2011/05/19

朝日新聞デジタル

Category: コンピュータ,書籍 — Annexia @ 21:50

 昨日から「朝日新聞デジタル」なる新サービスがスタートしました.
 これは、月額3,800円(紙媒体の朝日新聞の購読者は購読料+1,000円)の有料サービスで、コンピュータおよびiPad/iPhone、そしてAndroidで朝日新聞の記事が読めるというものです.
 Web上での新聞記事の有料化は日経新聞がすでに開始しており、こちらは月額4,000円です(iPadやスマートフォン向けのアプリは用意されていません).

 7月末まで無料ということなのでiPad用アプリをインストールしてみることにしました.
 驚いたのは「無料」だというのに会員登録時にクレジットカード番号の登録を求められること.いちおう名の知れた新聞社なので不正行為には用いられないだろうと思って登録しましたが、気分がよいものではありません.もちろん住所や電話番号も入力必須です.無料期間でお試しで使うにはあまりにもハードルが高すぎます.おそらくこの登録画面を前にして試すのをやめた人も多いのではないでしょうか.

 メールによる認証手続きなど、さらに登録作業が続いてようやく誌面を見ることができました.
 最初に驚いたのは、画面下に広告が出ていること.月額3,800円支払っていても広告を出すというのはちょっとどうかなと思います.さらにページをめくっていくと、今度は画面いっぱいに使った広告が出てきました.たしかに紙媒体の新聞には全面広告がありますが、電子書籍でそれをやられると違和感が大きいです.
 画面レイアウトは横組み、フォントはサイズ可変ですが見出しはゴシック、本文は明朝固定です.新聞っぽく多段組のレイアウト構成になっているのですが、横組みなので違和感ありまくりです.また画面サイズとの兼ね合いもあって本文はすべては表示されていません.なので全文を読むには記事をタップするのですが、そうするとやけに緩慢なスクロールとともに記事本文が表示されます.ページ移動も非常に待たされますし、アプリの出来がイマイチなのかたまに画面が白いままなにも表示されないなんてこともありました.
 それから、細かいことで気になったのはiPadの画面いっぱいにレイアウトするように設計されていながら、どういうわけか1行ほど見切れていてスクロールさせないと文章が読めません.
 Macからも見てみました.こちらもログインしないとトップページしか見れません.しかもログインしてしばらくたってから再びアクセスするとまたログインを要求してきます.新聞を読むのにいちいちログインしなくてはいけないなんて面倒なことこの上ありません.

 結論からいうと、現状でこのクオリティで3,800円の価値はありません.1,000円でも悩むかもしれません.そもそも紙媒体のものが朝夕刊あわせて4,000円弱なのに、紙代、印刷費、輸送コストなどがかからない電子書籍のほうがほぼ同じ価格ということがおかしいです.少し前にアメリカで創刊された、ニューズコーポレーションのiPad向け電子新聞は1週間で99セント、1年間で39.99ドルです.誌面のクオリティやボリュームはわかりませんが、価格で比べると朝日新聞デジタル1ヶ月分の価格で1年分購読できてしまいます.
 あと2ヶ月半ほど無料期間がありますので、その間に改善されるかどうかを見たいと思いますが、こんな状態では間違いなく8月の有料サービスが始まる前に解約手続きをとることでしょう.