばかりのコシナ(Voigtlanderブランド)のレンズ、APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical IIを持ってきています.
 コシナの工場は、この長野電鉄をもう少し進んだところにある中野市にあるので、よもやこのレンズも発売翌日にこんな近くまで里帰りするとは思っていなかったでしょう.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 小布施駅からしばらく歩いた先に店舗や葛飾北斎の博物館などが並ぶ一角があります.
 お昼はそこの『寄り付き料理 蔵部』にていただきました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 地元の食材を使用した料理が取り揃えられており、『信州鶏 蔵部の山賊焼き 特製ソース2種添え』をいただきました.また、ご飯を岩魚(イワナ)とキノコの炊き込みご飯に変更してもらいました.
 山賊焼きはどちらかといえば長野でも諏訪や松本界隈の料理ですね.下味のしっかりついた揚げたての鶏肉はそのままでも美味しく、2種のソース(大根とにんじん、チーズとわさび)がいいアクセントになります.
 岩魚とキノコの炊き込みご飯もとても美味しく、これだけでもご飯が進みます.白米のおかわりは自由とのことでしたが、次もあるのでここは我慢します.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 続いてやってきたのが『えんとつ』.9月や10月などの栗のシーズンともなると期間限定の『朱雀』を求めて混雑しますが、さすがに12月はオフシーズンですので人も少ないです.とはいえ店内は席の半数以上が埋まるほどの賑わいなのはさすがです.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 メニューは『モンブラン朱雀』と飲み物(朱雀ブレンドホットコーヒー、アイスコーヒー、紅茶、小布施産りんごジュース)の1メニューのみ.
 朱雀ブレンドホットコーヒーを選びました.中深煎りくらいの飲みやすい味わいです.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 秋限定の『朱雀』は加糖していない、蒸して裏漉ししただけのストレートな栗を味わうためのもので上級者コースな味わいですが(中は栗あん)、『モンブラン朱雀』は栗あんベースなので食べやすいです(中はアイスやクリームなど).添えられているソースはカシスとココア.ココアのほうが自分の好みでした.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 小布施は葛飾北斎ゆかりの地で昼食をいただいた蔵部のすぐそばにも葛飾北斎の美術館『北斎館』がありますが、2kmほど歩いたところにある寺院『岩松院』にも北斎直筆の天井絵があります.そちらを訪れてみました.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 山の麓にある寺院で、内部は撮影禁止です.
 天井絵は仏様に向き合うようにして鳳凰が描かれており、寺院のかたが見所などをガイドしてくださります.北斎晩年の作品で、多種多様な絵の具を用いた豪華な仕上がりで、見る向きによって色合いがまったく異なるなど、見入ってしまいます.
 また、この寺院は葛飾北斎以外にも武将の福島正則、俳人の小林一茶ともゆかりがあり、寺院内の池では一茶の有名な句、「やせ蛙まけるな一茶これにあり」を詠んだ場所といわれています.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 小布施駅に戻って、長野方面に向かいます.
 小布施駅には売店のようなスペースがあり、農作物などが売られています.シャインマスカットがこのボリュームで400円というのは安いですね.とても美味しかったです.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 善光寺下駅で下車し、善光寺に向かいます.時刻は16時半くらいですが、冬至も近いこの時期、すでに暗くなってきました.
 宿に入る前にコーヒーを買っておこうと思い、スターバックスに立ち寄りました.参道にある店舗は周囲の環境に配慮してデザインされた『リージョナル ランドマーク ストア』になっています.自分が行ったことのある店舗だと、他には弘前公園前店と富山環水公演、出雲大社店が該当します.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 今回は宿泊先としてホテルや旅館ではなく、善光寺の宿坊を選びました.善光寺には30近い宿坊があり、今回宿泊したのは薬王院です.宿坊に宿泊したのは、以前に高野山を訪れたとき以来です.
 ホテルや旅館ほどの自由度はなく、どちらかといえば民宿に近い雰囲気といえるかもしれません.お風呂は時間を指定して交代制にて入る、門限は21時、それ以降はお静かにお過ごしください…… というようなことを除けば、普通の宿と変わりません.
 また、希望すれば写経や坐禅を体験することもできます.

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Nikon Zf + Voigtlander APO-LANTHAR 35mm F2 Aspherical II

 食事については夕食、翌日の朝食とも精進料理ですので、肉や魚はありません.宿坊にもよるようですが、般若湯(いわゆるアルコール類)は注文できました.

 つづきます.

2024/12/23

iFi audio xDSD Gryphon

Category: 物欲,電化製品,音楽 — Annexia @ 22:45

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Nikon Zf + NIKKOR Z MC50mm f/2.8

 前の投稿でfinal S5000購入したことについて触れましたが、USBドングル型DACとの相性なのか、それともUSBドングル型DACの5V給電ゆえの電源の余裕のなさなのか、もうひとつ納得のいく音が出せていない印象がありました.

 なので、改めてUSB接続のDACで手頃なものを検討しようということで、
・自宅で使用し持ち運びはしないので、サイズや重量には特にこだわりはない
・USB給電だと電源的な余裕がないため、USB給電ではないもの
・iPad mini6と接続して使用し、寝る時なども使いたいので外部電源ではなくバッテリ駆動できるものがよい
・多少の音質調整をしたい
という条件であれこれと調べてみました.
 この手のDAC製品はオーディオマニアの沼に片足突っ込んだところに位置するニッチな分野なのでそもそも製品が少なく、また残念ながら国内メーカーは新製品をほとんど出していない(以前はいくつかありました)ような状況なので、海外メーカーのものが選択肢となります.
 あれこれと調べているうちに、iFi audioという会社の製品に行きつきました.実はAK HC3を購入した際にも同クラスの検討機材としてiFi audioのGO linkがあったのですが、そのときは知らないメーカーだしちょっとわからないな…… と思って見送っていました.

 iFi audioはイギリスのメーカーで、据え置き/ポータブル問わず多種多様なDACなどを製造しています.
 当初、iFi audioの製品で候補として考えていたのはhip-dac3でした.小型のスキットルボトルのような形状をしており、スマホくらいのサイズと重量(おおよそ高さ10cm、幅7cm、厚さ1.5cmで重さ135g)で必要十分なスペックを備えた製品です.お値段は3万円ちょっと.ただし、音質を調節するためのフィルタを切り替えるのにファームウェアを差し替える必要があること、エフェクトとして備えている機能が低音を強調するXBassのみで、中高音の調節はできず、また上位機種で備えている音の広がりを出すXSpaceを搭載していないことがネックでした.
 その次に検討したのがxDSD Gryphonです.hip-dac3と比べてやや大きくて重たいものの(おおよそ高さ12cm、幅7.5cm、厚さ2cmで重さ215g)、性能は充実しており、フィルタはメニューから変更可能であり、XBassIIとして、低音/中高音/その両方を強調する機能を備え、音の広がりを強調するXSpaceも搭載しています.さらにライン入力や光デジタル入力、Bluetooth接続などかなりの高機能です.評判もそこそこよいですが、お値段もぐっと上がって約8万円.迷ったのですが、ここで妥協して安いほうを選ぶと、あの機能が欲しかった…… となってさらなる散財をしてしまいそう、ということでxDSD Gryphonを選ぶことにしました.

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Nikon Zf + NIKKOR Z MC50mm f/2.8

 ちなみに「Gryphon(グリフォン)」とは、ライオンの胴体にワシの頭と翼を持つ、神話に出てくる動物のこと.前機種「xDSD」に比べて、多機能であることをなぞらえたネーミングのようです.
 発売開始から3年くらい経過しており、何回ものファームウェアアップデータが行われて不具合の修正のみならず機能追加がされており、安定性も増しており安心して使うことができます.発売から年数が経過していると、新型が出てしまうのでは…… という心配もありますが、機能的にはほぼ全部入りで大きな機能追加もないだろうという判断から購入に至りました.

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Nikon Zf + NIKKOR Z MC50mm f/2.8

 正面.左から順に、3.5mmイヤホン端子、4.4mmバランスイヤホン端子、ボリューム、エフェクト切り替え(長押しで設定メニュー)、入力切り替え.
 ボリュームは物理的なボリュームではなく回転させることで内部で出力が変化する、デジタルボリュームのような設計です.また電源スイッチなどを兼ねていて、長押しで電源ON/OFF、1度押すことで曲の停止/再生、2度押しで曲送り、3度押しで曲戻しになります.また、ボリュームレベルに応じてLEDの色が変化するのも面白いギミックです.

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Nikon Zf + NIKKOR Z MC50mm f/2.8

 背面.左から順に、XBassIIのエフェクトのかかり具合(低音のみ、中高音のみ、両方)の切り替えスイッチ、充電用USB Type-Cポート、データ入力用USB Type-Cポート(設定で同時充電も可能)、光入力、4.4mmライン入出力、3.5mmライン入出力.光入力や4.4mm/3.5mmライン端子は使う可能性は低いので、埃対策としてキャップを準備したほうがいいかもしれません.

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Nikon Zf + NIKKOR Z MC50mm f/2.8

 底面.「iEMatch」という、ヘッドホン出力を抑えるゲイン調整スイッチ.
 また、技適対応のシールが貼られていますが、Bluetooth対応のためです.

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Nikon Zf + NIKKOR Z MC50mm f/2.8

 天面にはディスプレイを備えており、入力ポート、PCMやDSDといった入力情報、サンプリングレート、ボリューム、エフェクトのON/OFFなどが表示されます.

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Nikon Zf + NIKKOR Z MC50mm f/2.8

 隠しコマンド?を入力することでフィルタの種類が増え、起動時と終了時にディスプレイにグリフォンが飛ぶアニメーションが表示されるようになります.ちなみに隠しコマンド入力前は、起動時に「iFi」のロゴ、終了時は単純に「OFF」の文字のみでした.フィルタを出し惜しみする理由もよくわかりませんし、最初からこのようにしておいてもよかったのでは?という気もします.

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Nikon Zf + NIKKOR Z MC50mm f/2.8

 金属筐体なのでケーブルやイヤホン等との接触により傷がつくことを考慮して、Amazonで購入した非純正のレザーケースを装着しています.革の質感もよく、金属と革の組み合わせも気に入っているのですが、装着がかなりタイトで、外そうとしてもまったく動きません.外す必要性が現状ないので問題ないといえばないのですが……

 肝心の音質ですが、アンプ性能の差なのか電源の余裕なのか、DACチップの性能やチューニングによるものなのか、その総合によるものなのかわかりませんが、かなり満足しています.艶やかで程よく角の丸められた音質は長時間聴いていても聴き疲れしません.
 やや残念なのはバッテリの減りが比較的早いこと.ただし、マニュアル表記では充電に標準(5V入力)で12時間、急速充電で6時間かかるとされているものが、ファームウェアアップデートにより2時間程度にまで短縮されてること、また給電しながら使用できるので大きな問題ではありません.
 final S5000と使用することを前提に導入しましたが、音の美しさや余韻など満足のいく音質を得ることができました.末長く使っていくことのできそうな製品です.

2024/12/22

final S5000

Category: 物欲,電化製品,音楽 — Annexia @ 23:25

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FUJIFILM X100VI

 新しいイヤホンを購入しました.finalS5000です.
 ヘッドホン/イヤホンメーカーとしてfinalの製品は音作りもさることながら、製品を作るにあたってのポリシーや理論に共感するところが大きいので、以前にも、ワイヤレスイヤホンとしてZE8000ZE3000、有線イヤホンとしてE4000MAKE4を購入しています.

 もうちょっと高価格帯の高音質なイヤホンが欲しいなと思っていたところに、新たにSシリーズとしてS4000とS5000という製品が出ました.両機種とも音を出す部分は同じながら、筐体がステンレス(S4000)と真鍮(S5000)と別のものを採用しており、筐体の材質によって音質が異なります.

 これは実際に試聴してみないとどちらが好みか判断がつかない…… というわけで、ヨドバシカメラまで出かけていって、ショーケースに入っているものを出してもらって試聴してみました.なお、両機種を試聴する前に、自由に試せる状態になっているfinalの別製品、E5000A5000も試聴してみました.どちらもいい音ではありますが、購入には至らずという感じでした.
 先に試聴したのはS4000.先のE5000やA5000がダイナミックドライバ1基であるのに対して、BA(バランスド・アーマチュア、金属の振動板を使って音を出す)ドライバ2基という構成になっています.音質的には「素直でストレート、クリアでわかりやすいいい音」という印象でした.E5000やA5000に通じるものがある、finalらしい音とも感じました.
 続いて試聴したのがS5000.ネット上にあるレビューを見てもS4000は万人が高評価を与えているのに対して、S5000は賛否両論です.聴いてみると、「癖のある余韻のような反響音があり、クリアさはS4000に比べて劣る」という印象でした.なるほど、賛否両論なのも納得です.ただ、個人的に試聴していて面白いなこれ、あれこれ聴いてみたいなと感じたのはS5000のほうでした.BAドライバは金属の振動板により音を発生させる構造ですが、ダイナミックドライバに比べて正確というかクリアというか、癖のない音というイメージがあります.S5000はBAドライバが出す正確でクリアな音を真鍮筐体による反響で味付けをしており、そのチューニングが自分の好みに合った感じです.

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FUJIFILM X100VI

 内容物はイヤホン本体の他に、2pin規格のシルバーコートOFCケーブル、FUSION-Gと呼ばれるfinalの新製品のイヤピース(サイズはS/M/Lの3種)、そしてシリコン製のケース.

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FUJIFILM X100VI

 S4000がステンレス筐体でシルバー仕上げなのに対して、S5000は真鍮筐体でゴールド仕上げになっています.真鍮そのままだと酸化して変色や緑青が発生することがあるので、表面にはチタン蒸着コートがしてあるそうです.
 BAドライバ2基を採用していますが、低音/高音というような音域を分けるのではなく、2基ともフルレンジというのがユニークなところです.BAドライバは出せる音域がそれほど広くないという特徴があるので、複数のBAドライバを採用する場合には音域を分けるのが一般的だと思われますが、S4000/S5000の場合にはフルレンジのBAドライバを向かい合わせに設置して不要な振動を打ち消すような構造になっています.
 音質的には前述したようにクリアさはS4000に比べてやや劣るものの、ゆったりとした響きが魅力です.ロックよりもジャズやピアノ曲、クラシックのほうが得意という印象です.

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RICOH GRIII

 音楽を聴くときはiPad mini6にUSBドングル型のDAC(D/Aコンバータ)、Astell&Kern製のPEE51を使用しています.PEE51もそこそこ年数もたっており、新しいDACを試してみたい…… ということで、後継機のAK HC3を購入しました.

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RICOH GRIII

 PEE51はUSB-Cのみ対応でしたが、AK HC3についてはLightning-USB変換アダプタが付属しています.ちなみにこのアダプタを使用してPEE51とiPhoneを接続してみたところ、問題なく使用できました.

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FUJIFILM X100VI

 上がPEE51、下がAK HC3.デザインは同じでAK HC3の方が大きめです.
 同じメーカーの製品ですが音質は結構違いがあって、PEE51が落ち着いているのに対して、AK HC3はパワフルです.また、PEE51だとiPad mini6側のボリュームを50%程度なのに対して、AK HC3は20%くらいで十分な音量となります.抑えめのボリュームで十分な音質を得ることができるのは結構なのですが、音量の微調整がしづらいという問題があります.設定などでゲイン(出力)の調整などができればよいのですが、PEE51/AK HC3ともシンプルなUSBドングル型DACなので音量や音質などの調節はできません.またPEE51に比べてAK HC3はクリアな音質なのが特徴なのが災いしてか、S5000の持ち味ともいえる音の余韻との相性が悪いようにも感じられました.なのでPEE51の方があっている印象でした.
 つづき(?)ます.